2006-09

「それは『ポン』から始まった アーケードTVゲームの成り立ち」赤木真澄

それは『ポン』から始まった
 アミューズメント業界紙「Game Machine」の元編集長の著者ならではの視点と豊富な写真資料で、アーケードゲームを軸にエレクトロニクスゲームが辿ってきた四半世紀の歴史を綴る。
 出版直後はサイトでの直接販売だったので、一般書店では手に入れにくかった本書ですが、現在はオンライン書店での購入も可能になっています。ちなみに私は復刊ドットコムで購入。現在はAmazonで高騰してるみたいですが、オークション等を使わずに普通に購入できるので、引っ掛からないように

 編集者を別に通さずに著者本人だけで書いたんじゃないか?と思っちゃうような単純な誤植や、話題があちこち飛ぶ等の構成の荒さ、章タイトルと内容の不一致なども散見されますが、それらを差し引いても内容の素晴らしさは折り紙付きと言えます。
 むしろ、それらの構成の荒さは、複雑なゲーム業界が抱える問題、著者の心に溢れる「書かなきゃいけないこと」が多く、それを力技でここまで平易にまとめた、と賞賛しても構わないでしょう。
 ある程度は黎明期のゲームに詳しくないと、内容がなんだか分かんない気もしますが、ある程度詳しい人には面白くてたまらん内容です。
 とはいえ、そんな詳しくなくても文は読み易く図版も豊富(1/10ページ程度)なので、読み進めるのに引っ掛かりは少ないと思います。

 特に、ゲーム関連の訴訟について詳しく取り上げられているのが興味深く、風俗営業法との絡みに冷静な視点ながらも作者の憤りの噴出も見えます。勢い、本人の感想と事実が入り交じってるとこもありますが、そこはご愛嬌。
 ちょっと前に「ちょっとしたテトリスブーム」の記事で取り上げた、メガドライブのテトリスがマボロシであるわけ、とかも再確認。

 ゲーム知識のスキマがうまるうまる。トリビア的知識が満載。
 特にアタリ社の変遷が、面白かったというか、そこまで流転していたのか!と。前書いた記事の「「ゲーセンUSA ミッドウェイ アーケード トレジャーズ」サクセス」で、はて「なんでミッドウェイ?」とか思ってた疑問も即解消。

 本書を読んで感じたのは「ゲームの常識」なんてものは、誰かがつい最近作ったものに過ぎず、その常識は何か別の「発明」によって簡単にひっくり返ってしまうものでしかない、ということ。
 ビジネスモデルにしろ、ヒットの法則にしろ、「まだまだ簡単にひっくり返るんだ!」というワクワクを感じた。
 実際、本書が取り上げた歴史の後に「ムシキング」や「ニンテンドーDS」が生まれたりしているわけで、ゲーム業界ってまだ若いんだな、どうとでもなるなと。

 例えば、フリッパーの話でデータイーストが出てこないのはなんでだろ、とか色々と人によって気になる部分はあると思いますが、色々な角度からゲームの歴史を考えるための土台として、素晴らしい仕事です。
 また、本書とは別に、ゲームタイトル年表も製作中で10月アタリに出版されるらしいです。

2006-09-01

「忍法八犬伝」山田風太郎

忍法八犬伝(Amazon | bk1) 読了。
 忍者小説の第一人者である山田風太郎が送る、奇想天外忍法帖。

 山田風太郎の忍法帖の中では少々展開に不自然さ(いや荒唐無稽という意味でなくね)もあるんですが、やっぱり面白いのねー。
 本書の場合は八犬伝の主人公達の(ろくでもない)子孫たちが、それでもなんだかんだ言って死力を尽くして、美貌のくの一軍団との凄絶な死闘を展開するという、この設定が面白みのひとつ。
 可憐なヒロインの村雨姫(と言っても奥方だけど)が、やな女だなと思っちゃうと、またずいぶんつまらない小説になるので、もう聖女なんだと思い込んで読みましょう。ははは。

 山田風太郎さんの小説は、なんちゅーても読み易いし文が古くない、と言っても単純なわけではなく、なかなかの美文もちりばめられてて、もう文章の力で読み進められちゃう。
 キャラクタのあれこれやらストーリーのどうこうではない、場面場面の面白さでぐいぐい引っ張る筆力、キャラがばんばん出て必殺忍法を披露し、んでまたばんばん死んじゃう、その刹那感が思えばゲームっぽいなぁ、と思います。
 伝奇小説が好きな方で山田風太郎を読んでないって人もいないとは思いますが、伝奇小説好きは読むべし。

2006-09-02

「ONE PIECE 43 英雄伝説」尾田栄一郎

ONE PIECE 43 英雄伝説(Amazon | bk1) 読了。
 麦わら一味とCP9との対決も佳境、盛り上がってきたワンピースです。

 キャラクタの数が多いもんで、ほぼ全てのキャラが均等に活躍してる感じの本巻は、多少散漫な印象もあります。
 私なんかの頭では、位置関係とか状況がよく分かんなくなってたり。えーと鍵はいま誰と誰が何番もってるんだっけ?とか。

 最近また描き込みが細かくなって、えらい画面の密度です。尾田っちはトーンもあんまり使わない人ので、陰やらなんやらは線で作られてます。いや、印刷技術が上がったからといって、ここまでやるのはどーよ。一部のコマ小さ過ぎるよ。1巻読んだら、変わってないようで、全然絵が違うよ。まぁ43巻も続けりゃ当たり前ですが。
 もっと初期のような、少年漫画らしい太い線も使っていいんでないかなぁー。絵は上手くて格好いいけど、ちと読みづらい。

 これだけの巻数になってくると、以前の伏線とかかなり忘れちゃってて、本当なら感動してもいいセリフに感動できてないんじゃないか、とか心配になっちゃいます。
 そろそろ、読み返した方が良いんじゃなかろうか。

2006-09-04

「ビリー・ミリガンと23の棺」ダニエル・キイス

ビリー・ミリガンと23の棺 上(Amazon | bk1)
ビリー・ミリガンと23の棺 下(Amazon | bk1) 読了。
 多重人格を扱うノンフィクション。

「24人のビリーミリガン 上」(Amazon | bk1)と「24人のビリーミリガン 下」(Amazon | bk1)の続編となるのが「ビリー・ミリガンと23の棺」だ。

 内容はビリーの受けた子供のころ、さらに精神病棟内で虐待とそれに対する戦いの記録。
 ビリー(の人格の一人)はレイプ犯でもあるので、他の事件についても次々と嫌疑がかかる。
 それらに、ビリーは絵画の才能など24人の人格の持つ力を発揮しつつ抵抗し、あるいは逃げたりしながら、安定した精神状況を作ろうと格闘して死にそうになりつつも生き続ける。
 その能力を駆使して金を稼ぎ、自立しようとするビリー。しかし、多重人格の入れ替わりで、何もできなくなったり、逆に思い切ったことをしすぎてしまったり。その道程は波瀾万丈だ。
 前作にはビリーに関連する写真や、彼の描いた絵などの図版があったが、本作ではないので、ほとんど小説のような気分で読んでしまった。ノンフィクションに分類される本書であるが「全てに、虚構がない」というより「全てが虚構、ではない」と言った方が近いかもしれない。

 ダニエル・キイスといえば、「アルジャーノンに花束を」(Amazon | bk1)で有名なSF作家ということになるだろうが、その後の執筆活動は多重人格のノンフィクションに移行する。
 作者の資質が記者より作家の方にあるだけに、内容はノンフィクションでありつつも小説的な手法で描かれていて、冷徹で公平な視点ではなく、主人公ビリーへの感情移入が強い。このあたり、以前のエントリで紹介した「女盗賊プーラン」プーラン・デヴィと似ている。主人公が語ったことを中心に構成しているからだろう。
 つまり、事件を描いているのではなく、あくまでも人間を描こうとしている作品であるわけだ。
 このことの善し悪しはともかく、「24人のビリーミリガン」を読み、感銘を受けた人、その後のビリーを知りたい人にはぜひ読んでもらいたい(といっても、どこの古本屋にも低価格で並んでいるから、既に読んでると思うけど)

2006-09-06

「銃夢 Last Order 8,9」木城ゆきと

銃夢 Last Order 8(Amazon | bk1)
銃夢 Last Order 9(Amazon | bk1) 読了。
 ヴィルマ(カエルラ)を中心として、世界の過去が語られるこの二巻、8はちょっとだけ、9に至っては主人公のガリィは一切出ない。

 設定に違和感は感じてたけど、正直カエルラがこんなにクローズアップされて描かれるキャラとは思ってませんでしたよ。歴史を描くために不老者の設定がついてたわけかー。
 不老の一族の回りで定命の者の時間がどんどん過ぎ去って行き世代が変わる、そのあたりにオールディーズSFっぽいテイストを感じました。
 サイバネティクスが広まる以前の時代を描いているので、戦闘が完全に生身なのが、銃夢世界では逆に新鮮な感じもする。
 奇麗にこの二巻でまとまってるんですが、その後どう本編に戻して行くのか、次の巻が楽しみですね。

 どうも大まかな筋というか設定は事前に決めてあるようなので、かなり前に出した伏線がポッコリ現れるんだけど、こちとらすっかり忘れてるという有様。Last Orderだけ最初から読み返しちゃった私。

オフィシャルサイト : YUKITOPIA

2006-09-06

iTunesたん、Yahoo!へ

ウィジェット詳細-iTunesたん

 Yahoo!ウィジェットのギャラリーに、iTunesたんを登録してみました。
 別段バージョンアップしたわけでもないですが、ギャラリーが作られたばかりの今のうちに登録しておくかなという感じで。

2006-09-07

「仮面ライダーSPIRITS 10」村枝賢一

仮面ライダーSPIRITS 10(Amazon | bk1) 読了。
 村枝さんがライダーが好きでライダーを描いていることが、ページからぐいぐい伝わってくる。
 劇中の歌詞を背にライダーが疾走するだけで泣けてくるのは何故だ!

 Σc ' _' )  < おっさんだからじゃないか?
 $ σ_σ$  < おっさんだからね。

 せめて、漢だからにしてくれよー。
 それはともかく、ライダーマンがカッコイイ。
 ライダーマンは口がマスクに隠れずにそのまんま出てるし、バイクは市販のものそのまんまだし、「なんだか手抜きっぽくて」好きじゃなかったんだけど、どんどん好きになるなーああ村枝マジック。

2006-09-07

私の愛機はMac mini

 Mac miniを購入しました、んで…

 最近はセットアップなぞやってたんですが、実際は着いたその日に新しいMac miniが発売になりへこんでいたというのが、正確なところです。
 思わず送り返そうかと思ったんですが、開封すると10%落ち、未開封でもカスタマイズしたモデルは返品(クーリングオフ)不可。とゆーことで。てゆーかメモリ増設しない人なんかいないと思う。
 私の愛機は、Core Soloなのよー。いえーい速いぜー(G4 Cubeに比べたら)
 新バージョン(バージョンアップモデルが登場したタイミングで買うのが賢い消費者だよね、うん)


 いや、そろそろ新モデルなのかなとか思ったんですけどね。
 FireWireがいかれてしまったCubeがこのままいきなり壊れてしまう悪夢に襲われ、いてもたってもいられなくなって買ったという。
 購入後、手持ちのスタジオディスプレイがADC形式のコネクタだから、miniに直接は接続できないということが判明、泥縄式にディスプレイを購入。ふっ、iMac買えばよかったかもしんまい。

 さらに、私は親指シフト愛好者でもあるんですが、Intel MacでOyayubiDriverが動かない、オウチ。
 SourceForge.jp: Project Info - TESLA 親指シフト for Mac OS Xからソースをダウンロードして付属のXCodeで再ビルド、それでなんとか動きました。てなわけで現在はTeslaを使ってます。
 専用キーボードに比べると快適さがかなり落ちますが、どうにか親指シフトで入力できてます。

2006-09-11

Apple、映画ダウンロードへ

リビングへ進出するアップル、映画ダウンロードと新型iPodを発表 - CNET Japan
フォトレポート:アップルのジョブズCEO、iPodの新モデルやiTVを発表 - CNET Japan
アップル、iPodシリーズを一新 - nanoとshuffleは第2世代に (MYCOMジャーナル)
ウワサは本当だった!! 映画のダウンロード配信に対応した『iTunes 7.0』が登場

 てなわけで、いよいよ映画のダウンロード販売へと踏み切ったAppleです。
 テレビで視聴できるiTV(仮称)も計画されているそうで、大きな時代の流れを感じます。

 さらにゲームの販売も600円で始めるそうです。
 まずは「パックマン」アメリカ向けとしてはガチンコのタイトルですね。なんつっても、「ナイトライダー」の人工知能キットの有り余るパワーを駆使してマイケルが遊んでいたぐらいですから、って例えが分かりにくいですか。
 さらには「テトリス」。資本主義社会の労働力を奪い崩壊に導く情報兵器、とまでいわれたゲーム。
 後は、shockwave.comにあるようなゲームをあわせて計9本と。
 いやー「数独」を入れると思ったのに、少なくとも初期ラインナップには無いみたいね。
 多分、ゲームはそれほど力が入っているようにも見えないし、ものすごいサウンドに凝った「ドラゴンクエスト」とか出るみたいな話もなさそうだし、そう言えばそういうのもあったね機能、になりそうな予感もします。

2006-09-13

Wiiの発売日と価格が決定

任天堂ニュースリリース2006年12月2日、25,000円“WiiTM” 発売
任天堂 Wii イベント速報:12月2日発売、2万5000円 - Engadget Japanese
 とまー、発売日と価格が決定したようです。

 Wii Preview 社長プレゼン全文も読み応えがありますな。旬であり上り調子の任天堂のプレゼン、岩田社長てば、この間のAppleのスティーブ=ジョブズを超えたな。
 しかし、リモコンとかチャンネルとか、TVメタファでゲーム機を売ろうというのが明確。怖くないんですよー、TVみたいに気軽にドーゾ、というかんじ。
 バーチャルコンソールにMSXも加わるのは、始めての情報だったっけ?こうなると、ネオジオとかもありえるなー。
 Wiiでは、セガのコーポレイトカラーである水色をがんがん使っている。任天堂がこれだけ使うと、もうセガの色じゃないのだなぁ、とちょっと寂しくもあり。

 現在、任天堂のサイトWii トピックスで連載中の社長が訊く Wii プロジェクト - Vol.1 Wii ハード編を読むと、かなりの自信を持っているようですし、疑り深い私も、さすがにもう今年中に出ることを信じない訳にもいきません。
 社長が部下にインタビューするという形式は、答えにくそうな感じもしますが、出てきたものはえらく好感度の高い記事。全部ライターが書いてるんじゃないかと思うぐらい和気あいあいとしつつ、なんか鋭い質問やすっとぼけた答えが出てます。もちろん、ある程度の編集はしてあるはずですし、インタビュー前に会議があったと思いますが、それにしてもできがいい。ゲームファンが聞きたいことが聞かれていて、答えてある、そして買ってみてのお楽しみ的な秘密もちらつかせるという。
 任天堂がこうもインターネットのあしらいがうまくなるとは、10年前は想像ついてなかった。
 しかし、鳶嶋工房ゲームザッキ - 任天堂はメディア対策を反省しているで、ほぼ日との関わりをどう考えているのか、というようなことを書いたけど。
 このインタビュー、ほぼ日の編集としか思えん。そうでなかったらパクリと言っていいほどのスタイルの近さ。

参考:Wii.com JP

2006-09-14

台風13号と停電

 いやー、停電ですよ停電。
 10時間以上停電して、夜にロウソクで過ごすなんてのは、ものすごく久しぶりです。
 電気が無いと、パソコンもできないし本も読めない、時間が過ぎるのが遅くなりますね。

 ラジオで「停電の状況はパソコンでは(えいちてぃーてぃーぴー、うんぬんかんぬん)をご覧ください」と言ってたのが、ちょい間抜けな感じでした。もちろん、バッテリーで見れる人もいるでしょうけど。

 台風でいろんなものが飛んでいるので、復旧はしばらくかかりそうです。

2006-09-18

AppleScript PARK移転

 AppleScript PARKをtonbi.jpドメインに移転しました。
 せっかくgoogleランクも割とよかったのにもったいない気もしますが、長期的展望にたって、こっちに移しました。

 基本的にメンテナンスモードで、勢いが出たらなんか追加、という感じでまったり運営していこうと思います。

2006-09-19

「スティール・ボール・ラン 9」荒木飛呂彦

スティール・ボール・ラン 9(Amazon | bk1)読了。
 アメリカ大陸横断、なんでもありの超伝奇レースも各キャラクタの能力も安定してきて、 大きな謎にぐいぐい迫っていく展開だ。
 しかし、どう畳んでいくのかこの話。

 どこがどうと指摘できる訳でもないが、なんだかこの巻の絵の作りは、また一段と高みへ登ったような感じがする。
 コマ割りも、相変わらず独特かつ、新たなアイディアもあって、面白い。

2006-09-20

「ストーンオーシャン」荒木飛呂彦

ストーンオーシャン(Amazon | bk1) 再読。
 ジョジョ第六部にして、初の女性主人公。

 読み返すと、いろいろと新しい発見がある。ストーンオーシャンでは、コマのページ外側の斜め切りと、丸ゴマが混在してたんだなーとか、コマ割りとか擬音みたいなのも楽しめるのが荒木漫画。
 私の記憶なんか何の役にも立たないもんで、アナスイってあんな早くに登場してたんだー、とか思いつつ一気に読む。

 個人的には、第二部のリサリサが人気あったんで、第四部あたりで女性主人公になるだろうと予想してたんだけど、実際は第六部。
「魔少年ビーティー」(Amazon | bk1) で、主人公の憧れの女性のなんというか、有り体に言って不細工さに当時びっくりしたもんだが、「ゴージャス★アイリン」(Amazon | bk1)で、かなり訓練したこともあり、「萌え」はありえないけど、ちゃんと美女は美女に描ける自信がついてたんじゃないかと思ってた。アイリンの後で連載されたジョジョ、そろそろ(四部は)女性だなと予想したんだけど。
 第六部になるまで主人公にしなかったのは、荒木さんにとって女性キャラに自信がなかったんじゃなかろーか。たとえ絵的に克服したとしても、心理描写とか。

 結局、ストーンオーシャンの主人公のジョリーンの心理描写はどうかというと、歴代ジョジョの魂を受け継いでいるだけあって、きわめて男前であり、冒頭での乙女チックなラブラブぶりも、かなり嘘くさいのは否定できない。
 イライラするようなすれ違いラブストーリー、とか荒木漫画でやられて嬉しいかどうか、特にジョジョなんだから、女性主人公が男前なのは間違いじゃない。といっても第一部はラブストーリー的展開もズギューン!!とありはしたけど、中心に据えると「違う」と思う。
 絵的にも女性っぽいかわいらしい描写はなく、サブキャラの皆様方も、男か女か分からないような皆さんで、男であるアナスイの方が美しく見えたりするという、せっかく女性沢山出したのに、見た目があんまり華やかになってません。
 女性である故にパワーで押していく訳ではなく、頭脳戦の様相となってくるんだが、「状況の説明」「解決」「解決方法の解説」というパターンが繰り返されるので、推理パズル本とかが好きな人でないと、面倒くさい漫画になっているような気もせんでもない。
 だらっと読んでいると、なんで解決できたのか理解できなかったりもする。

 限定された舞台状況、各キャラクタの特殊能力、排除すべき障害、が設定されていて、それを克服するパターンは非常にゲーム的。ただ、ゲームにするには、能力の応用がどこまでできるのかはっきりしなかったりして、大変そうではある。
 例えば、特殊能力であるスタンド能力のパターンで、「触れたものに効果」というものが多いが、その効果範囲は今ひとつよく分からなかったりする。どこまでが効果範囲(つながったもの)と見なされるのかとか、効果が広がる速度はどの程度なのかとか、効果は急に切れるのか徐々に弱くなるのか、その辺展開の都合で適宜設定しているようなので、パズルとしては失格ではある。
 でも、あくまでも漫画であってパズルじゃないから「おおっそうくるか」とか「そうくると思ったよ」とか野次馬的な感覚で楽しめる。

 私はフーファイターズがお気に入り。人の心を持った人でないもの、に惹かれてしょうがない。
 ファン的には、ちょい役でアイリンが登場してほしかった気も。「バオー来訪者」(Amazon | bk1)のスミレでもいいよ。

2006-09-24

「ジョジョの奇妙な冒険 Part5(黄金の風)」荒木飛呂彦

「ジョジョの奇妙な冒険 Part5(黄金の風)」 再読。
参考:黄金の風 - Wikipedia
参考:カプコン「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の旋風」(Amazon)

 さて、最近ジョジョを遡って読んでみたりしているわけですが、かなり忘れてて新鮮な気持ちで一気に読めます。
 結構似たタイプのスタンドが出てるんだなー、というのが新たな感想。分割してくっつけるスタンド、って定番になってるし。

 第四部から思ってたんだけど、回復系の能力の主人公だと、「どーせ治せるんでしょ」とか思って白けるところもあります。
 本作では主人公のジョルノ以外にもブチャラティが回復(接続)系の能力なこともあって、やたら負傷しますし、人体切断がなんだかレゴブロックのような感覚で行われているような気もせんでもありません。そういう意味でのパズルっぽさもあったりします。
 ただ、自分だったら痛くて、その後の行動はとれそうにありません。この漫画のキャラ、根性あり過ぎです。

 犯罪者集団の中の抗争劇ということで、出てくるキャラが犯罪者につぐ犯罪者、いやもー少年誌向けじゃないよ、教育上悪いよ、と思わんでもない。
 警察や探偵のような分かりやすい正義側の主要キャラクタはいないので、クライムサスペンスという感じでもなく、ピカレスクでもないよーな。なんツーか、荒木さんってば犯罪者を描くの好きだよなぁ。実は主人公を際立たせるための方便であって、好きじゃないのかもしれないけど、どーも楽しそうに思えてしょうがない。

 ゲームで言ったらパーティー制を採用している風で、ほとんどの場面でチーム行動をしてます。
 ある種、スポコンものに似た雰囲気もあったりします。

 コマ割りとしては、丸ゴマの使い方をいろいろと試行錯誤していて安定感がないけど、それがまた面白かったり。それにしても、この第五部はコマの角が直角のものがないんじゃなかろうか。

 イタリアが舞台なのに、第二部より第三部とのつながりが色濃いのが、不満といえば不満。
 第二部と重ねると、どうしてもカーズが出てくるんだろそうだろ、という考えが読者に湧くので避けたんじゃないかと予想します。なんだか荒木さんはカーズはもうイイダロ的発言が多いからなぁ。

2006-09-26

「ジョジョの奇妙な冒険 Part4(ダイヤモンドは砕けない)」荒木飛呂彦

「ジョジョの奇妙な冒険 Part4(ダイヤモンドは砕けない)」再読。
参考:ダイヤモンドは砕けない - Wikipedia

 移動が多い他のジョジョとは違い、杜王町という日本の架空の地域を舞台にした異色の作品。
 街の地図が作り込んであって、地図好きとしてはたまらん感じで、読者は読んでいるうちに、だんだん町になじんでくる感覚がある。
 杜王町地図をコピーして、それに書き込みながら読んだりしても面白そうだ。

 基本的にはジョジョは第三部で終わるつもりだったらしいので、いい意味で仕切り直しができて、スタンドのアイディアや各エピソードの奔放さが面白い。個人的にもかなり好きなパートで、特にトニオが出るエピソードが印象深い。
 全く何の伏線でもない単発のエピソードが多く、逆にそこが荒木漫画の真骨頂な感じ。ある意味じゃ学園ものでもあり「魔少年ビーティー」(Amazon | bk1)に似た雰囲気もある。順主人公の広瀬康一が、ビーティーのワトソン役である麦刈公一によく似てるから感じるだけな気もするけど。

 絵的には安定感が出てきて、荒木絵柄の一応の完成をみた感じもするが、一部の登場人物の頭身がどんどん縮む等、実験精神もふんだんに現れていて、積極的に変えていこうという面も見える。流石。
 女の子の絵が、一番かわいいパートなので和む。たぶん、荒木さんはどっかで「日本人女性はかわいく描きたい」と思っているとみた。

 主人公のスタンド能力として、治す(直す)を持っている。これが非常に強力で戦術の幅が広がったが、少々負傷しても危機感がないという第五部と同様の問題がある。
 ただ、短編を並べた作りであって影響が長引かないことや、自分自身は治せないことから、第五部ほど白けた感じは受けない。

 このパートのキャラクタである吉良吉影は、「死刑執行中脱獄進行中」(Amazon | bk1)に収録されている「デッドマンズQ」という短編に過去を忘れた幽霊として登場しており、作者の思い入れを感じさせる。
 やっぱし荒木さん、犯罪者が大好きなんじゃ…。特に猟奇犯罪者が。

 ちなみに、「死刑執行中脱獄進行中」には同じく、この第四部から岸辺露伴が登場する短編も入っている。この岸辺露伴は、荒木少年が想像したすごい漫画家、のイメージそのものなんだろう。あるいはなりたい漫画家像であるかもしれない。

2006-09-27

任天堂「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」が爆発しているらしい


任天堂「ポケットモンスター ダイヤモンド」


任天堂「ポケットモンスター パール」

 案の定売れまくっているようです。トリプルミリオン連発のDSにおいて、さらに伝説を作ってしまう勢い。既に転売してるやつがいるなぁ…。暇なおばさんとか、やくざのシノギだったりせんだろうな。欲しくても買えない全国のキッズに、定価で売ってやれよ!!
 アニメも新シリーズだし、丁寧な雑誌展開に、TVCMの重点投下、これでもかの攻勢。DS持ってないのに欲しくなるよ。
 しかしこれだけDSに勢いがあると、正直、任天堂Wiiが全く売れなくても困らないんじゃないの?という感じだ。

 Wi-Fi通信で対戦や交換はもちろん、音声チャット(要するに電話)もできる。つながらなくなるNTTの光IP電話なんか止めて、ポケモン買おう!(無茶な)
 例によって、ともだちコード交換によるサンドボックス安心設計だから、変な人とつながったりしない。
 現在はあくまでものゲームの付加要素だが、この勢いで持続して売れると、音声通信インフラとしてもなんだか成立しちゃいそうだ。

参考:オフィシャルサイトヤフーきっず(ポケモンガーデンの作り込みが恐ろしい)
参考:オフィシャルサイトpokemon
参考:オフィシャルサイト任天堂

2006-09-29