VIRUS

対応機種・周辺機器
SATURN CD×3 シャトルマウス対応
ジャンル
ハイブリッドアドベンチャー
著作・制作
(c)HUDSON 1997

 セガ・ハドソン、そしてエイベックス(ついでに角川)ががっちり組んだ一大プロジェクト。
 クリーチャーデザインに韮沢靖を迎え、CGとアニメーションでサイバー世界を再現した、ハイブリッドアドベンチャー。

 はっはっは、企画モンだよ。大抵この手のものは失敗するが、案の定この企画も失敗に終わっている。
 フェイバリットブルーの歌がメインテーマとなっているが、オープニングの3ループ目にしか登場しない、ダメじゃン。
 どこに歌が使われているんだか、さっぱり気付かずにゲームを終える人も多いだろう。ゲーム中の音楽も全然エイベックス系では無い。はっはっは、ますますダメじゃン。
 おそらくエイベックス、金とってプロモーションしただけ、セガ・ハドソン、お前らだまされてるぞ。

 どーも、コスチュームやメカのデザインが全体にダサい。
 SFものでは、このへんが作品の善し悪しの大半を決めてしまうのだが、CGのモデリングやアニメーションの作画レベルは低く無いだけに大損である。
 ただ、銃器デザインだけは比較的しっかりしている。

 サイバーパンク系のSFでは、どれだけ魅力的なガジェットを詰め込めるかが重要な要素の一つとなり、そこらへんはちゃんと分かっていて、マニュアルに用語説明があり、ゲーム中に用語検索システムが呼び出せたりする。
 問題は、設定に深みが無いので用語があまり魅力的では無いということだ。

 この作品のタイトルであるウィルスは、サイバーネット上に現れたコンピュータウィルスのことである。つまり「ニューロマンサー」(ウィリアム・ギブスン)の描くネットの模倣である、これは多く作品化されているが、映像的に上手く処理したものを見たことが無い、本作の場合、一番悪いやり方で映像化してしまったといえる。
 テーブルが浮いていたりとか、立体映像(ホログラフィー)が多用されていたりとか、要するに、「チープな未来世界」の映像でしかないのである。
 もう、がっかり。

 ポリゴンで作られたダンジョンを移動、ムービーで移動、そして画面が切り替わって移動と、もうバラバラなんだが、操作方法や画像の雰囲気までまるっきりバラバラで、上手く摺り合わせようという意志が全く感じられない。
 また、コマンドが全く使えない場面でも、コマンドアイコンが表示されているのは、かなり作りが荒いと言わざるを得ない。コマンド選択システムの作り込みの甘さと合わせ、操作性の悪さ大爆発(なーにがプッシュ・オンリー・システムなんだか)
 おそらく、パッド操作をメインに据えるか、マウス操作をメインに据えるか、最後まで決めずに作った結果がこのていたらくなのであろう。
 成長やアイテムの購入など、RPG要素が強いのだが、レベルを含め、自分のステータスを確認するすべが用意されていないのはストレスが溜る。
 結局アドベンチャーとしてもRPGとしても中途半端なものになっている。

 戦闘シーンは、PC-FXでハドソンが幾つか作ったアニメーションとコマンド選択を組み合わせたリアルタイムのものなのだが、いい加減うまく作れるようになっても良いと思う。というかPC-FXの方の出来が、まだしも良かった、映像的にはFXの動画再生機能のほうがサターンより優れているのでしょうがないとしても、ゲームとしての出来がかなり悪い。
 そもそも戦闘システムが分かりにくく、私なんかシールドの使い方を理解するまで、ゲームの中盤までかかってしまった。

 また、韮沢靖デザインのボス級の敵と雑魚とのデザインの質があまりに違う、韮沢デザインを生かすと言う意味では、グラフィックのレベルが低いものの「サイバードール」の方が数段まさっていると言える。神父のデザインとか、良い出来なのに。
 3Dソフトで作ったものとセルアニメ式に作ったものが混在しているのも、大いに困ったものである、「ツインゴッデス」かいな(笑)

 声優陣も豪華だし、ムービーも多いし作画もしっかりしてるし、金は使ってるんだけど、残念ながら空回り。
 シナリオはマルチエンディングとなっているが、大筋に違いは無いので、一つにまとめた方が内容が濃くなって良かったろう。
 テキストそのものやシナリオは悪く無い(良くも無い)のだが、ゲームとしてのシナリオとなると、フラグの立てかたや、行動の制限のやりかたが実に素人臭い。一時期は「アドベンチャーゲームといえばハドソン」だったというのに、悲しいモンである。

 途中に登場するミニゲームはわりと豊富だが、デキとしては「悪く無い」止まりで、これまた統一感に乏しい。
 それから、セーブが自分の意志でできないのは辛い。これはゲーム的に、まったく利点が無いので、手抜きとしか思えない。

 ネット上では口を動かさなくても思考を伝えることができると言う設定なので、ムービーでも口パクがないのだが、タダの手抜きにしか見えない
 どーでもいいといえば、どーでもいいが、かなり多くの女性キャラクターの胸を触れるが、全くアニメーションしないので、「ポリスノーツ」とくらべるとグレードダウンを感じざるを得ない(笑)
 ネットの描写は無いものの、同じサイバーパンク系の「ポリスノーツ」が既にサターンにでていて、こんな面でまで劣っているのは厳しいものがある。

 そこで結論。

「金と労力を無駄に使って、ただの凡作になってしまった」


1999-05-08