美しいグラフィックと、魔物達の斬新な攻撃方法が話題になったヴァンパイアが、強力なパワーアップを経て、全く新しい格闘ゲームとして帰ってきた。
ゲームセンターで大ヒットかつロングヒットした対戦格闘ゲームが満を持して、サターンに登場。
キャラクターデザインが非常に良くできており、所謂コスプレや同人誌のネタとして多く使われたことからも、その魅力の程がわかると言うものである。
とは言え、前作ではこのキャラクターデザインは受け入れられなかった。何ごともある程度慣れることが必要と言うことなのかもしれない。
前作ではシステムが分かりにくいし、画面がシブかったのも問題だったとは思う。
バーチャファイターのシステムであった、ボタンを連続入力することによる技、レバー上による追い討ちと移動起き上がりなどを2Dのシステムに上手く落としている。
一部の分かりにくかったコマンドも整頓され、キャラクターの間で似通っていた技もそれぞれ特徴的な技に変更されたり、技が追加されたりして、よりキャラクターが分かりやすくなった。
モンスターが主役で2Dなので、奔放に形を変型させることができるわけだが。それを実に気前よくやっているので、必殺技と通常技の区別がつかないぐらい派手にアクションする。私の場合、かなりの長い間必殺技なのかと思っていたのが、実はただのボタン一発で出る通常技だったってことがある。
人間じゃ無いので、もーやりたい放題である。それがゲームとしても人間だと実現できないバリエーション豊富な技を作ることに成功している。
チェーンコンボは敵に当てないと出ないこともあって、前作では技が成立したのかどうかが非常に分かりにくかったし、技そのものも出しにくかったのが、今回は文字で成功を知らせるので分かりやすく、またシビアな入力受付も無くなり出しやすくなっている。
また、ガードキャンセルも文字で成功を知らせるようになっていて、分かりやすい。
体力ゲージの他にスペシャルゲージがあって、ボタン同時押しによる必殺技の強化版のES技と、専用の入力によるで強力なEX必殺技が使え、ゲージが何本もストック可能であるため、連続して何度も強力な技が出せ、爽快感が高い。
非常に多くのシステムが盛り込まれているため、これらを全てきっちり使えている人がどれだけいるのか多少疑問ではあるが、強力な技にも対抗策や制限を持たせ、ゲームとしてきちんと成立している。
移植と言う点では、アーケード版が恐ろしくパターン数の多いものだったので、完全移植と言う訳にもいかなかったが、「X-MEN」に比べるとかなり上手くパターンを減らすコツが掴めたのか、違和感なく減らすことができている。
評判の高かった効果音や音楽は、実際のところアーケードではあまり良く聞こえないので断言は出来ないが、ほぼ完全に移植してあるようだ。
マニュアルに簡単ながら上達の手がかりになるような情報がしっかりと書かれているので、既に知っている人以外でも深い部分まで遊べるようになっている。
他にも初心者向けには、「X-MEN」で好評だったオートガードシステムが、より洗練された形で搭載されており、複雑なゲームに入りやすくなるような配慮も忘れていない。
これは余談だが、プレイステーションに前作であるヴァンパイアが移植される前に移植されたため、格闘ゲームプレイヤーをサターンに引き付け大ヒットとなった。が、後に出たPS版「ヴァンパイア」は、発売時期が遅れに遅れたこともあり可哀想なぐらい売れなかった。
そこで結論。
「2D対戦格闘の頂点といえる名作」
1999-09-30