グランディアII

対応機種・周辺機器
ドリームキャスト
ジャンル
ファンタジーロールプレイングゲーム
著作・制作
(c)GAME ARTS 2000

 サターン最高峰と称されたファンタジーRPGの続編が、遂にドリームキャストに登場。
 キャラクターデザインに、かのえゆうし氏を迎え、シナリオや世界設定、イラストに漫画業界の面々を多く配置した、ゲームアーツ渾身の一作。

 基本的なシステムは前作を踏襲しているが、世界は別のようで、前作のキャラクターや地名、敵などの関連性は無い。
 魔法の名前やアイテムに同じものがある程度の、世界観の重なり具合である。

 ポリゴンフィールドは、さらにち密に立体的になり、存在感を増している。
 特に空気感や光源の処理の進化が著しく、小道具の作りこみ、建物のデザインのこだわりも素晴らしい。
 音の扱いも、奥行きの表現に大いに貢献しており、見事なものである。
 ただ、画面を引いて見ることができないので、ちょいと自分の位置を把握しにくい。進行方向に常に矢印が出るので、迷うことは無いが。

 フィールドの移動はアナログスティックで可能になっているので、かなりスムーズに操作可能になっている。やはり3Dはアナログスティック必須である。
 ただ、あいかわらずコマンド選択のインターフェースデザインに統一感が薄くチグハグな感じがある。せめて「LRはキャラクター選択」程度の統一はしてもいいと思う。

 ストーリーは、「歌姫と月」という、なんか前にプレイしたことがあるよーな感じではあるが、2タイプのヒロインが入れ代わりで出現すると言うアイディアが功を奏し、ヒロインの性格によってイベントが制限されていまう問題を解消している。このアイディアは、すごく便利。
 敵キャラクターの掘りさげが浅いのが、ストーリー上の問題か。

 ドリームキャストのポリゴン能力があれば、全てリアルタイムポリゴンでイベントシーンも処理できるし、その方がいいと思うのだが、相変わらずイベントシーンの製作方法を統一する気が無いらしい。
 今回は、さらに戦闘シーンでも技や魔法でムービーを導入しチグハグ感を高めている。困ったもんである。
 幸いなことに、本編のリアルタイムポリゴンの質が上がっているので、ムービーとの違和感が少ない。そうなると、ますます「ムービーを使う必要が無いのでは?」という気分になるわけだが。

 RPGの醍醐味のひとつである戦闘システムは、前作よりさらにぬるいが、キャンセルされる行動力の量や、キャラクターの移動スピードなどの調整が良く、それなりに遊べる。
 技や魔法の演出が長くボタンや設定で演出を飛ばすこともできないのは相変わらずだが、カメラワークに工夫が見られるので、そこまで冗長に感じることは無い。個人的には長過ぎると思うが。
 グランディアの戦闘システムは、一応の完成を見たと言えるだろう。

 キャラクターの入れ代わりによって、せっかく育てた能力がフイになる悲しさを解消するために、キャラクターの能力を育てる他に、本やマナエッグといった能力強化アイテムを鍛えるシステムを導入している。
 このシステムは、まずまず、成功していると言える。

 前作の問題点を丁寧に潰していって、完成度を高めた良作と言えるが、キャラクターデザイナーを、かのえゆうし氏に変える必然性があったのかどうかは疑問である。一応断っておくが、かのえ氏の絵が悪いという訳では無い。前作がかのえ氏だったら、本作を草ナギ氏にするのはまずい。
 前作がイマイチ売れなかったので、イメージを変えたかったのかもしれないが、前作にファンがいない訳では無いので、危険な行為と言わざるを得ない。

 そこで結論。

「安定した面白さのある佳作だが、新しさは意外に無い」


2001-10-01