ハードボイルドの本格派探偵アドベンチャー。
新宿を舞台とした殺人事件に、神宮司三郎が美人助手御苑洋子とともに挑む。
たしか、寺田克也氏のゲームのイラストとしてはこれがデビュー作だったと思う。
ファミコンディスクシステム用のゲームとして発売された。
なんとファミコン用の「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」より微妙に先に出ている。
公園の移動がドラクエ風の見下ろし型になっていて、同じアドベンチャーゲームの「軽井沢誘拐案内」を思い出させる。戦闘シーンは無いが。
マップが表示されるのが画面の一部なので、見える範囲が狭い上に、スクロールが粗く、非常に見にくい。
全画面にしたらハードウェア的にスクロールできるから、滑らかにできるのに、技術力の不足か、他のシーンとの整合性を優先させたのか。ドラクエ風である時点で整合性は無いが。
とにかく、「あたりみる」を使った時の反応が出そうなところが分かりにくく、いちいち質問のコマンドを選ぶのも面倒だし、かなり失敗している。
日付けによって、コマンドの結果が変わるのも、難易度の上昇に拍車をかけている。
もしかしたら、「ポートピア連続殺人事件」の悪名高い地下ダンジョンを真似てしまったのかもしれない。
ちなみに、公園以外ではコマンド選択で移動する。
コマンドを選択するたびに、いちいちカーソルが頭まで戻るので、コマンド総当たりが面倒。しかし、このころのアドベンチャーゲーム全般に言えることだが、不思議なところでフラグが立つので、やらざるをえない。推理でどうにかなる局面が少ない。
十字キーを横に動かすと別コマンドが出ることに気付かずに放り出した人もいそう。
他にもイライラしたり、理不尽だったりする部分が多く、自力でクリアするのは相当困難。PS版のアーリーコレクションでは、ヒントも出るが、それでも詰まる。
このゲームを語る時に外せないのが「たばこをすう」コマンド。実行すると神宮寺の頭が冴えて推理が進むという、ポパイのホウレン草のようなアイテム。よって、ゲームに詰まると吸いまくることになるのだが、子供の教育に悪すぎる。
ハードボイルド的雰囲気を高める役割としては、非常にいい効果を上げている。
ストーリーはかなり無理がある感じだが、当時としては出色のデキと言って良いだろう。
少なくとも、超能力なんかのSF要素に逃げたり、物凄い怪力や跳躍力で解決されたりはしない。当時は笑い事で無く、そんなもんだった。
グラフィックは、ファミコンのディスクの容量にものを言わせて、ちゃんと絵になっている。
当時は、アクションゲームのような背景か物凄いパースのついた背景に、妙に小さな人物がのっかってるのが普通だったのに、凄いもんである。
本作では斜の線が45度ではない、といえば当時の驚きのレベルが分かるかもしれない。逆にいえば、それ程周りのレベルが低かったとも言える。
そこで結論。
「当時の家庭用で大人向けを作ったってのは偉かった」
2002-04-01