脱出ゲームのパターン(2)

典型的な脱出ゲームのパターンを抜き出してみようの2

彼女はオレのファムファタルなんだって!
厚い本でも、ゲームで見るのは1ページだけ

脱出ゲームの魅力はアイテムの魅力

 脱出ゲームの「メタネタバレ」の2回目。
 今度は、道具(アイテム)に注目して、脱出ゲームを分析してみたい。

使う

鍵ゲーーーット! とか日常的に言ってしまいそうになる

 道具(アイテム)の使いどころを探すのが脱出ゲームの醍醐味でもある。
 まずは部屋の中でアイテムを見つけたら、それをクリックして手に入れるのが基本。

 多くのシステムでは手に入れたアイテムは、画面端(多くは右利き向けに右にある)に一覧表示される。
 また、アイテム選択時に情報(About)ボタンを押すかダブルクリックするとアイテムの拡大画像が表示される。
 拡大されたアイテムをクリックするとズームの例に漏れず、詳しい調査や道具の操作が可能。

入手と同時に使う

 アイテムの使い方で一番単純なのは、入手したと同時に使われるものだ。
 メモなどの情報系のアイテムはこれの一種と言ってもいいだろう。

単体で使う

自分ちのドアを開けるのに、妙に興奮

 入手したアイテムをクリックして選択したあと、部屋の中をクリックする事で道具が使える。
 アイテム選択時は全ての挙動が変わるのではなく、アイテムが適用される箇所のみの挙動が変わるのが普通。
 簡易なシステムではクリック前にアイテムを選択する必要がなく、適宜手持ちのアイテムが使用される。

 ある道具が無いと別の道具が取れないというのが多くのパターン。

  • 懐中電灯 → 暗い場所のアイテム・情報をとる。
  • 棒 → 隙間の奥や高い所にあるアイテムをとる。
  • ヘラ → シールなどを剥がす。
  • 釘抜き → 打ち付けられた板などを剥がす。
  • マイナスドライバー → タイルなどを剥がす。

 明かりは懐中電灯の他にマッチ・ロウソク、あるいは携帯電話や携帯ゲーム機のディスプレイをライト代わりにする、なんてことも。
 高い所にあるアイテムは何をぶつけても取れそうだが、脱出ゲームでは高い所の物を取るために、なぜかゴムボールが用意されているのが定番。

解体

脱出ゲームでドライバーが分解できると知った人も多そう

 引き出しと把手のように一見分ち難く結びついているものも、ドライバー1本あれば解体・分離できる。
 特に電池は汎用性が高く、電池が無くて動かなければ、他の電化製品を分解するというのが定番。
 分解は、ほとんどのシステムで拡大したアイテムの特定箇所をクリックすることで行う。

  • 引き出し → 箱 + 把手。
  • ドライバー → 金属棒 + グリップ。
  • 電化製品 → 本体 + 電池。

 電池と同様に電源ケーブルも割と使いやすいように思えるが、それほど多用されるアイテムでもない。

合体

合体はロマンだねぇ

 逆に拡大表示されたアイテムに対して、別のアイテムを使用すると合体できるというシステムが多い。道具をドラッグして重ねるというものもある。
 アイテム数が多いと、組み合わせパターンが増えて簡単に難易度が上昇する。
 アイテムの組み合わせシステムを持ったゲームは、もう使わないアイテムをグレーアウトしてもう使わないことを示すシステムと一緒であるのが無難。

 数種の薬品を混ぜて新しい薬品を製造するというパターンもある。その場合は、大抵専用の機器(と操作方法)が用意されている。
 合体は、市販のゲームで悪魔合体やアイテム合成などのシステムが人気なのからも分かる通り、もうなんか組み合わせて新しい物を作れるというだけでワクワクする仕掛けだ。

変形

 切ったり、曲げたり伸ばしたり、割ったり。
 道具が手に入れば、あるアイテムを別のアイテムに変える事ができる。

  • ハンマー → ぶたさん貯金箱を割るなど。
  • ペンチ → 針金を曲げるなど。
  • ハサミ → 紐を2つに分けるなど。
  • ライター → 燃やす、あぶり出しなど。
  • 鉛筆 → 白紙のメモの全体を擦って、文字を浮かび上がらせる。

 合体と似ているが、変化するのはアイテム 1つだけで、大抵は不可逆。
 できて当たり前な雰囲気で、割と地味な感じがするシステムである。

持ち運び

 そのままでは持ち運べないものも、道具があれば持てる。

  • ペットボトル・ツボ・ジョウロなど → 水などの液体。
  • 焚火ハサミ・ペンチ・軍手など → 焼けた石など熱いもの、氷など冷たいもの、栗などトゲトゲのもの。

 これもアイテムの合体の一種と言える。

入手法

 アイテムを手に入れるためのパターンは非常に多くあるが、その中でも代表的なものを挙げてみる。

裏返し

 裏返すとそこに情報があるというタイプ。
 視点変更とほぼ同じだが、視点が変わるのではなく道具をひっくり返す。
 敷物をめくるのも裏返しパターンと言える。

  • 引き出しの裏、イスの裏、アイテムの裏など、持ってひっくり返せるもの全般。
  • 扉の裏、カーテンの裏など上記の開閉場所の裏。

 大抵のプレイヤーが詰まる謎は、一度調べたと思い込んでいる箇所がほとんど。
 調べた箇所のさらに裏側に何かあるというのは、難易度を簡単に上げかつプレイヤーに理不尽さを感じさせない仕掛け。
 ビンのふたの裏などは、分解した上でひっくり返すという二段の仕掛けだ。

繰り返しで出現

 カーテンのレールの上や梁の上など、同じ箇所を何度か調べると、そこにあるものが落ちてくる。
 ひび割れた壁など、1回では壊れないものも何度か繰り返すと壊れる。

 これも、同じ箇所を何度も調べないという人間の特性を逆手に取ったもの。
 ちょっとずつグラフィックやメッセージが変わるとプレイヤーはそれをヒントにして繰り返しを行うが、ノーヒントの場合は代表的ハマリポイントになる。
 確信が持てるほどのヒントがなければ、2〜 5回程度の繰り返しが許容回数だろう。

ロック・アンド・キー

 脱出ゲームは「何かの障害があってそれを解除する事で先に進む」というロック・アンド・キーの仕組みで全てができていると言っても過言ではない。
 ここではその中でも、正に鍵として使われているものを取り上げる。

 脱出ゲームでは見た目も機能もどう見ても鍵のものはもちろん、カードキーなどの新しいタイプのものも使われる。
 要は、ロックを外すことができるアイテム全般はカギなので、ドライバーなどもカギの一種といえる。

暗証番号

 番号やキーワードなど、物理的な鍵ではなく情報が鍵となるタイプ。
 アイテムを余計に使わないので、割と使い勝手がいい。

 数字が一番ポピュラーだが、アルファベットやトランプや星座のマークなどの記号、色、長さ、音階など色々と工夫されている。
 隠し方も単純に答えがメモに書いてあるものから、幾つかの紙を組み合わせるもの、計算やクイズを解く事で分かるものまで様々にある。

複数の鍵

 ☆などの部屋に散らばった記号を全て探しだすと解錠されるというものもある。
 最終的に集めたコインを解錠装置に投入するとかなら分かるが、どうやって全部発見したと判定しているのか曖昧なものもある、魔法世界だったりするとそれはそれで有りだ。
 現実世界では離れた鍵穴の複数の鍵を一度に回さないと開かない、というセキュリティがあるが、脱出ゲームの主人公は大抵一人きりなので滅多に使われない。

複合タイプ

 チェスなどのボードゲームのコマを並べることで鍵になるというものもある。
 コマが物理的な鍵としての役割を持ち配列が暗証番号の役割を持つという複合的な鍵だ。
 ゲームのために開発された鍵であって、現実にはまず目にする事は無いものだ。

ミニゲーム

 16パズル、ジクソーパズルなどパズルゲームをクリアすると解錠されるとういパターンも多い。
 これもゲームのために開発された鍵、というかゲームが鍵なわけだが。
 似たようなゲームになりがちな脱出ゲームでの独自性の出しどころなので、脱出ゲームそのものではなくパズルゲームの方が主役であるゲームも少なくない。

 鍵が無くても解錠できる上に、人によっては解錠できない可能性も同時にあるという、錠と言っていいかどうか怪しい仕掛けである。

定番アイテム

 基本的にアドベンチャーゲームではあるのでアドベンチャーゲームと同じようなアイテムが使われる。
 とは言え脱出ゲームに出るアイテムに傾向はある。
 鍵は最も重要なアイテムなので別に取り上げたが、残りの代表的なアイテムを取り上げてみる。

メモ

 脱出ゲームに登場する部屋の中にはやたらとメモ紙が出現して、ヒントがちりばめてある。メモにパスワード書いてそのままとか「セキュリティ的にどーよ!」とか思うが、そこはゲームなので。
 とは言え、メモに単純に情報が書かれているだけでなく情報を得るまでにステップが必要になっていることも多い。

  • 分割されている → メモを集めて合わせる。
  • 白紙 → 加熱などの加工で情報が浮かび上がる。
  • 図だけ → 紙のどちらが上が不明なので最高4回試す。

「分割されている」パターンの場合、単純に紙が破られているだけでなく重ねるといったパターンもある。
 もちろん、メモの内容がクイズなどになっているものもある。

 本の内容がヒントとなっているということは意外に少ない。
 単純に本を読ませるのはゲーム中には退屈だし、作る方としても労多くして益の少ない行為だ。
 主人公がものぐさ(とか時間制限があるとか)でタイトルだけ読む、ということで余計な情報を与えないようにしているのか定番。
 プレイヤーがやりたい事をゲーム中の主人公がやらないというのはゲーム的にはいやな感じだが、流石に本を読みたくて脱出ゲームをする人はいないはずなので、主人公が本を読まないという行為はさほど嫌われない。

  • 読む → ヒント。
  • 開く → メモが挟んである。
  • 開く → くり抜いてあって箱代わり。
  • ページが破いてある → ページの内容ではなく、ページの番号がヒント。

 本は単体ではなく本棚に並んでいる事が多く、単体の本とは違う働きをする。
 大量に並んでいる場合ひとつひとつクリックするのは現実的ではなく、触ったあとがあるとか暗い場所で光るとかのヒントがある。
 と同時に最悪全部調べる事でもクリアできるのも悪くない仕掛けと言える。

  • 背表紙を横に読む → 情報。
  • 押したり引いたり → スイッチ。
  • 並べ直す → 一定の順番でスイッチ。
  • 本の高さ → 情報の順番を示す。
  • 本の色 → 情報のグループを示す。

 そんなわけで脱出ゲームの中の本は、本来の役割ではなく、単に「沢山横に並んだ箱」という扱いになる。
 ただそれが服であろうがバッグであろうが家電製品であろうが、はたまた果物であろうが、脱出ゲームの中では結局は箱のバリエーションに過ぎないのだ。

時計

 壁掛け時計や腕時計も登場するが、脱出ゲームは部屋の中が舞台であるので置き時計が良く登場する。

  • 針を特定の位置に合わせる → ダイアル式の鍵の代わり。
  • 止まっている → 針が数字を表したメモ代わり。
  • 針を分解 → 独立したアイテムとして使う。
  • 電池を取り出す → 他の電化製品に使う。

 なかなかバラエティに富んだ使い方がなされるアイテムと言える。
 脱出ゲームでは、デジタルよりもアナログの方が人気。同じ針の位置でも時刻が24時間表記なら2種類表現するし、上をどっちにするかで数字が変わったり、文字盤の色や形で工夫したりと使いやすい。
 それに比べるとデジタルの場合は工夫しづらい。

 なお、時計と類似の物としてカレンダーも良く登場する。こちらは大抵が紙なので、いろいろと書き込みができるのが魅力。

 水は道具の中でも使い勝手の良いもので、色々な使い方がなされる。
 持ち運びのために道具が必要なのも脱出ゲーム的には使いやすい。

  • 鉢植えに水を与える → 芽が出る。
  • 洗って汚れを落とす → 隠れていた情報が現れる。道具が使えるようになる。
  • 熱いものにかける → 冷めて持てるようになる。縮む。
  • 紙を濡らす → ヒントが浮かび上がる。
  • 入れ物に水を流し込む → 色々なものが浮く。
  • 入れ物の水を出す (飲む) →底にあるものが出現。

 その他、料理や薬の材料になったりする事もある。

懐中電灯

 電池がないと使えないので、組み合わせのシステムがあるゲームでは非常に出てきやすい。
 スイッチ操作という手間が必要なのも、操作できる面白さとなっている。
 使用されるアイテムであると同時に、電池の供給源ともなっている。

  • 電池がない → 電池と組み合わせる。
  • 分解する → 電池を得る。
  • 暗がりを照らす → 見えなかった情報・アイテムが見つかる。
  • 壁を照らす → ライトの部分に影絵が仕込んであって情報が見つかる。
  • 分解する → 電池以外のアイテムが入っている。

 アイテムではないが、部屋の明かりのスイッチが仕掛けになっているのはド定番。
 明かりを消すと蛍光塗料が光るというのが、おそらく最も多い使われ方。

動物

 主人公以外の登場人物がいないのが通例の脱出ゲームだが、動物は比較的良く出てくる。犬、猫、ネズミは定番。
 家具でもアイテムでもなく、主人公の意思とは関係なく移動するということが、仕掛けとしては面白い。

  • 動物がアイテムの上にいて取れない → 餌や遊び道具でおびき寄せる。
  • 動物が手の届かないところにいる → 近づくと情報やアイテムが体にくっついている。
  • 手の届かない場所に移動する → アイテムを落とす、仕掛けを動かす。

 たまに主人公自身が動物である事もある。

まとめ

 まず、家捜しをしてアイテムを得るということが、ドラクエを代表とするRPGを持ち出すまでもなく、とにかく人の根源を揺さぶる楽しさがある。
 さらに、アイテムは持ち運べて、家具あるいはアイテムに対して使える。そのため組み合わせが複雑・豊富になり、ゲーム内の世界をアイテムなしの状態に比べて遥かに豊かにする。

 そこで結論。

見つける・集める・合わせる・使う、アイテムの魅力が存分に発揮される脱出ゲームがつまらないはずがない