スーパーマリオギャラクシー2

対応機種・周辺機器
Wii(ヌンチャク必須・SDカード対応)
ジャンル
3Dアクション
著作・制作
(c)Nintendo

基本情報

 前作スーパーマリオギャラクシーから2年と少し、同じプラットフォームで3Dマリオの2本目が出るのは初めて。
 そもそも、タイトルに2がつくことはあまりないのがマリオシリーズで、毎回大幅なリニューアルをかけてくるのが常である。

 つまり今回は、①前作のできに自信があった、②前作にやり残しがあった、ということかと思う。
 実際、社長が訊く スーパーマリオギャラクシー2では、そういうことが語られている。

システム

 基本的には前作そのまんまなので、主にどこが変わっているかについて書く。

細かいブラッシュアップ

 前作では再開ポイントが曖昧だったので「ここまで頑張ろう」という目標が立てにくかったが、明確な印ができて分かりやすくなった。
 ただその印が旗という溢れるセガソニック・ザ・ヘッジホッグ感に、任天堂? みたいな気分になる。マリオもラストは旗だけど。
 あと一歩踏み込んで旗で途中セーブさせて欲しかった。2010年はもう、旗にたどり着くまでの数分が面倒臭いのだ。

 2Pのポインタは、前作でできたスターピースを集めたり撃ったりに加え、直接敵を倒したりアイテムを取ったりできる。
 二人同時プレイにすると難易度が激減する仕組みだが、それは正しい選択でもあると思う。
 2Pとして参加してもしなくても同じ難しさだったら、参加する意味自体ないと思われてもしょうがない。

 カメラ操作は相変わらず限定的なのだが、オートカメラが見やすいので視点変更をしたくなるシーン自体が減っている。
 オートカメラとはいえ、その動きは職人芸的に手作業で設定していったらしく、その労力を考えるとクラクラくる。

 ボタン選択がリモコンのポイントだけでなく、スティックや十字キーでできるようになっている。
 Wii本体のメニュー操作をはじめ、Wiiのソフトはポイントでしか選択できないことが多いの、従来の操作の軽視だと思っていたので、この時期になってやっとマトモなUIになった感じだ。
 これは本作のレビューというより、Wii全体での話だが。

 重力方向が変化する仕掛けは、主に2D的なサイドビューで行うようになったので、前作より分かりやすくなっている。
 ただ、3Dでやってたセガソニックアドベンチャーから、2Dでやってたカプコンストライダー飛竜に先祖返りした感もある。
 全体的に3Dの空間を2Dに動くという構成になっており、技術のショーケース的にはつまらないが、ゲーム的には面白いという無難な選択だ。
 ただ、任天堂には「技術的にもゲーム的にも面白い」を期待してしまう。

 という感じで、なくても作品の大勢に影響は与えないけど、あると確実に良くなる改良が多くなされている。
 ただ、踏みつけがやりづらいのはなんの改善もなく、むしろ単体でも難しいのを連続でできるとドヤれていいでしょ、みたいな調整されてるところが多い。
 2Dですら踏みつけが下手くそでうまくできないのに、ひどいよ任天堂!!

さらに大量のアクション投入

 前作のレビューでは「マリオの変身でお茶を濁してる」みたいなことを書いたが、本作ではもう開き直ったのか、1ギャラクシー(ステージ)1アクションぐらいの量で多くのアクションが用意されている。
 前作の変身パターンはほとんど残っている上に、マリオシリーズでおなじみのヨッシーが登場し、ダッシュヨッシー・バルーンヨッシー・ライトヨッシーのバリエーションがある。
 さらに、ドリルと雲マリオ・ゴロ岩マリオが追加された。
 前作にあった玉乗りやポイントした場所に引っ張られるアクションも残っているし、グライバードという鳥に捕まって飛ぶアクションもあるし、3Dマリオではお馴染みの滑り台(スライダー)もある。
 ほとんど別のゲームが節操なく入っている感じだ。

 バラエティ豊かなことに加えギャラクシーが短めであることもあって、メイドインワリオマリオパーティーのような、ミニゲームがたくさん入ったゲームに近づいた印象。
 前作の「いろんなルールがあってめんどくさい」というレベルから突き抜けて、「いろんなゲームが入ってて楽しい」ってレベルになっている。
 こうなると、いちいちアイテムを取って変身するという行程が面倒臭く感じる。
 スーパーマリオブラザーズは、ゲーム開始時点でクリアに必要な能力を全て持っていて、巨大化も炎の玉も無敵も無くてもどうにかなるものだった。
 それに習ってギャラクシーの最初で変身して、抜けたら戻るんでいいんじゃないの?

 グラフィックはテクスチャの統一感が出た感じはするが、前述の通りゲーム自体のバラエティ感の高まりもあり、少々まとまりがなくても気にならない。

繰り越されたシステム

 走り幅跳びの使いどころが増えたのは良かった。
 しかし、横宙返りや三段跳び使いどころが限定されているし使いづらい。
 バク宙は使いどころはあるものの、テンポが悪くて使い勝手は良くない。
 スーパーマリオ64のパンチはあっさり廃止したのに、これらのイマイチ使い勝手のよくないジャンプ系の技がずっと残っている意味が良くわからない。

 単純に難しくなったぶん前作より残機の意味はあるが、残機制を採用すること自体に疑問が残る。

ストーリー

 前作は、ある程度進むごとに絵本の続きが読める、ということで物語による牽引力があったのだが、本作ではびっくりするほど物語的な仕掛けがない。
 スーパーマリオサンシャインのモンテ族など登場する種族が増えているが、ゲームのルール説明やヒントに当たる会話が主で物語感がない。
 物語はゲームの添え物と思っている方ではあるが、これだけのボリュームがあって物語が希薄なのは、思った以上にプレイする気が起きない。
 ゲーム自体は抜群に面白いし、1ギャラクシーは短めなので始めるのにあまり覚悟を必要としないのにだ。

 未プレイのギャラクシーが多く状況が発生する前作に比べ、本作はマップが一本道+短い枝分かれ程度で、スーパーマリオブラザーズ3に先祖返りしたような印象だ。
 選択肢が多すぎて選べなくなる状態を避けようという意図だろうが、地上なら納得できる道の制限も宇宙というモチーフには合ってない。
 選択の幅があまりないので、もう不得意(嫌い)なのしかないのにそれクリアしないと先に進めない、みたいな状態になっちゃう。
 個人的には、レースタイプのスティックの微妙な操作が必要なもの、敵をたくさん倒す必要があるもの、この辺りがとてもクリアできる気がしないほど高難度に感じた。
 エンディングまでに必要なスターの3倍以上を用意しているのに、ほとんどはエンディングを超えないと取りに行けないとか、ケチケチしすぎだ。

 ゲームの拠点となる船がマリオの顔というのが、久しぶりにスーパーマリオの意味不明な世界観を正面からぶつけられた気がする。
 この船に少しずつ住人が増えたりして変化がつくが、何か欠けていて完成に向かっているといった設定もなく、ただ増えていくので充実感に欠ける。

 オープニングで絵本のような表示がされ、「あれ? 進まないな」と思ったらそこでもう操作できる状態になっていた。
 この仕掛けは非常に面白く、これが時々挿入されるのだな、と思ったらエンディングまでなかったのはガッカリだった。

 あと、前作ではルイージが写真送ってきた場所を探すというイベントがあって、ルイージのお騒がせキャラが起っていたが、本作のルイージは単なる別性能キャラで、全然面白みがない。

初心者対策

 当時の任天堂は、ゲームらしいゲームが避けられる傾向にある風潮に危機感を覚えていたようで、本作にははじめてのスーパーマリオギャラクシー2というDVDがつく。
 Wii用のディスクではなく映像DVDというのがもう「ゲーム機(コントローラ)に触れるのがもう怖い」ぐらいの人を想定してる感じで、「そこまで卑屈にならんでも…」と思う。
 その割に、ゲーム内容自体は容赦がなくプレイヤーを突き落としてくる相変わらずの任天堂で安心するところもあるが、チグハグに感じたのも確か。

 またゲーム中も、ところどころにサンプルプレイムービーを見せてくれる看板が立っている。
 これはチュートリアルとしてはよくあるタイプで、任天堂にしては普通のことしてきて逆にびっくり。

 何度も繰り返し同じギャラクシーでミスを重ねていると、コースを自動でクリアしてくれる仕組みがある。
 オートでマリオが動き回るのすごいし、プレイの参考になるので便利だが、それでクリアした時の敗北感がものすごい。
 何かもうちょっと、負けた感のないシステムを用意して欲しかった。

まとめ

 全体にカメラ位置を真横や真上の2D的にして操作しやすくしているが、そのぶん3Dでは雑にやっても良かった操作がシビアになっている。
 個人的には3Dの方が操作が雑でも許してくれて好きだったのに、2Dの厳しいスキルを求められるようになって辛い。
 おそらく2Dマリオが好きだった層には嬉しいのだろうが、そういう層はNew スーパーマリオブラザーズやってなさいよ!!

 そんな中で、ドリルは土の中を突き抜けて逆側に出るというギミック、雲マリオも自分で三次元的なショートカットを作れる、と3Dの面白さを存分に出してくれたので、その辺りは面白かった。

 ボタンを押した時のリアクション、迷路の先を見つけた時の驚き・喜び、コースをクリアした時の達成感、この辺りまでは極上の作りと言える。
 しかし、次のギャラクシーを探すモチベーションとか、最終目的に向かう意味づけとかが非常に弱く、作り上げたコースの持つボリュームを持て余しているように感じた。

参考

 そこで結論。

コース単位ではパワーアップし、トップの実力を示したが、全体の仕掛けは貧弱になった。