舞台は、後3日で月が落ちてくる世界。
今度のリンクは、仮面で能力が変化する。
基本的には、前作のゼルダの伝説 時のオカリナの良い部分を全て引き継いだ上で、パワーアップしている。
ストーリー的には前作の直後で、ゼルダ姫もガノンも登場しない外伝的な作品といえる。また、登場するキャラクターの多くは前作のデータの使い回しであるところも、外伝的な雰囲気をかもし出している。
ただし、ゲームは本伝に匹敵する、というよりむしろ多いくらいのボリュームがある。
3日(ゲーム内で)経つと、「月が降ってきて世界が終わる」ので、時のオカリナで最初の日に戻って延々3日を繰り返すのが基本的なシステムである。
シェンムーと同じように、街の人がそれぞれの生活リズムで行動している。イベントを上手く起こしていくには、住人の後ろをついて回って、3日の行動をチェックする必要がある。ゲーム内でもメモ帳があるが、プレイヤーの方でも行動をメモるのは必須、ストーカー以外の何ものでも無い。
時のオカリナで、最初の日に帰ると消費アイテム(矢とか爆弾、ビンの中身)が無くなってしまう。
これは、セーブ機能のないアクションゲームと近い感覚を3日という区切りによって再現しているわけで、アクションゲームに必要な緊張感を持たせる機能があり、なかなか成功している。
とはいえ、面倒と言えば面倒でもある。
本作では、メモリ拡張パックの威力が発揮され、全てのシーン(背景)がリアルタイムポリゴンで作られている。
このことにより、イベントシーンを含め、ゲーム中で違和感のある画像が挿入されることが、まったく無くなった。テクスチャも密度が上がって、より見やすくなっている。
今回も「時のオカリナ」が重要なアイテムとして登場しているが、仮面で変身する4種族によって歌の効果が違ったりする。ちょっとやることのパターンが多すぎる。
変身できる3つの仮面の他に、21枚の仮面があって、それを付けた時にも何らかの効果がある。魔法の呪文の変形であるが、これもやることの幅が増える要素になっている。
本作ではCボタンアイテムの内の一つは、ほとんどの場合仮面に割り当てる、明らかにボタンが足りない。
ゲーム本編と直接のかかわりのないイベントやゲームが本編以上のボリュームで存在するため、どちらがメインなのか分からない。
しかも、時間的に平行して幾つものイベントが存在するので、どの情報がどのイベントに関係しているのか、結構混乱する。
本編のストーリーを進めるのに必要なことかどうかも分からないので、イベントの優先順位の決め方が難しい。
ある意味ではRPGの理想であるところの、「何をやってもいい」という状態を作り出していて素晴らしいとも言えるが、もう少し枝葉と幹の区別をハッキリとさせた方が良かったろう。
クリアに直接関係ないが、集めるとちょいといいことがあるアイテムが「ハートのかけら」「黄金のスタルチュラ」「仮面」「妖精」と、やたら多くて大変。
「黄金のスタルチュラ」はスタルチュラハウスという、「黄金のスタルチュラ」集め専用のダンジョンにしか出てこない。また、「妖精」は一つのダンジョンで一セット集め終わる。というふうに一応、制限をかけることで混乱を低くしてはいるものの、要素の詰め込みすぎである。
「ハートのかけら」と「仮面」で十分だろう。
ヒントをちりばめて、非常に丁寧にフォローしてあるが、それでも結構「ゼルダ経験者前提」のゲームで、ちょっとゼルダ未体験では難しいのでは無いかと思う。
そのことは、思いきった要素の削除が必要なくらい育ったシリーズである証拠とも言える。良くもこれだけの要素を詰め込んで破綻せずにゲームを成立させてるなと感心もする。
困ったことに、実際面白い。要素は多いものの、基本的なゲームの方向性がハッキリしているからだろう。
そこで結論。
「これはファン限定の面白さか?シェイプアップが必要だ」
2001-10-25 2001-10-28