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1995年放送のTVシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」。その作品についてはここでは多くを語らないが、久しぶりに社会現象と呼べるほどの人気を呼んだアニメである。
そのメインスポンサーであるセガが、まだその余韻が残る、というより熱狂のただ中ゲーム化。
ちなみに、2005年現在放送10周年ということで、パチンコやパチスロマシンになったり、アルバムが発売されたりして、ちょっとした懐古ブームも起きている。
本サイトでも、その辺りの流れに乗ってみようかとレビュー。
なんだか本編の結末に納得いかないファンを大量に生み出した問題作なだけに「あなたも監督になれる」という感じの謳い文句は、なかなかにウマいが、詐欺ギリギリだ!
一応は、プレイ後のデータを再生すると、TV同様のオープニングとエンディングにアイキャッチまでついて、30分のTV番組の態とはなるが、監督気分は味わえない。単なる選択肢の少ないアドベンチャーゲーム。
ストーリーモードで一度見た映像を飛ばせないのは、かなり痛い。さらにセーブは自動なので、別の分岐を見たい場合、最初から全部やり直す必要がある。終盤で間違って選択肢選んだら泣ける。元祖、泣きゲーです!(ちゃうて)
もー分岐を全部見る気が失せること請け合い。
分岐マップを用意して、既に見たシーンにはすぐ飛べる位の親切さが欲しかった。
戦闘モードは、ゲージが無くなるまでにコマンドを入力して、攻撃や防御を行うLDゲームのようなフェイズと、ワイヤーフレームで作られた町を移動するフェイズを交互に繰り返すことで進行する。
突っ込みどころは多いが、そこそこゲームになっている、という感じの出来ではある。
敵は使徒が1種類と、シミュレーターでの戦闘で2号機との2種類だけなので、実に寂しい。
基本的に、ゲームとして語る部分は無い。コレが単体のゲームとしたら、単なる駄作である。
このゲームはエヴァの重要なエピソードで、エヴァを語る時には外せないタイトル、なんてコタァ一切ない。
選択肢の選び方では、かなり不条理な進行をするし、台詞の不整合も多い。その不条理さはチュンソフト弟切草や、タイトーサイバリオンを彷彿するほど、と言ったら言い過ぎか?という以前に「サイバリオン」じゃ説明になってない気もするが。
単にストーリーを語れば、箸にも棒にもかからない、と言っていいだろう。
冒頭で主人公のシンジが記憶喪失になる、ということで本編との不整合の言い訳をしているため、何となく「まぁいいか」という気にさせられる。
本編との関連を色々と考えずにすむのは、ある意味親切。
ボリューム的には、TV1本分を体験(作成)するのがコンセプトのようなので、何ともアッサリしたもの。
同社のサクラ大戦が1クールを体験するのと比べると、圧倒的ボリューム不足は否めない。
TV本編と同じキャストで、全編ムービーで進行するってのは、結構エラい。
ただ、シネパックによるVHSに3倍録画したような画質な上に、フルスクリーンではなく、小さい画面で再生されるのは寒い。パッケージ裏に美麗なムービー
とまで書くのは、JAROを恐れぬ所行と言えよう。
また、バストショットの切り返しで進むことも多く、折角のムービーなのにゲーム的画面構成で、映像として貧相。さらに、ムービーなのにほとんど静止画と変わらない場面も多い。
サターンソフトとは別に、インタラクティブDVDとしてリメイクされたソフトがあるので、DVDプレイヤーを使い、フルスクリーン高画質で楽しむことができる、どーしてもサターンでなきゃ嫌、という人でもない限り、そっちを素直に薦める。
DVDにしたからって、ゲームが面白くなるってことは無いだろうが。
インタフェースデザインもあか抜けない感じで、仮決めのまま商品に出したような雰囲気。
文化祭のバンドのボーカルとして、委員長(CV:岩男潤子)が抜擢されると言う、実に渋いチョイスがなされている。コレは、もうこのソフトの
キャラクタのプロフィールの表示やら名台詞の再生やらは無く、グッズに徹しきれなかった部分を感じる。どうにも「サービスサービスぅ」って感じではない。SEGAのSEはserviceのSEじゃないのかよ!!
全体に「やっつけ仕事感」溢れる出来であるのは間違いない。発売時期が大切なソフトだから仕方のない面もあるが、にしてもという感じだ。
マニュアルの表紙を見ると、TV版のサブタイトルの途中に「1st Impression」と、本作の位置が示されている、で更に見ると「2nd Impression」の文字も見える。
どうも、2ndを出すための「練習」として、ちゃっちゃっと作ったソフトのようだ。
公式サイト:新世紀エヴァンゲリオン
Amazon.co.jp:新世紀エヴァンゲリオン インタラクティブDVD: DVD
そこで結論。
「君は、イインチョの歌にいくら出せるか?」
2005-11-28