アニメ魔神英雄伝ワタルで、その実力を遺憾なく世間に見せ付けたRED COMPANYがついにゲームにも進出。
音楽に坂本龍一氏を迎え、CD-ROMの大容量を駆使したドラマティックアニメーションRPG。
このゲームはPCエンジンCD-ROM2 の前途を定める位置にあったタイトルで、かなり力の入った作りをしている。
タイトル曲が驚くなかれ、世界の”坂本龍一”教授なのである。
それだけにタイトルでCD音源の曲からゲーム中の内臓音源のBGMに移った時のギャップが、悲しいぐらいではある。
ゲーム自体は、今となっては懐かしいオーソドックスなRPGであるが、その世界観のできの良さは、今でも十分新しい物といえる。
またこのゲームで特筆すべきは、そのグラフィックのできの良さである。REDの至宝とうたわれる”辻野寅次郎”氏のキャラクターは当時流行モンのアニメキャラっぽく無かったので、「どれだけのユーザーを引き付けることができるものか?」等と言われていたものだが、蓋を開けてみればその圧倒的な存在感・魅力に、そのような事は単なる気憂に過ぎないことがはっきりした。
もちろんハード的な制約があるので、現在主流となっている、グラデーションバリバリのグラフィック的な綺麗さはない。
だが、このソフトにおけるイベントシーンの”絵”の迫力はそういう類の絵を逆にペラペラなものに見せてしまうほどだ。
ちなみにフィールドのグラフィックは大したことはない。
ゲームは非常に丁寧な作りで、プレイヤーをこれでもかという感じに”ノセ”てくれる。
レベルアップのタイミングも非常に小気味良く、戦闘における各キャラクターの役割もはっきりしていて、迷うことがない。
ただ、システムやフィールドのグラフィック等に、同社のRPG桃太郎伝説の色が濃く出ており、独立したシステムとしての脱皮はまだ不十分ではある(プレイヤーにとってどうでもイイ事ではあるが)
当時はCD-ROMと言ったらパソコンも含め事実上PCエンジンだけが装備しているハードで、キャラクターが喋るだけでも、実にエポックメイキングなRPGであったと言える。
また、演出を前面に押し出して、ある意味プレイヤーと主人公をはっきり切り離してしまうなど、思い切ったRPGというゲーム根本の転換を行っていることも注目に値する。
そこで結論。
「REDのRPGの方向性を一本で定めた名作」
1997-08-30 1997-12-14