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詳しいことはシェンムーオフィシャルページを参照のこと。
さて「ヤバイ」しろもんに仕上がってしまった前作だったが、その続編はどう仕上がったのか。
今回はセガのドリームキャストの製造中止を受け、第二章から六章を1つにまとめてある。ちなみに完結は十六章の予定だそうだ。
タイトルが「第二章」ではなく「II」となっているのは、そういう理由だ。
結果的には、これはなかなか良い方向に働いたのではないかと思う。
枝葉をばっさばっさと切ったおかげで、強調したい話やシステムが明確になった。
今回はアナログスティックを移動に使う設定も選択できるが、基本の8方向入力+ダッシュをアナログスティックに割り振っているだけで、アナログのメリットはあまり無い。
しかも、メニューの選択やQTEではアナログスティックを使えないので、いちいち十字キーに持ち替えるのが面倒。特にフリーバトルでアナログスティックが使えて、その中で発生するQTEでアナログスティックが使えないのは大問題。
前作で指摘した、「ファンタジー空間の設定」と、「アクのあるキャラクター」の弱さは、本作では、返還前の香港(他)というイギリスと中国の融合したファンタジックな舞台設定、そして特に港のワルガキのリーダーであるレンというキャラクターが、類型的ながらも印象深い台詞や行動を行い、成功している。
もう一つ「女」が弱いと言う問題も、ロリータからお姉さままで、なかなかバランス良く配置されていて、問題は解消されている。
車(バイク)を主人公の行動から取り去って、ジョイというキャラクターで表現したのも、システムを散漫にさせること無くフレーバーを取り込むという上手いやり方だ。
今回のQTEは、ムービーの途中に挿入する形だけでなく、通常の移動やフリーバトルの最中にも登場し、良いアクセントになっている。
新しくコマンドQTEという連続でいくつかの入力を行うものも採用され、QTEの重要性が高くなっている(ただ、コマンドQTEは画面上の十字キーとボタンのレイアウトが近過ぎて、ちょっと見にくいのは問題)
ゲームとしてのQTEの作りも上手くなっていて単純に面白い。出現する順番を覚え、繰り返し挑戦することで難易度は確実に下がる、上手い人は全て一回だけでクリアすることもできるだろう。いい具合の調整かと思う。
このゲームのQTEは高く評価したい。展開されるストーリーと相まってホントに面白い。
ヘルプシステムは、任天堂「ゼルダの伝説 時のオカリナ」などで採用されている、現在可能な行動が画面に常に表示されているボタンに出るシステムが採用され、分かりやすくなった。
スタートボタンで出るヘルプも健在だが、今回はそれを見なくても、ほとんど問題なくゲームを進めることができた。
マップはかなり広いが、様々な工夫で前作より迷いにくい。
まず、周辺のマップが移動中に常に表示されるのが分かりやすい。
それから、マップ関連で感心したのが、チェイスと言うシステム。
人を追うことで、特定の場所につれていってもらったり、逆に仲間が自分を追ってきたりする。これにより、単独行動ばかりだった前作と異なり、ストーリー上でも広がりができた。
相変わらず、多くのキャラクターがそれぞれの生活リズムを持っていることや、話し掛けに対しフルボイスで、それなりに適切な台詞を言うあたり、恐ろしいほどの作り込みである。
ストーリーを追うだけだったら絶対いかない部屋も、全部作ってある。ホント恐ろしい。
全部の住人に話を聞きマップすべてをぞうきんがけ、というゲームの常識がひっくり返る量である。
ただ、これだけ作り込んでおいて、移動を制限する「透明の壁」が多いのが気になる。
前作でさほど意味の無かったネットワーク系のシステムは無くなっている。
他にも、ストーリー進行上に数日の経過が必要な場面はほとんど無く、どんどん進めていけるのもダラダラ感が無くて引き締まった印象がある。もちろんダラダラ過ごすこともできる。
いろいろな部分でバッサリと切ってあるが、前作で妙に人気のあったガチャガチャは残っていたりする。
そこで結論。
「作ったものを見せない勇気を教えてくれる傑作」
2003-09-21