ジェットセットラジオ

対応機種・周辺機器
ドリームキャスト モデム、ビジュアルメモリ、ぷるぷるぱっく、VGA対応
ジャンル
ストリートアクション
著作・制作
(c)SEGA 2000

 最高のヒップホップミュージックと、新しい表現マンガディメンションを使ったグラフィック。
 クールとはこう言う事だ!、と世に知らしめるため、セガが放つストリートアクション。

 システムは、サンフランシスコをコルベットで走り回るSPECTRUM HOLOBYTE「VETTE!」を始祖とするものである。その正当な後継はセガ「クレイジータクシー」となるだろうが、この「ジェットセットラジオ」も同様のカテゴリーと言えるだろう。
 具体的には、3次元で組み立てられた街に用意されたチェックポイントを全て通れば、後は自由なコースを通ってよいという、オリエンテーリング的なルールだ。
 本作では、スプレー缶を集めてチェックポイントにグラフィティ(落書き)を行うということで、行為自体は犯罪だが、自然にルールを組み込んでいる(ちなみに、読み込み中に「グラフィティ行為は犯罪です」との注意書きがでる)

 トゥーンレンダリングによる3Dグラフィック(本作ではマンガディメンションと呼んでいる)を本格的に採用した初のゲーム。キャラクターデザインは、初の挑戦とは思えないほど、非常に良くできていてかっこいい。また、要所要所に挟まれるダンスをはじめとしてモーションも良い。
 東京のような架空の世界を使っているのは、同社の対戦格闘ゲーム「LAST BRONX 東京番外地」と近いようだが、重要なキーであるグラフィティで代表されるように、ヒップホップ文化をイメージソースとしていることもあり、もっと「スカした」雰囲気がある。
 また、マンガディメンションとともに、タイトルである海賊ラジオ番組「ジェットセットラジオ」のDJがストーリーを語ると言う手法も、いい雰囲気を作り出している。

 自由に移動できる3Dゲームで問題となるカメラワークだが、かなりのスピードて移動するゲームの割に、頑張っていると言える。
 ただ視点を正面に戻す操作がもう一つで、特に壁を背にした時にキャラを真上から見た視点に変わるのは納得いかない。この視点、何の役にも立たんような気がするが…
 コースが複雑なので、周辺をぐるぐる見回せる操作や、周辺マップをメイン画面に表示するオプションも欲しかったところだが、こちらは先ほどの視点変更に比べると重大な問題ではない。
 また、一部QTVRのようにパノラマ風に一枚絵を回転させるシーンがあるが、ちょっと失敗気味。

 移動はインラインスケートで行うため、非常にスピーディーで気持ち良い。様々なトリックを決める事ができるのも、プレイヤーの選択肢を増やし画面に動きを出すだけでなく、キャラクター性も高くなっている。
 特にトリックの中でも、ガードレールや手すり、はては電線までを滑る「グラインド」という技が、操作だけでなくコースにも変化を付けている。
 3次元的な空間を扱うゲームでは、高い所にのぼるにはジャンプを繰り返すなど、ちまちまする傾向がある。しかしグラインドを使えば一気に高い所に上がる事ができるので、プレイのテンポを落とさずに済んでいる。

 街の作りは、行けそうな所にはいけ、行けそうも無い所までグラインドを駆使して到達できる。
 意外なショートカットや、同じコースも鮮やかにクリアできる工夫、トリックを連続で決められるレイアウト、実に良くできている。
 これだけ良くできていると、敵や時間を気にせず、だらだらとプレイできるモードが欲しかった所だ。

 バリエーションはあまり多くないものの、同じステージをいろいろなルールでクリアしたり、ステージに隠された収集アイテムの発見など、大枠の作りは任天堂「スーパーマリオ64」と似たものとなっている。
 これは、まねたと言うより、3D空間を自由に動くゲームは多かれ少なかれ「スーパーマリオ64」的にならざるを得ないほどの完成度の高さが「スーパーマリオ64」あったと言うべきで、その文法をへんにゆがめずに踏襲したのは、本作に安定感を与えたと言えるだろう。

 ゲーム本編でのインタフェースはかなり練られている。しかしメニューの方は作りが粗い部分が多い。また、グラフィティをプレイヤーがデザインできるのだが、そのインタフェースも良くない、スプレーを吹きかけた跡が四角になるのはいくら何でもひどい。本編だけでなく周辺のインタフェースデザインも頑張ってほしかったものだ。

 そこで結論。

「新しい、面白い、かっこいい、これぞセガ!」

そして、ちょっと粗さが残るあたりもセガ


2003-01-29