無双OROCHI Z

対応機種・周辺機器
PlayStation3・Windows(1〜2人)
ジャンル
戦術アクション
著作・制作
(c)コーエーテクモゲームス(オメガフォース)

基本情報

 PS2で2大無双の夢の共演を果たした無双OROCHI(以下、無印)をベースに新キャラと新シナリオを追加した、いわば無双OROCHI 猛将伝である無双OROCHI 魔王再臨(以下、魔王再臨)がPS2(とPSPとXbox360に)発売された。
 本作はその2本をまとめてPS3用に発売されたもの。光栄30周年記念作品で、後にベスト版とWindows版も出ている。
 単に移植版のディスク2枚が入ってるようなものではなく、無印から魔王再臨まで一気通貫でプレイできるようにアレンジされている。
 なお、このレビューはPS3版をプレイしてのもの。

 ストーリーは時代も場所もごっちゃになった世界に無双のキャラが飛ばされてきて世界を元に戻す為に戦う(無印)、けどドッコイそのままの世界に止まって生活してたらまた騒乱が! (魔王再臨)という雑なもの。
 ゲーム的にはさほど重要ではないが、個人的には魔王再臨でも歪んだ時空は戻ってなかったのかよ! って部分に驚いた。

キャラ・グラフィック

 元々はPS2用に作られていたもののPS3移植版であり、シリーズの中でも人気の高い真・三國無双4戦国無双2のキャラが1本にまとまった上にPS3でプレイできるというだけで、もう凄い。
 PS3用に大幅にモデルを作り直したりはしてないようだが、元が「これ本当にPS2か?」と疑う高クオリティなので、迂闊にいじってくれない方がむしろ思い出通りで嬉しい。
 また副次的効果として、軽いモデルをPS3でぶん回すので物量に負けない。
 無双ファンは即買いレベルのナイス企画だ。

 魔王再臨では、平清盛・卑弥呼・義経・悟空・太公望および真・遠呂智が追加。
 さらに真・三國無双2から伏犠・女媧も追加。
 また戦国無双2 猛将伝の追加キャラである前田利家・長宗我部元親・ガラシャ・佐々木小次郎・柴田勝家が参戦。
 そして、Zでは三蔵法師と弁慶が追加の他、中ボス的存在の牛鬼・百々目鬼がプレイアブルキャラとなる。総勢96人。ますます上がる混沌度! 風魔小太郎大歓喜。

戦闘システム

 3人でチームを組むシステムはもともとシリーズ共通で、本作では魔王再臨で導入されたシステムを無印でも使用できる。
 基本は無印のレビューで書いたので、主に魔王再臨で追加されたシステムについて解説する。

 合体技は体力が減って赤くなっている時かつ無双ゲージがフルの際に使える3人同時攻撃で、非常に強力。
 なんだけど、普通にプレイしているとそういう状況になることがほとんどない。
 まず危機になる前に単体の無双乱舞(奥義)でゲージを消費するのが普通。
 そうなると体力が赤くなった時はもうゲージはなくなっている。
 結果本作で合体技を使うには、わざとダメージを受けて体力を赤くして合体技を出してフィニッシュ。
 という流れになるが、フィニッシュできなかった場合に体力赤い上にゲージが空で悲惨なことになる。
 仕様書の時点で、ダメシステムだって気づいて欲しい。
 ちなみに天陣を持つ武器だと体力が赤くなくても発動できるが、最初からそれでいいのでは? それでもゲージ全部なくなるリスクはあるんだよ。

 援護攻撃は、控えキャラの無双ゲージがフルの場合、攻撃を受けている時にガード+攻撃ボタンで発生する反撃技。
 一方的にボコボコにされてそのままゲームオーバーという状況が減るナイスシステムだ。
 なんだけど、空中コンボ受けてる時に援護攻撃できない。
 空中だとキャラ切り替えもできないし「浮かされたら終わり」って状況の解決になってなくて、問題の根本がわかってない。

 戦術は、キャラ毎の条件(撃破数など)を満たすと発生する付加効果で、軍全体のなんらかのパラメータが上がる。
 これはキャラを切り替える理由になるし、キャラ毎の音声による鼓舞が発生してプレイヤー的にもテンションが上がる。
 状況報告が渋滞している場合以外では邪魔にならないし、とてもいいシステムだ。

 無印では十字キーでキャラを切り替えていたが、本作ではL2・R2で切り替える。
 十字キーを移動に設定する意味がわからない。キャラ切り替えと馬呼びに使えば良いのに。
 アーケードスティックでプレイするタイプのゲームじゃないでしょ。

戦場

 無印・魔王再臨共に、マップ上に特に凝った仕掛けはないので、少々単調。
 とはいえ、オメガフォースは凝った仕掛けを入れようとすると大抵失敗する。
 単調だけどウンチが落ちてる道歩くよりマシ、みたいな後ろ向きな高評価だ。

 にも関わらず、大して凝った仕掛けでもないのに、戦術の指示の意味がわからなかったする。
 この辺は、諸葛亮…お前、言葉もまともに扱えないアホなのでは、みたいないつもの無双だ。
 全体マップの施設表示が「説明する気あるのか?」というぐらいの見辛さなのも、わかりづらさに拍車をかける。

 とは言え基本的には、余計なことをしない、ことが良い方に転がっている。
 例えば、既存の「拠点の取り合いとそれによる士気の上下」を戦術的なシステムの基本としていて、わかりやすく面白い。

その他

 特定の条件を満たすと、錬成素材という武器に能力を付加する素材が手に入る。
 無双とアイテム探索の親和性は「極めて低い」ので、本当にやめて欲しい。
 計略なんかは、プレイヤーとしてはやりたいけどシステムの作りが下手なのでまだいいが、アイテム探索はそもそも戦場でやりたいことじゃない。
 素材の入手条件は表示されるので、欲しいのに手に入れる方法がわからない、という状況は発生しづらくはなっている。
 ただ繰り返して書きますが、別にやりたいことじゃない、んですよコーエーテクモさんオメガフォースさん。

 サバイバルやタイムアタックなどのモードがついてるが、これ本気で面白いと思ってるのか疑問。無双のレビューで毎度書いてるが、つまらない。
 本作では1VS1や3VS3の対戦モードがついてて、これは元祖三國無双(真がつかない純粋な対戦格闘ゲーム)を思い出させて、なかなかグッとくるが、対戦用の調整はしてない感じで雰囲気ゲームの域を出ない。

 雑魚が大量に出てくるのは無双らしくてとても良いが、それを実現するためだと思うのだがカメラがより気味かつ下向きで、画面中に映る敵の数は案外少ない。
 遠くを見たくなってつい頭を上にあげてプレイするものの、それで遠くが見えるようになるわけでもなく、首が痛くなるだけだ。
 一応、カメラの角度は変更できるがRスティックを離すと規定位置に戻るので解決にならない。
 これに限らず、壁際など伝統のカメラワークの悪さ。

 無印では外伝という形で提供されていた特別編のステージは、魔王再臨ではドラマティックモードという名に代わり、条件を満たすと出現するようになっている。
 これは(腹心キャラであるとかの)共通する要素を持った3人用のステージで、組み合わせやシナリオのバラエティに富んでおり、本編より楽しいかもしれない。
 最初の一回は固定されたキャラで挑戦する必要があるので、キャラを満遍なく使う理由ともなり、優れたシステムだ。
 既存キャラは立ち絵のイベントとはいえ声も入っており、Zの新規キャラ用にはムービーも用意されて、オマケのレベルではない。
 ステージ出現条件が分からないのが難点。

まとめ

 根本的には無双シリーズの「歴史上のキャラを使って戦場を縦横無尽に駆け、草を刈るように敵を倒していく」という楽しい部分をブーストしたOROCHIというゲーム。
 そのPS2版2本をとめてPS3用の演算性能の上に載っけたのだ、絶対面白いことが保証されていると言っていい。
 ローカル2画面分割プレイも装備されているし、撃破数による各キャラの褒め言葉など掛け合いセリフも豊富、無双に絶対必要な要素がちゃんと入ってて素晴らしい。

 ただ、透明な壁の向こうにアイテムが落ちたら取りに行けない、ことをはじめとしたユーザインタフェースのダメさなど、無双のダメな部分もことごとく引き継いでいる。
 特に本作では、壊しても空の箱が異常に多く、意味不明すぎて怖い。

 本作は無印と魔王再臨を続けてプレイできるように調整されているので、少々無印のステージが簡単な面がある。
 2本分のボリュームが全力で来られても困るところはあるので、システムを統一したことも含めて、パック商品としては、きちんとした作りと言っていいだろう。
 良くも悪くもPS2版と別物と言われるほどの変化がない無難な着地をしている。
 無双シリーズとしては比較的不具合も少なく、敵が瞬間移動する不具合などもアップデートで対応されている。
 なんというか全面的に「鉄板の作り」だ。

参考

 そこで結論。

無双のど真ん中! 無双ってどんなの? の答え! 傑作