マリア様がみてるシリーズは、女子校の隔離感が魅力なわけですが、今回は男子校の学園祭へ出張ということで、ずいぶん雰囲気が違います。
男子から大注目を受けたりはするけど、いわゆる「男女の仲」になったりする展開はなく、そのへん安心です。
個人的には、別に男女の恋愛になっても全然問題ないというか当然と思うわけですが、そうなっちゃうとマリみてのアイデンティティが消えちゃうわけで、それじゃ意味ないとも思うわけです。
結局のところは、祥子と祐巳の赤薔薇姉妹で百合フィールドを形成して終了という、予定調和。
今回の眼目は、祐巳を崇拝する細川可南子の登場。
二年生になったことで、当然出てくるだろう問題がようやく発生。たぶん、四月の時点で一年生の間では、やれ祐巳様だ、いや由乃様、てゆーか志摩子様以外ありえないでしょ、みたいな会話はバリバリ出てたはず。
一月一タイトルにこだわらなければ、もっと前に発生していたイベントじゃないかなぁ。
今回が9月ということで、今のところは一月一タイトルペースは守られているけど、あんまり意味ない気がする。
一年生が、瞳子、乃梨子、可南子とそろったわけなんだけど、なぜか、乃梨子と可南子がどっちがどっちだったか、ちょくちょく間違える。てゆーかみんな最後が「子」ってどーよ。瞳子が三文字の名前だったら危なかったな。
どーも「レイニーブルー」「パラソルをさして」が終了して以降は、少々「書き散らしている」感もある。
エピソードを単純に並べているだけで、さほど凝った構成はない。
次こそ、無印マリみてこと、文庫本第一巻のエピソードである文化祭ネタかと思わせておいて、体育祭。
引っ張るなぁー。
でまー、この体育祭なんだけど、どーも小さいエピソードを重ねているだけで、全体としての面白みはあんまりありません。
なんだか、キャラ小説化しちゃっている感じです。
「エピソードを重ねればストーリーができ上がると思うのは大間違い」と言うのは、作劇の常識ですが、これはもうキャラ小説以外の何ものでもない、という開き直りかもしれません。各エピソードはなかなかの萌えっぷりです。
志摩子の「怖かった」発言とか。
エピソードが色々詰め込まれているので、これから数巻に渡る話の軸となる、江利子と由乃の間でかわされた約束と言うか、売り言葉に買い言葉というか。そんなエピソードもあります。シリーズを読むのに飛ばしていい巻というわけではないのですが…うーん。
可南子って、折角の祐巳を勘違い崇拝しているというなかなか面白いキャラなのですが、その勘違いにもう気づいちゃってるのが、もったいないなぁ。
そう言う中途半端な状況なこともあって、なんだか行動がちぐはぐな印象。
うーん、このキャラはこんな扱いで良かったのか…、もっと上手く転がせたような気がするんだけどなぁ。