PCエンジンで好評だったドラキュラX〜血の輪廻〜の新作として登場したプレイステーション版の移植作、という少々ややこしい立場のゲーム。
サターン版ではマリアが最初から使える特典付きで、微妙にステージも増えている。
小島文美氏の描くキャラクターも美しく、幻想的にドラキュラの世界を盛り上げる。
Xはそれまでの悪魔城の路線とは違い、ビジュアル重視で、全体的に難易度も低い。キャラクターが声優を使って喋るし、はっきりとユーザーの狙い所が違うゲームである。
主人公がアルカード(ドラキュラの息子)なのだが、主に使う武器は剣であり、良くあるアクションゲームのキャラの動きしかしない、せめてスーパーファミコン版のように槍を使って欲しかった。
鞭を使う、悪魔城シリーズ直系のベルモンド一族のキャラクターも用意されているが、ゲーム的にもストーリー的にも、おまけ以外の何ものでもない感じ。
ついでにマリアという、コマンド入力で魔法を使えるキャラクターが用意してあるが、これまた大雑把なバランス取りのキャラである。
アルカードも対戦格闘ゲームのようなコマンドを入力することで様々な技が使えるのだが、この技が非常に強力なので、ボス敵もこれを連発するだけで簡単に倒せてしまう。
これを使えばアクションが苦手な人でもクリアできるかというと、そうでもなく、コマンドが難しく、下手な人がサクサクと出せるようなものではない。
つまり上手い人はより簡単に、下手な人はより難しくなるわけである。これはちょっと酷い。コマンドはマニュアルに記されておらず、自分で発見しなきゃいけないのも、ゲーム慣れしていない人には辛い。
アルカードだけ、アイテムの装備、経験値を溜めることによるレベルアップがあり、金を集めることでアイテムの購入もでき、イベントシーンもついている。
また、魔道器というアイテムで、従者を呼び出したり、自身が変身したりできると、盛り込むだけ盛り込んである。
おかげで、どれも消化不良なところがある。特に従者は、連れているとレベルアップするのだが、何種類もいるので、クリアするまでに全然育てきれない。たまに、つれている従者がヒントをくれたりするのだが、そのあたりの記述はマニュアルに一切ない。
システムはもちろん、マップもボリュームがあり、結果バランスをとれる範囲を超えてしまったということだろう。
グラフィックは非常に美しく、細かい部分まで気合いが入っていて、キャラクターのパターンも多い。音楽も歴代シリーズのアレンジが入っており出来は良い。メガドライブの「バンパイアキラー」(個人的に好き)の曲も入っているのも泣かせる。
サターン版は一部動きがぎこちないところがある。無理にポリゴンを使わない方が良かったかも。基本的にはプレイステーションより、サターンに合ったシステムに思えるのだが?
データの読み書きは、このゲームに限らず全般的に言えることだが、サターン版が圧倒的に早く快適である。
そこで結論。
「技術とアイディアの無駄使いが多い、捨てることも必要」
2000-02-08