ときめきメモリアル 伝説の樹の下で

対応機種・周辺機器
SUPEER FAMICOM マウス対応
ジャンル
恋愛シミュレーション
著作・制作
(c)KONAMI 1994,96

 おそらく説明の必要はないと思われるが、一応言っておくと、このゲームは高校生活三年間をターゲットとした恋愛シミュレーションである。
 またゲームの基本は、所謂育てゲーのシステムを使い「自分」を育て、女の子に気にいられる男になることである。

 私は、特にこのソフトが、コナミというどちらかといえば硬派で、しかも大きな会社から出ていることに注目したい。
 よくもまぁ、このゲームの企画が通ったモンである。このことはゲームの内容とは切り放して、大いに評価出来る。

 主人公=プレイヤーではなく、主人公にある程度個性が(台詞や、相手のリアクションで判ることやSDキャラ)ついているので、そういう部分でスッと感情移入できなくなってしまう。特にこのゲームでは、ドラクエ並みかそれ以上に色の無いキャラクターにすべきだったと思う。
 また、男友達(ライバル等)の描写が薄く、女の子同士のつながりもゲーム中ではかなり薄いので、ストーリー的盛り上がりを見せることはなく、刹那刹那の行為を繰り返すのみで、イベントなどがあるものの、単調であることは否めない。
 途中で挿入されるミニゲームなども本編との折り合いが悪く、チグハグな印象を与える。

 グラフィックは力一杯のアニメ絵で、女の子を髪の色と髪型以外で判別するのは非常に困難である。これはデータを減らすためにアニメーションデータを共通化するためかとも思ったが、一応女の子毎にデータは違うようなので、キャラクターデザイナーの力量不足と考えた方が自然なようだ。
 デザイナーの力量が足りないのは、これだけ売れたにもかかわらず、あの絵を模写する人間は殆ど皆無であることから、絵の心得が無い人にも端的に判るだろう。
 この「ときメモ」のキャラデザイナー。多くのKONAMI横スクロールシューティングファンに「それさえ無かったら名作」と言わしめた、ゼクセクスの悪名高きデモシーンのキャラクターデザインと同じ人だと思うのだが...

 ゲームであるので、デートを何回繰り返そうと「つき合ってる」ことにはならなかったり、沢山の女の子とデートをしないと「評判の悪い男の人」になったりするが、ここらへんは「ゲームバランス」としては良い方向につながっている。
 だがシミュレーションとしては、そんな阿呆なって気もする。
 全体的に、奇怪な印象を与えるゲームである。

 ちなみに、テキストの出来は、ゲームとしては良く出来ている部類に入る。
 また、操作はマウスを基本としたカーソル移動+決定になっているが、画面のあちこちをクリックしないとゲームが進行しないと言う訳で無し、ゲームの基本はコマンド選択なので、ただただ面倒臭いだけである。

 そこで結論。

「この企画を通したコナミの勇気に万歳」

 しかし、古くからのファンとしては、短波形倶楽部が「好きとか嫌いとか..」なんてな曲を作るたぁ、涙なくしては語れねぇよ。