メトロイドプライム

対応機種・周辺機器
ゲームキューブ GBAケーブル対応
ジャンル
シューティングアドベンチャー
著作・制作
(c)任天堂 / Retro Studios 2002,2003

基本情報

 人気シリーズでありながら、結局Nintendo64では発売される事が無かったメトロイドの新作が、ついにゲームキューブで発売。
 なんとシステムがサイドビューからオウンビュー(1人称視点)に変更されたこと、新たなバイザーシステムが話題を呼んだ。
 GBAで同時発売されたメトロイドフュージョンと通信する事で、ファミコン版メトロイドが遊べるようになる等のおまけ要素も話題となった。

 海外の会社が開発したものを任天堂が売るというスターフォックスアドベンチャーと同じ体制なのが不安だが、本作ではどうだったのか。

操作性

 1人称視点であるので、正面を向いていると当然足下が見えない。
 しかし、メトロイドシリーズはジャンプアクションを基本とするゲームである。
 適当に歩き回っていると足場が無くなって落下、という事が特に慣れないうちは頻繁に起きる。歩いている状態では端で止まる等の救済策が欲しかったところだ。一応、2段ジャンプが出来るようになると大雑把に跳べるので、問題はほぼ解消される。
 ジャンプの軌道は頂点近くでふわりと滑空するような感じで、方向も空中で修正可能なので、跳んだ後は意外に問題なく着地できる。

 モーフィングしてボールになる事で後方視点に変わる。このことで1人称視点では把握しにくい部分もフォローしているのはウマい。

 敵をロックオンして、その方向を向き続けることができるのは、もう任天堂の3Dゲームのお家芸みたいなもので、本作でも快適に働いている。

 スキャンやロックオンでLトリガを押し込む必要がある操作を多用するため、かなり人差し指が疲れる。このゲームをクリアした時点で、確実に人差し指に筋肉がついたのを実感したほど。
 ただ、ほとんどのスキャン対象物は上下に視点を移動させる事無く、通常の移動だけで正面に捉えることができるように工夫して配置されているので、極力よけいな操作はさせないように快適にできている。

ストーリー

 ストーリーはあってなきようなものだが、今回は敵のパイレーツ側のコンピュータ情報を読むことができるため、主人公サムスの侵入に慌てふためく様子等が読め、なかなか面白い。
 会話というのはメトロイドの孤独な雰囲気と合わないが、こういうクッションを入れる事で、ストーリー性を加えているのは面白い。
 ここで鳥人族やパイレーツ、そしてサムスの秘密が色々明かされているのも、シリーズをプレイしてきているファンには嬉しい。

 問題なのは、同じ単語をカタカナ表記したり、漢字に訳したりしていること。そのせいで、ヒントがヒントになっていない場面もあった。

グラフィック

 舞台は宇宙船から始まり、緑も美しい広場、火山地帯、寒冷地帯、遺跡、基地、水中等バラエティに富んでいる。
 それぞれ美しく、ゲームキューブの持つパワーをあらためて実感させてくれる。

 美しいだけでなく、暗いところには発光体を必ず置いて、壁や足場の位置が分からなくなるという事が無いように工夫されている。
 ただそれはそれとして、最初から明るめのテクスチャにしてほしかったとも思う。

 バイザーに雨粒や霧がくっついたり、たまに主人公サムスの瞳が映り込んだり、えらく細かいところまで作ってある。
 画面に右下にキャノンが表示されているが、主張しすぎないが存在感のある絶妙な大きさで描かれている。ここもサムスの手の細かい演技があり、とかく主人公のキャラクタが薄くなりがちな1人称視点で、サムスの存在感を作り出している。

 スキャンする事で、様々な情報が手に入る。雰囲気を優先したのだろうが、この時のフォントが少々読みづらい。
 フォントが読みづらい上にLトリガ押しっぱなしがつらいので、読むのが嫌になるほどだ。

システム

 1人称視点の問題点として、食らい判定が分かりにくいという事がある。本作の場合は表示されている画面だけに食らい判定があるようで、これは体全体からするとバイザーの部分のみである。「点」と言ってもいいくらい小さい。リアルに考えるとおかしいが、プレイ中の実感としては正しい。
 また、ダメージ床も1人称視点で分かりにくいものの一つだが、本作では段差無しにダメージ床が存在するところは無いようだ。
 だから、訳も分からずダメージを食らう、ということはなく「落ちてダメージを食らう」という感覚でダメージ床が納得されるようになっている。

 ボスのように一度しか出ない敵を倒してしまうと、もうLトリガによるスキャンできないというのは困ったもの。
 一カ所しかセーブできないことと合わせて、コンプリートのハードルが上がっている。これは実際はコンプリートまでしないプレイヤーにもストレスとなるので、パイレーツのコンピュータでも情報を得ることができる等してフォローして欲しかった。

 バイザーとキャノンを切り替える事で、様々な状況に対処し謎を解いて行くのが、このゲームの妙味である。
 切り替えは、十字キーとCスティックを使うため、いちいちメニューを開く必要がなく、スムーズにゲームが進行する。
 キャノンの切り替えは初代メトロイドからあるシステムで、敵や仕掛けに合わせて性質の異なるビームやミサイルを使い分ける。
 バイザーは本作で新たに取り入れられたシステムで、同じマップでも熱センサーやX線のバイザーに切り替える事で、見える情報が異なる。
 マップの多層性を出すシステムとして、なかなか良く働いていると思う。ただ、面白いと面倒くさいの界面にある状態で、キャノン切り替えとスーツの機能と合わせると、システム過剰の一歩手前である気もした。

 マップの切り替え時には読み込みが発生して、読み込みが終わるまで次のマップに移動できない。しかし、読み込んでいる間もリアルタイムにゲームは進行しているので、データ読み込み中でドアが開くのを待っている時に、後ろからガンガン撃たれる、という事がままある。
 読み込み中もリアルタイムにゲームが進行するのは凄いが、こんな仕打ちを受けるんだったら、むしろゲームが止まって「Now Loading...」とでも表示してくれた方が良かった。

 パワーアップ前でもプレイテクニックだけで、ずっと先で手に入る筈のアイテムを取れるスーパーメトロイド程の自由度や深さは無いが、ゲームそのものはメトロイド以外の何者でもない。
 新たな能力を手に入れて行動範囲が広がって行くという、任天堂の王道パターンを丁寧に作り込んである。マンネリでもなんでも、面白いんだからしょうがない。

難易度

 ゲームの難易度は少し高めと言えるかと思うが、繰り返しチャレンジすると確実に落ちて行く高さである。
 例えば、攻撃を受けずに進めるルートや、敵を簡単に倒せる方法などが用意されている。
 しかも、氷に弱い敵は白い色が付いている等、露骨と言っていいぐらい分かりやすい。
 2週目はハードでチャレンジしたのにも関わらず、プレイヤーである自身のスキルが上がっていたので、むしろ最初より簡単に感じたぐらい。
 …ほとんど単に敵の体力が上がってるだけ、という難易度調整なので、当然と言えば当然か。

 また次に進むべき場所も、適宜表示されるという親切ぶりもあり、迷う事もほとんどない。
 ただやらされている感が強くなる事もあり、親切すぎる気もする。ちなみに、このヒントはオフにもできる。
 海外で作られただけあって洋ゲー的な部分が多く、そこに任天堂チェックが入ってプレイヤーに優しく調整されたのが、このヒントシステムといったところだろうが、後付け感が強くチグハグに感じた。

 とは言え、難しいもんは難しいので、必死で体力や弾数増加アイテムを探すこととなる。
 これらのアイテムの配置が巧く、これにより難易度調整がなされている。
 ただし、結局のところアイテム探しもアクションも不得意な人には、お手上げのゲームだし、後半はそうでなくても厳しい。

 また、セーブ地点も絶妙な場所に作られていて、ボスの直前ではなく少し離れている場所にあるので、ボスにたどり着くまでにいかに体力を減らさないか、倒した後にどのセーブポイントに進むか、そのあたりも含めてボス攻略となっている。
 でもそういう作りなんだから、特に後半のボスの体力はもう少し減らしてくれた方が良かったかと思う。
 ボスにたどり着いた時点で疲労困憊な上、あまりに敵の体力が減らないんで、攻撃方法間違ってるかと思ったぐらいだ。

 マップは非常に良く作られているが、かなり行ったり来たりする必要があるので、移動が面倒。
 もっとショートカットが大胆にできるようにしてほしかった。宇宙船呼べるとか、大砲の玉になって飛んで行けるぐらいの勢いで。

 色々と工夫して、1人称視点での不具合を解消しているが、逆にここまでやらないと快適に遊べない視点である事も再確認した。
 さらには、ただでさえ3D酔いが起きやすくて敬遠されがちなのに、これでもFPSの中では難しい方ではないってのは、FPSというジャンルの先行きを不安にさせる。

関連

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 そこで結論。

「見事に3Dで生まれ変わった傑作」


2005-10-13 2005-10-18