魔界戦記ディスガイア

対応機種・周辺機器
PlayStation2 CD-ROM
ジャンル
シミュレーションRPG
著作・制作
(c)日本一ソフトウェア 2003

基本情報

 日本一ソフトウェアというとマール王国の人形姫で、ドット打ちグラフィックによる細かい演技でポリゴン時代に反旗を翻したゲーム会社だ。
 そしてクエストタクティクスオウガのようなクオータービューのシミュレーションRPGラ・ピュセルを作って好評を得た。
 更に同じジャンルで単純な続編でないものに挑戦した、というのが本作。

キャラクタ

 キャラクタデザインにインターネット上でも人気の高い原田たけひとを据え、非常にカチッとした造形ながら可愛らしいキャラクタを作り出している。
 それがドット打ちには定評のある日本一ソフトウェアが仕上げたのだから、もう万全というキャラクタグラフィックだ。
 細かいモーションも良く作られていて、意味もなくユニット(キャラクタ)を動かしたり戻したりしてしまうほどだ。

 そのグラフィック的にも魅力的なキャラクタがストーリーに直接関わる他にも、多くの職業や魔族として用意されており、新たに制作することもできる。
 もうよりどりみどりだ。
 キャラはRPG式にレベルアップするし、魔法や特殊技能スキルにもレベルが用意されており、使えば使うほど強くなる。

 シミュレーションRPGではマップをクリアしたらそれっきりのことも多いが、本作では同じマップに何度も出撃できるので、育てたいだけ育てることができる。
 さらにタクティカル版不思議のダンジョンとでも言うべきアイテム界が用意されており、通常は装備するアイテムの中に入ってランダム生成されるマップを勝ち抜き、より深層へ達する。
 そうすると戦闘を繰り返したキャラは勿論、アイテム自体もレベルアップするという仕掛け。

 戦場には10キャラが出撃できるので、だれかしらレベルアップするし、そのタイミングもかなり間隔が短い。
 そのため、もーちょっと戦うとレベルアップだなー、と思って戦闘していると、止め時が見つからなくなる。
 また、キャラは「転生」を行い1から育て直すことで、前よりも初期値が上がる他、スキルもある程度継承されるので、それでも強くなるし、育て直しだからレベルアップスピードが速い。
 延々育てそうになってしまうが、レベルが1000とか行っちゃう世界なので、本当に止め時が見つからない。
 本編のクリア自体はだいたい60〜80レベルぐらいで可能かと思えるので、クリアした後もう永遠に育てることができちゃう感覚だ。

戦闘システム

 上記のようにレベル上げ放題だと、レベル上げまくって力押しで勝てちゃうので、シミュレーション的面白さは自発的にレベルなどを制限しないと味わえない。
 そこで導入されたのが、他のキャラを持ち上げて投げるというシステムと、色で区分けされたマップとジオシンボルと呼ばれる「防御力+50%」などの特性をマップに与えるオブジェクトの存在だ。
 これらによりパズル要素が加わり、シミュレーション部分が力押しできても、それだけでは勝てないようにできている。
 このパズルもさほど難易度が高いものでもないので、わりとスイスイ解ける。

 シミュレーションとRPGを組み合わせている上に、さらにパズルも組み合わせるのだから、パズル内容が高度だとシミュレーションしたい人にもRPGしたい人も楽しめなくなってしまう。
 そうなると、各ジャンルの楽しさをつまみ食い的に楽しめるように調整したのは正しい選択と言える。
 そんなに組み合わせる前にシンプルなルールで楽しいゲームは作れなかったのか、という不満はありはするものの、うまく各ジャンルの面白さを失わせない程度に組み合わせた手腕は確かなものだ。

 他にも仲良しキャラを近くにおいて攻撃すれば連携技が発動するとか、連続して攻撃すればコンボとなってダメージが高くなるシステムもあり、とにかく考えてプレイしようとすれば考えることは大量にある。
 システムを大量に追加してパラメータ調整で着地させる強引な手法ではあるが、ネバーランドカンパニー仙窟活龍大戦カオスシードやスクウェアベイグラントストーリーと同様の高いレベルでの着地と言えるだろう。

インタフェース

 操作系は非常によく練られていて、読み込みが早く演出も長過ぎないこともあって、ストレスなく操作できる。
 特にメニュー系の作りは非常に良く、操作している事自体がかなり楽しい。

 ただアイテム界はマップの高低差が激しく戦場を把握しづらい。
 脱出口がよく分からない(これはボタンでサーチできはするが)とか、陰になって見えてない敵から攻撃受けるとかちょっと嫌な感じだ。
 また、マップの方は単純なドット打ちではなくポリゴンによって生成しているにもかかわらず、クオータービューで作られているためパースによる遠近感がなく、近くにいる敵と思って範囲攻撃を仕掛けたら、実は遠くにいて全然当たってなかった、なんてこともある。
 あと、撃破時のエフェクトが地味で、倒したあるいは倒されたということが、特にマップの陰にいる場合に分かりづらい。

その他

 ストーリーはハチャメチャながらも、ちょっといい話なんかも入ってる系で、どの辺に軸足を置いて鑑賞したものか困ってしまう面もあるが、なかなか面白い。
 このストーリー本編はなんだかんだで50時間ぐらいかかる位のボリュームがある上に、分岐があるため何周もしないとエンディングの制覇ができない。
 2周目以降はキャラが育っているので断然早いが。
 更に前述の通り、アホみたいに育てまくれる上に無限生成のダンジョン、さらには本編以外に凶悪な敵のいる追加マップも用意されていて、時間泥棒も甚だしい。

 音楽はちょくちょくテレビのBGMで使われるのを聞く位、印象的なフレーズの曲が用意してある。
 あと、2003年のゲームなのにCD-ROMでリリースしてくるという、フルボイスでなく圧縮効率のいいグラフィックなどの作りも、非常に好感度高い。

 そこで結論。

恐ろしいほど的確に時間を奪ってくるが、楽しい時間なので良し!


2013-07-30