ワールドヒーローズ(以下WH)はネオジオ用に開発された対戦格闘シリーズの一つで、タイムマシンを使って歴史上の英雄を一同に集めて対戦させるというのがおおまかなシリーズ設定である。
歴史上の人物以外にもキャラクターはいるのだが、どうみてもどっかからパクッてきたものばかりなのが、このゲームのイロモノ感を盛り上げている。
WHはWH,WH2,WH2 JETとシリーズが出ているので、このワールドヒーローズパーフェクトで、4作目となる。
それがサターンへ移植されたと言うわけである。
本作でそれまで作ってきたシステムをほとんどリセットしている意欲作である。
ボタンは実質2ボタンから弱中強(ネオジオは4ボタンしか無いので強は弱中同時押しだが、サターンではボタンを割り当てられる)×パンチ・キックのストリートファイターⅡ方式の実質6ボタンになっているし、投げ返しや飛び道具の跳ね返し等もかなり異なったシステムになっている。
さらに、前々作までには、デスマッチモードと言うものが存在していて、床にノコギリが走るものやら地雷が爆発する特殊なステージがあって、体力ゲージも特殊なものを使ったりしていたのだが、これが無くなっているのは、非常に寂しい。
ゲームセンターでは、おそらくこれらの変更のせいで、従来のファンをかなり逃してしまったようだ。
代わりと言ってはなんだが、前作からADKの縦スクロールシューティングゲームのニンジャコマンドーで採用された字幕スーパーによるキャラクターの状況の表現がなされていて、なかなかこれが良い具合にはまっている(ちなみに、爆裂究極拳もニンジャコマンドーから復活した技である)
技のヒット数のカウントも、このスーパーに出るのだが、これはメインの方に大きく出した方が良かったと思う、小さくて読みにくい。
グラフィックは一生懸命描いてるのは判るのだが、一作目から微妙に良くなっているのだが、有り体に言って「ヘボい」と言わざるを得ない。
個人的には嫌いでは無いのだが、カプコンやSNKのグラフィックレベルが非常に高くなっている状況で、これはかなり印象を悪くしている。
どう言うつながりなんだか、イメージイラストをるりあ046氏(一番有名なのはダーティーペアフラッシュの小説版のイラストかな?)が担当しているのもギャップが大きい(マニュアルの表紙は違うが)
問題のゲーム自体の出来だが、これはかなり高いレベルのもので、非常に面白いし手抜きが無い。
ヒーローゲージの使い方や、ガード破壊などの特殊能力を持った通常技など、少々付け焼き刃的なところもあるが。流石に4作も作ってきただけはあって、大きな破綻も無く良くまとまっていると言える。
それに、拡張RAMを使っている訳でも無いのに、どういう忍術を使ったもんだか、やたらと読み込みが速い。
ただ、コンピュータが突進系の技にやたらと弱いのはどうにかして欲しかった、キャラクターによって難しさの違いが甚だしい。
特筆すべき長所は、おまけモードとして付いている攻略用のテキストである。格闘ゲームをある程度楽しく遊ぶには、各キャラクターの通常技や必殺技を把握しておく必要があるが、これがちゃんとメニューの中に用意してあるのは非常に嬉しい配慮と言え、これだけでも他の悪いところは全部帳消しにしていいくらいである。家庭用への移植はかくあるべし。ただ、ハイレゾモードを使って無いので、字が大きすぎて読みにくいのは困ったものだが。
そこで結論。
「ただのイロモノではない、レベルの高い作品」
2002-02-02 2003-11-05