メトロイドプライム2 ダークエコーズ

対応機種・周辺機器
ゲームキューブ
ジャンル
シューティングアドベンチャー
著作・制作
(c)任天堂 / Retro Studios 2004,2005

基本情報

 3Dの一人称視点によるシューティングゲームで、アイテム入手で行けるマップが広がっていくアクションアドベンチャーとなっている。
 ざっくりいうと「よりマニアックなゼルダ」と言ったところ。
 本作では007 ゴールデンアイのような画面分割での対戦モードも付いてくる。

 前作メトロイドプライムと基本的なシステムは同じで、開発も引き続きレトロスタジオという事で、内容についてはプレイ前から安心できる布陣と言える。

操作性

 基本的な操作は、非常に快適。
 3Dでジャンプアクションで迷路を駆け回るシューティングという、わけ分からなくなって当然の複雑なシステムでも、ほとんど操作に戸惑う事なく遊べる。

 右側のCスティックが武器変更に割当てられているので、FPSなのに視線移動に一手間かかってしまうのは、FPSをやり込んでいる人からすると不満点か。
 本作は「Wiiであそぶ」シリーズにもラインナップされていて、そちらではメトロイドプライム3 コラプションで採用された、リモコンで視線を変えるシステムに準拠しているそうなので、Wii版の方が良いかもしれない。
 また、メニュー操作が変に3Dになっていて非常に使い辛いのだが、これもWii版では解消されているそうだ。

 足下がよく分からないとか、スキャンでLトリガを押しっぱなしにするのがだるいとか、ゲートが開くまで時間かかって背中に銃撃受けちゃうとか、前作の悪い点もほぼ踏襲。
 本作では、最初からモーフボールになれるので、操作やマップに慣れない序盤でも周囲を確認しやすくなっているのが良いところ。

ストーリー

 今回は鳥人族ではなく、ルミナスという光の種族と闇の種族イングの対立が基本となっている。
 システム的には光の世界と闇の世界の2重のマップが存在していて、これらをポータルを通じて行き来する事で、謎を解いていく事になる。

 これが善し悪しで、まず悪いところ。
 似てるけどちょっとだけ違うマップは、ひじょーに間違いやすく迷う。どっちの世界にある仕掛けだったか間違いがち。
 同じ場所が2重に存在するため、マップの量の割にバリエーションが少なく単調に感じる。
 特定の箇所でしか両世界の行き来ができないので、移動が思いのほか面倒。

 良いところは、パズル的なバリエーションが増えて面白くなっていること。
 同じところを何度も行き来するタイプのゲームだが、光の世界と闇の世界があることで、メリハリがついている。
 ちなみに、スーパーファミコンのゼルダの伝説 神々のトライフォースや、その後に発売されたゼルダの伝説 トワイライトプリンセスでも、光の世界と闇の世界を行き来するシステムとなっていて、丸かぶりって気もしないでもない。

 メトロイドでは定番の、パイレーツとメトロイドは出てくるが立ち位置がかなり微妙、無理に出す事もなかったのでは? と思う位。
 またこれまでのシリーズでサムスのライバルであったリドリーの代わりに、本作では前作(の隠しエンディング)でほのめかされていた謎の敵「ダークサムス」が登場している。主人公の陰的存在というのは定番のライバル造形ではあるものの、定番だけになかなか燃えるシチュエーションでもある。

 スキャンして手に入るストーリーは状況説明に終始していて、正直あんまり面白くない。
 ちなみに、前作の読みづらいフォントは反省したようで、本作ではごく普通のゴシック体で書かれている。

グラフィック

 前作と同様に、段差部分に発光体を置くなどして分かりやすくしてあるし、そもそものテクスチャもかなり見やすくなっている。
 ただ残念な事に、先に書いたように舞台のバリエーションが少ない。グラフィックレベルは向上しているが、前作の舞台の方がずっと美しい印象として残るのではないかと思う。

 今回特にイベントシーンでのサムスの動きに女性らしさを感じた。と言っても「内股でなよっとした」ようなものではなく「凛々しい女性」という雰囲気で、なかなか良くできている。

 本作では舞台がより立体的な構成になっていて、マップ画面で確認しないと把握し辛かったりする。
 しかし、このマップ画面が妙に細かく描かれていて見辛い。
 その上、オレンジ色の単色のワイヤーフレームで描かれていてパースがほとんど付いてないので、立体がよく分からなくなることが頻繁にあった。
 マップ構成が複雑になった分、マップ画面はシンプルにしてもらわないと、ごちゃついて分かりにくい。
 また、メインのゲーム画面で右上に現在地の縮小マップが表示されるのだが表示範囲が微妙に小さくてあまり役に立ってない。

システム

 キャノンは通常・光属性・闇属性・両属性の4タイプが存在していて、敵の属性に合わせて使い分けるようになっている。
 効果的な属性を選択すると効果覿面ではあるのだが、基本的には速度や威力などのパラメータ上の違いしかなく、キャノン切り換えはゲートの鍵程度の意味しか感じられない。
 トレジャー斑鳩ぐらいゲームの根本に関わるものならともかく、「これ必要だったのかなぁ」という気持ちになる。

 バイザーについても、まず光と闇の世界を行き来するという時点でマップにバリエーションがあるのに、更にバイザーでマップのバリエーションがあるというのは過剰。
 製作中にそこには気付いたようで、スキャン以外のバイザーに切り替える必要のある箇所は少なめにしてある。
 となると、ますますバイザー必要だったのか? という気分にもなるが。
 特にエコーバイザーはほとんど「最後のカギ」程度の意味しかなく、スキャンバイザーの機能強化で対応できたのではないだろうか。

 バイザーとキャノンの機能を絞れば、Cスティックを視線移動にして、Rトリガをその名の通りの銃のトリガにできて、アナログ操作によって撃ち分けもでき、更なる操作性の向上が図れたと思うのだが。
 どーも、任天堂のソフトはCスティックを視線移動にしているヤツが少ないように思うのだが、何かポリシーがあるのか?

 新アクションとして、「スーパーメトロイド」にあったスクリューアタックが3Dで復活。
 これは、壁を蹴って素早く垂直上昇できるだけでなく、前方へかなりの距離(感覚的には2段ジャンプの5〜6倍)を移動できる。
 攻撃手段としての威力も大きく、移動がちまちました感じになりがちな、このゲームではかなり爽快。
 ただ、終盤で手に入る能力であることもあって、活用箇所はさほど多くないのが残念。

 闇の世界ではセーフゾーンにいないと体力がじわじわ減っていく、と言うと非常に厳しく聞こえる。
 しかしセーフゾーンにいれば体力は回復するので、時間さえかければ常に満タン状態に戻すことができ、止まっているだけで体力が回復するところがない光の世界よりも楽な部分もある。
 体力が減っていく怖いところに来たという雰囲気は出しつつ、実際はそんなに難しくしているわけではないという、なかなか考えられたバランスといえる。

難易度

 2004年基準では、ちょっと難しいぐらいのレベルかと思う。
 アイテムボックスが多く配置され、道中の敵も比較的無視して進めるので、アクション部分は前作より簡単になっているようだ。
 このシリーズがこれ以上簡単になると、ゼルダの伝説と差別化するポイントが減っちゃうので、歯ごたえありますよー、でも歯を折るほどじゃないですよー、ってところが着地点かと思う。
 ただし、全体的にマップやパズルは前作より難しめだし、なかなかアイディアも面白い。ボスも、一発クリアはまずムリな程度には強い。

 ヒントシステムは相変わらずの「次はここ行けマーク」を出すという単純なものに加え、要所で操作法の説明も出すヒントもあり、マップ画面を参照しながら進めていけば、基本的な探索について迷う事はない作りになっている。
 またスキャンしたデータには、ほとんど敵の攻略法そのまんまというぐらいの情報が載っている。
 ただ、マップの作りのせいか意外とすぐ近くにある道を見落とすことが多かった。しょーもないところで延々迷う。
 文章とかマップ画面上のアイコンよりも、通常の画面でのヒントを強化して欲しかった。

 個人的には終盤のキー探しにえらい苦労した。これに限りヒントがマップ画面上に出ない。表を書いて入手した場所をメモっておかないと、どこのキーを取ったか分からなくなる。
 ラスト近くは引っ掛かりなく怒濤の展開で最後まで行けるようにしてもらった方が気分が良いと思う。
 このへんのバランス感覚はゲームの個性でもあるので、一概にこちらが良いとも言えないが。

 前作のレビューで、マップのショートカットで「大砲の玉になって飛んで行ける」といい、と書いていたが、実際にそうなっていた。
 他にも、エレベータやワープなどショートカットが色々と用意されている。
 ただマップが複雑なので、ちょくちょく迷ってしまう。ショートカットが少なめな前作の方が、むしろ移動がスムースだったようにも思う。
 光と闇の二重の世界がある本作では、マップの広さは2/3ぐらいで十分だったかもしれない。

まとめ

「スクリューアタック」という新アクションや、光と闇の世界というシステムを追加したのに、減らした部分が舞台の(視覚的)バリエーションというチグハグなところにある。
 システム増やしたら減らすのもシステムであるべきだろう、前作でもシステム過剰気味だったのに。
 この過剰なシステムのせいかもしれないが、オブジェクトが消えっぱなしになったりといった、ゲームが成立しなくなるわけではないがバグっぽい挙動がちょくちょく見られた。

 とは言え、前作の問題点の幾つかは解消されており、もともと高いレベルにあったシステムには磨きがかかっている。
 孤独な雰囲気や不気味なクリーチャー、サムスのアクション、どれも実にメトロイドらしいできばえで、その部分に不満は全くない。
 この安定感は逆にさほどの新しさはないとも言え、「メトロイドプライムの追加シナリオ」って雰囲気にもなっている。

 対戦モードはプレイしていないので、評価なし。
 その後、DS版「メトロイドプライム ハンターズ」が発売されたところを見ると、割と好評だったと思われる。

関連

メトロイド プライム2 ダークエコーズ オフィシャルサイト

 そこで結論。

「折角いいシステム作ったんで、もう一本やってみました」


2012-04-13