天外魔境・第四の黙示録

対応機種・周辺機器
SATURN CD×2
ジャンル
ファンタジーRPG
著作・制作
(c)HUDSON 1997 (c)RED 1989,1997

 広井王子率いるREDカンパニーが満を持して送る、サターンオリジナル大作RPG。
 PC-ENGINEで大好評だった「天外魔境」シリーズが、ついにサターンにもやって来た。
 絵師・辻野寅次郎の筆も冴渡るアニメーションシーンと、豪華声優陣の華の共演。
 スーパーファミコン版で好評だったPLGシステムを搭載し、さらに「天外ワールド」がパワーアップ。

 相変わらず辻野寅次郎氏のキャラは存在感があってよい。
 アニメーションはたいした工夫もなくシネパックを使っているようで、あまり画像的クオリティは高くない。
 これは、アニメーションとしてのクオリティはかなり高いだけに、勿体ない。

 ゲームシステム自体は、以前の「天外魔境」シリーズを踏襲しており、多少古くささを感じるが、逆に言えば安心感がある。
 フィールド画面に敵が表示されるので、戦闘回数を自分で調節できるのは便利。
 戦闘シーン中もアニメーションしまくりで、特にオートに設定していると、しゃべりまくりで、結構楽しいし、テンポもそんなに崩していない。
 私はボス以外は、殆どオートに設定して遊んだ。

 シナリオはなかなか面白いのだが、広井王子がおやじになったのか、妙に説教臭く鼻に付く。
 非常にサクサク進め、レベル上げでうろうろすることもほとんど無い。
 シナリオは基本的に一本道で、強制イベントアニメーションシーンばりばりで、展開される。
 手応えが無いのでつまらないと思う向きもあるかもしれないが、むしろこの部分は「天外魔境」シリーズの美点と言えるだろう。

 PLG(パーソナル ライブ ゲーム)システムは、現実時間がゲーム内に投影されるシステムで、例えば「一日待ってくれ」といったときには、プレイヤーが本当に一日待たないといけなかったり、正月にはゲーム内も飾り付けがしてあったりするわけだ。
 しかし、PLGシステムはもう一つ成功しているとは言い難い。
 PLGシステムがゲームストーリー本編には殆どかかわってこないので、PLGを意識しなくてもクリア可能なのだ。これではPLGの面白さが解らない、はっきり言って使い方を失敗している。

 他の足長おじさんシステム・カジノ・福引き・トレーディングセンター・町建設と店の経営・対戦アクションetc.どれをとっても、デキが中途半端でゲーム本編を忘れてのめり込んでしまうほどの魅力を持ったものはない、が、その割には力を入れすぎている。
 残念ながらここら辺がゲームに散漫な印象を与えることになっている。

 井村屋と秋山食品と提携していて、両社のまんじゅうとお菓子がゲーム中に登場するのは、近頃多くなってきたゲーム内広告の中でも、得に面白い試みだ。

 声優の演技もアドリブを利かしたりしてかなり「ノッて」録音が行われたことと想像できる、流石にプロ中のプロを使っているだけあって、声の部分は文句無しのデキだ。
 しかし、「森本レオに悪役は似合わない」と思う、ボスのクセに声が優しすぎる。
 はっきり言ってミスキャストだったと思う。

 そこで結論。

「詰め込み過ぎで破綻気味だが、サターンを代表するRPGの一つ、面白い」


1997-08-15 1997-12-14