コブラII-伝説の男-

対応機種・周辺機器
PC-ENGINE CD ROM2
ジャンル
デジタルコミックス
著作・制作
(c)HUDSON SOFT 1991

 デジタルコミックスの先駆として発売されたこのソフトを初めてプレイした時は「これからデジコミの時代が来る!!」と予感したものだが、未だこれ以上のデジタルコミックスに出会ったことはないし、デジコミの時代が到来していないのも、周知の通りである。

 実に情けない。

 そもそもこのソフトは原作のゲーム化ではない、「コブラの新作」なのである。どういうことかといえば、このゲームの脚本・総監督さらに原画に到るまで作者の寺沢武一氏の手によるもの、と言えば解ると思う。
 これほど原作者が深くかかわっているソフトはこれくらいのもので、それだけでも寺沢・コブラ ファンは「買い」(「ゆみみミックス」は、ソフトと平行もしくは後に描かれているので別とする)

 ストーリーは「コブラ」の初期のストーリーである、三姉妹編(注とんびによる命名)を核としているが、そこに人気敵役の「クリスタルボーイ」はもちろん「ターベージ」「ハンマーボルトジョー」等を散りばめ、ストーリーや仕掛けもひねってあって、原作のファンでもストーリーそのものを十分楽しめる。
 また、原作を読んでない人もこのゲームからファンになる可能性は大きい。

 グラフィックの構図・デッサン・デザインは寺沢氏自らが手がけているだけあって申し分無く、これ以上はどう考えても望めない(なにせ全て「本物」なのだから)ただ、少々塗りや色にダサイ所があるが、どちらかと言えばハード的限界と言えるので、そこに文句をつけるのは筋違いかもしれない。

 現在寺沢氏は「コブラ」を中心としてコンピュータ作画による漫画の執筆を精力的に行っていて、「CDROMを媒体とした作品にも転用したい」と語っていることから、パソコンや家庭用CDROM機への展開が大いに期待されるところである。

 ご存じの方も多いと思われるが、主役の「コブラ」は故人である山田康雄氏で、ハードボイルドやらせたらこれまた抜群にうまい、流石は「ダーティハリー」と言ったところか。

 また、CDROM2 と言う現在主流のハードに比べると劣悪な環境で、これだけのものをリリースしたハドソンの力量にいまさらながら驚かずにはいられない。

 最後に、このソフトはデジタルコミックであってゲームではないので、そこらへんを勘違いして鑑賞すると、クソゲーの評価をする人もいると思うが「勘違い」しないように(笑)

 そこで結論。

「寺沢ファンは必須。そうでない人もやっておきたい」


1998-02-03