ゲームセンターで人気のタイトーの看板シューティングシリーズであるダライアスが、スピード移植でサターンにデビュー。
今回は一画面だが、迫力は以前のものそのまま、全28ステージのシリーズ最大のボリュームで、ボスもバラエティに富んでいる。
赤青二機のシルバーホークによる同時プレイも当然可能だ。
ダライアスはもともと横に三画面をつなげ、振動椅子のついた非常に特殊な匡体で作られたシューティングゲームで、迂闊に弾を撃つと画面端まで弾が到達するまで時間がかかってしまい、次の弾が打てなくなると言う、特殊なスピーカーによる音響とあいまって、なんとも広大な空間を感じさせてくれるゲームだった。
この外伝の場合、一画面の普通の匡体で、ダライアスの雰囲気がちゃんと受け継がれているか不安になったファンも多かったろうと思うが、しっかりダライアスの雰囲気を持っていた。
ダライアスシリーズの特徴を列記すると
今回は、中ボスのコントロールボールを撃ってダメージを与えると、自機のオプションとなり攻撃力を格段に高めてくれるシステムがあり、なかなか楽しい。
ただ、システムとしては中途半端な印象をうけるので、無かった方が良かった。
このシステムは、続編である「Gダライアス」で昇華された形で取り入れられている。
これに限らず、3Dでレンダリングされたと思しいキャラクター(多少浮いてしまっているが)も多く、「Gダライアス」への過渡的なゲームを思わせる部分が多い。
ブラックホールボムの演出は同社の「メタルブラック」のモノを取り入れた感じで、非常に派手で爽快感がある。ボム自体も打ち出した瞬間から数秒自機が無敵になる、使い易いものとなっている。
さて、難易度なのだが、見た目程難しくは無い。ただし、見た目が尋常じゃ無く難しそうなので、当然本当の難易度もかなりのモノではある。
その難易度も、何度もプレイして、マップやアイテムの位置を把握しきちんとパターンを作っていき、ボスの安全地帯と行動パターンを見抜いていくと、確実に落ちていく。この作業がシューティングの心地よさそのもの、という人も多いだろう。
ただ、シューティングのお約束を知らない人にとっては、なかなかパターンを発見することは難しい。
ローディングもほとんど感じさせず、移植度も高い。
マップや敵の攻撃パターンも良く練られてテンポ良く飽きさせないし、アイテムの配置もなかなか行き届いている。
背景が派手で弾が見難いとか、巨大キャラと無茶な攻撃で処理落ちするとか、装備が貧弱になるともうやる気が起きないとか、エンディングに夢オチがあるとかは、ダライアスだからしょうがない(笑)としても、悪いところは実のところ、ほとんど無い。
しかしながらである。
シューティングはマニアックになり過ぎて、完全移植というだけでは、ユーザーを獲得することはできなくなっている。さらにプラスアルファが必要となっているのだ。
いくら良くできたゲームであったとしても、丁寧にシューティングのイロハを学習させるシステムであるとか、プレイヤーの腕前を読み取ってコンティニュー回数であるとか、初期装備であるとかを調節するようなシステムがないと、数回のプレイで投げ出されてしまう。
そこで結論。
「傑作なだけに、もう一歩の工夫が必要だった」
1999-04-03