禁断のペット シーマン 〜ガゼー博士の実験室〜

対応機種・周辺機器
ドリームキャスト VM(ビジュアルメモリ) マイクデバイス必須 VGA対応
ジャンル
同居型育成シミュレーション
著作・制作
(c)DigiToys VIVARIUM 1996-1999

 プレイヤーが話し掛けると、シーマンという人面魚が突っ込みを入れる。そういうゲーム。

 内蔵時計を利用しているので、毎日世話をしないとシーマンは簡単に死んでしまうし、1月程度継続して世話をしないと、一応の終了であるシーマンを外の世界に放つまでに至らない。
 ということで、1月は継続して遊んでいけるシステムだが、プレイの密度は薄くまったりしたものなので、いきなり「つまんねぇ」と判断されかねない危険なシステムでもある。ゲームを作った斉藤氏の勇気には拍手をあげたい。

 ゲーム機の内蔵時計を利用したゲームとしては、「天外魔境・第四の黙示録」のPLGシステムとか、「ルームメイト」なんかがあったが、どちらもイマ一つ使い切れていなかった。前者はゲーム進行にほとんど関係ないシステムであること、後者ではプレイヤーの生活を束縛しすぎることによる失敗である。
 本作では、一定の時間毎にゲームをプレイしないとゲームオーバーとなることによる緩い緊張感と、ゲームの進行に時刻が大きな影響を与えることがないのでゲームに急かされ過ぎない、というところでバランスが取られている。

 コンコンとタップしてシーマンを誘導したり、水槽の中のアイテムを動かさないと進化が起きないという、意外にゲームっぽい部分がある。
 これが余りにもなんだか訳のわからないソフトになるのを止めいてるが、逆に従来のゲームの文法がソフトの中での違和感ともなっている。

 操作上の問題点としては、掴めるものと掴めないものの区別が納得できないところがある。今まで掴めていたものが突然掴めなくなったり、逆に掴めなかったものが掴めるようになったりする。同様に、保管器に入れられるものの制限も分かりにくい。
 インターフェースそのものはシンプルで、掴み操作が右手の親指でAボタンを人さし指でRトリガを同時に押すという、実際の掴む動作に近いことなどもあり、なかなかこなれている。

 音楽(BGM)は全くないが、効果音はなかなかいい。
 水槽は殺風景で、背景が真っ黒なこともあり「もしかして開発途中版?」というくらいの雰囲気である。
 水槽のレイアウトに凝ったりするのが目的の一つである「AQUA ZONE」とは違うゲームなので、求めることでもないのだが、それにしても水槽に対して干渉できることが少なく寂しい。
 また、1つのVMに1つの水槽しか作れないのは面倒。1つのVMで3つぐらい同時に飼育させて欲しい。

 ゲーム起動時の案内役に、渋い声といったら日本で一二を争う細川俊之氏を起用している。これは物凄くゲームの雰囲気作りに貢献している。
 ただ、ヒントが的外れのときがままあったり、重要なヒントがまるまるスキップできたりするのはちょっと問題がある。

 シーマンはムカつく顔をしている上に、喋ることがムカつくことばっかりだが、たまに可愛いことを言うのがなんともいイイ感じ。
 職業・年令・性別などのパーソナル情報を元にすることで、会話のリアリティを出すことに成功しているが、ハードウェア・ソフトウェア的な限界もあっての苦肉の策でもある。
 音声認識の精度はあまり高くなく誤認識が多い。そのため、認識する語彙も少なくせざるをえなくなっている。
 逆にシーマンの喋るパターンも少ないと言う程ではないものの、豊富と言える程でもないので、突っ込みもたまーにヒットするという程度だが、コンピュータが突っ込みを入れてヒットすることがあると言うことが、かなり驚異的なことではある。

 そこで結論。

「ゲームの枠を広げた傑作、でも人を選ぶ」

「ジャン=ポール・ガゼー」博士って、Be社の「ジャン=ルイ・ガゼー」CEOと関係あるんすかね。


2001-12-28