おそらく説明の必要はないと思われるが、一応言っておくと、このゲームは高校生活三年間をターゲットとした恋愛シミュレーションである。
またゲームの基本は、所謂育てゲーのシステムを使い「自分」を育て、女の子に気にいられる男になることである。
私は、特にこのソフトが、コナミというどちらかといえば硬派で、しかも大きな会社から出ていることに注目したい。
よくもまぁ、このゲームの企画が通ったモンである。このことはゲームの内容とは切り放して、大いに評価出来る。
主人公=プレイヤーではなく、主人公にある程度個性が(台詞や、相手のリアクションで判ることやSDキャラ)ついているので、そういう部分でスッと感情移入できなくなってしまう。特にこのゲームでは、ドラクエ並みかそれ以上に色の無いキャラクターにすべきだったと思う。
また、男友達(ライバル等)の描写が薄く、女の子同士のつながりもゲーム中ではかなり薄いので、ストーリー的盛り上がりを見せることはなく、刹那刹那の行為を繰り返すのみで、イベントなどがあるものの、単調であることは否めない。
途中で挿入されるミニゲームなども本編との折り合いが悪く、チグハグな印象を与える。
グラフィックは力一杯のアニメ絵で、女の子を髪の色と髪型以外で判別するのは非常に困難である。これはデータを減らすためにアニメーションデータを共通化するためかとも思ったが、一応女の子毎にデータは違うようなので、キャラクターデザイナーの力量不足と考えた方が自然なようだ。
デザイナーの力量が足りないのは、これだけ売れたにもかかわらず、あの絵を模写する人間は殆ど皆無であることから、絵の心得が無い人にも端的に判るだろう。
この「ときメモ」のキャラデザイナー。多くのKONAMI横スクロールシューティングファンに「それさえ無かったら名作」と言わしめた、ゼクセクスの悪名高きデモシーンのキャラクターデザインと同じ人だと思うのだが...
ゲームであるので、デートを何回繰り返そうと「つき合ってる」ことにはならなかったり、沢山の女の子とデートをしないと「評判の悪い男の人」になったりするが、ここらへんは「ゲームバランス」としては良い方向につながっている。
だがシミュレーションとしては、そんな阿呆なって気もする。
全体的に、奇怪な印象を与えるゲームである。
ちなみに、テキストの出来は、ゲームとしては良く出来ている部類に入る。
また、操作はマウスを基本としたカーソル移動+決定になっているが、画面のあちこちをクリックしないとゲームが進行しないと言う訳で無し、ゲームの基本はコマンド選択なので、ただただ面倒臭いだけである。
そこで結論。
「この企画を通したコナミの勇気に万歳」
1998-07-12 1998-07-27