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ジャングルパークの松本弦人をゲームとキャラクターデザインに迎え、鬼才伊藤ガビンが作るゲーム。なんだか今までに無いものを狙っている匂いプンプン。
走り回ってナマニク食ってドターっと寝て、コウビしてヘンタイする、ってな感じのあおり文句に引かれて買ってみた。
キャッチコピーあたりから、かなりいい加減にプレイできるような印象を持っていたが、プレイしてみるとかなりシステマティックなルールで、真の百獣の王を目指そうものなら、一片の無駄も無いプレイか要求されるシビアなゲームだった。
体のイロ(板)を揃えてヘンタイするので、テキトーに食ってるとぜんぜんヘンタイできないし、マップに散らばるドーブツたちは種類も数も決まっているので、さらにテキトーに食うわけにはいかない。
もう一つ言うと、ボスと対決することを考えると、ボスと遭遇するときには強いカタチにヘンタイしておきたいので、更なる計画性が必要というスンポーだ。メモか攻略本必須。
うーん、ゲームのルールとしてはなかなか面白いけど、ヤセイ的でないなぁ。
グラフィックは、ポリポリしているを通り過ぎて、完璧に板。
技術力が無い訳ではなくて狙ってやっているんだが、すんごい寂しい。
板で作ったキャラはルールに直結しているからしょうがないとして、もうちょっと何か画面に密度を出す工夫が欲しかった所。せめて背景は板で作らない方が良かったんでなかろうか。
月と太陽まで板ばりなもんだから、最初は何があるのか理解できなかった。
ゲームのグラフィックは記号化が大事とはいえ、極端な記号化は意味不明になるってことを思い知らされた。
フォントがジャギーバリバリなのは、読みやすいかどうかはともかく、いい雰囲気。
そして、ゲームの本筋以外の余裕がほとんど無い。絵的にも寂しいが、ゲーム的にも、今イチの寂しさと言える。
個人的にはコウビが、非常に平和的に行われることが残念。もー野生なんだから、女の子(男の子)追っかけ回して、無理矢理にでもコウビしたりしたかった所。任天堂的に駄目か?
そして、ルールやテクニックが分かりにくいことも問題。マニュアルは丁寧だし、ゲーム中も用語解説などのヘルプが付いているものの、今ひとつ感覚的につかむことができない。
能力を上げる「きたえ場」は、パラメータは上がるものの、狩りに必要なプレイヤーの能力はあまり鍛えられないので、おさえ食いやらのテクニックを習得できるミニゲームを挿入したりして、練習させてほしかった。そうすれば、かなり分かりやすくなったと思う。
で、アクションの方だが、もう一つ爽快感に欠ける。
まず、板で作ってあることもあって、自分が何やってるか見た目で分かりにくいのが問題。
そして、カメラワークがもう一つなのも、爽快感に欠ける要因であるだろう。
ヘンタイしても操作感がちょっと変わるだけで、あまり劇的ではないのも残念。特殊能力ボタンとかあれば、ずいぶん幅が広がったろうに。
ゲームを進めていると時々挿入される、ドーブツの独り言というか短歌と言うか、これはなかなか味があってよろしい。
マニュアルも含めて、テキストが実にいい感じ。
このゲーム、ニンテンドー64で制作していたものがいつまでたっても完成しないので、任天堂がよいしょとGCに移植して発売したようだ。
やってみたら、発売を見送っていたのも分かる、という内容。面白いけど何か足りない、でも何を足せば良いのか分からない、という所で足踏みしていたような雰囲気を感じるゲームだった。
もしくは、ヤセイと言う言葉の持つイーカゲンさとルールの緻密さ、シンプルなグラフィックと高性能なハード、そんなチグハグ感を払拭できなかったソフトとも言える。
そこで結論。
「面白い!…所もあるぞ、まだ実験作」
2004-11-19