戦国無双3Z
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基本情報
リアルタイムシミュレーションと格闘アクションの融合真・三國無双の日本戦国版戦国無双シリーズ。2006年発売の2作目から久しぶりの3作目である。
PS2で展開してきたシリーズだが、3はWii版で2009年に発売され、2011年には猛将伝が出た。本稿では猛将伝と同時にPS3で発売された3Zについてレビューを行う。
ちなみに、2010年に社名がコーエーからコーエーテクモゲームスに変更されている。
なお3Zは、後にPSP版が出ている。
3ZはWiiで発売された3と3猛将伝と有料ダウンロードコンテンツの戦国史をまとめてあるので、無双武将(プレイ可能な武将)は40名となり、すごいボリュームとなっている。
新システム
前作戦国無双2の完成度が高かったので、HD版作って3って名前つけて売ってもいいんじゃないの? と思うぐらいだが、2のシステムを踏襲しつつ色々と変更が加わっている。
もちろん、映像はPS3になって高解像度化しているし、60FPSになって動きも良くなったし、HDDにインストールすれば読み込みのストレスもほとんどなく快適。
雑兵の動きも、怯んでへたり込んだりするようになったりと、芸達者になっている。
ちなみに2のHD版は後で別にちゃんと出ている。
影技
練技ゲージを消費して攻撃に続けて出せるガード崩しの突進技である影技が導入された。
この使い勝手が素晴らしく良く、うまくコンボと絡めていくと、さらに超人的な強さを発揮できる。
また、練技ゲージと無双ゲージが両方とも溜まっていると、強力な無双奥義・皆伝が出せるので攻撃に幅が出た。
ただ、ガード崩しの利点を強調したかったのか、無双武将・武将はもちろん詰所頭までがガードが固く、練技ゲージがないと膠着状態に陥ってしまう。
練技ゲージに1回分は溜まってる状態でスタートして欲しかった。
持ち物
3種類の持ち物セットから選んで携帯でき、好きなタイミングで使うシステムとなった。
これで、別に必要ないのに出てきて、必要な時には出てこないアイテムに振り回されることはなくなった。
この選択と消費操作には十字キーが割り当てられていて使い勝手が良い。
真・三國無双から10年、「やっと十字キーで移動してるやつなんかいないことに気づいたか」という感想だ(Empiresでも使ってましたけどね)
また、回復アイテムは周囲の味方武将にも効果があるので、救援の効果が高くなったのも嬉しい。
ただし、救援の面白さを強調しようとしたのか、味方武将がやたら簡単にダメージを受け敗走するのには辟易。
特に武将の強さは選択した難易度に比例しているので、むしろ難易度が低いほうが敗走しやすく、結果ゲームが難しくなっているのは意味不明だ。
これに伴い、拾うと効果を発揮するアイテムを敵が落とさなくなったので、撃破した時点で入手するようにして欲しかった。
敵が崩れ落ちて倒れるのを待たないとアイテムが出ない上に、落ちたアイテムを拾いに行く必要があり、著しくテンポを悪くしている。
護衛の廃止
本作ではプレイヤーに付いてきてくれる護衛兵士がなくなった。
40人もの大量の無双武将がいるので、各シナリオごとに自分についてきてくれる無双武将を設定して欲しかった。
ごく一部のシナリオで、ついてきてくれる無双武将がいたりもするが、システムとして明示されていないので戦力として計算していいかどうかわからず、モヤっとする。
また、雑兵が割と攻撃途中に割り込んで攻撃を止めてくるので、それを阻止してくれる護衛が欲しかったところ。
逆に、総大将がバンバン走り回って自分がその護衛をする必要があるようなシナリオは面白かった。「殿お待ちくださいー!! 団子でござるー!!」みたいな。
馬による移動
特殊技だった馬呼びが、全ての無双武将で可能になった。これにより戦場を動きやすくなった。
ついでに、馬を呼んで走りながら飛び乗れるぐらいになるとテンポを崩さず良かったのだが。
ただ、馬を呼べるようになった利点を活用したかったのか、ミッションがあちこち走らせるようになっているし、味方武将は簡単に敗走するので戦場をやたら右往左往しなければならず、実に慌ただしい。
その割に、馬が遅いのもどういうバランスなんだか謎だ。
ミッションをこなさないと開かない門が多く、移動が制限されるのも鬱陶しい。
ミッションと撃破効果
ミッションというのは、シナリオ(マップ)クリアの指針的な指示で、ミッションを達成するとクリア後に経験値がもらえる。
これをこなさないとクリアできないものもあるので、基本全部こなしていくことになる。
開始前に分かりやすくミッションの説明があるのと、次のミッションへ向かう矢印がマップに出るのが救いだが、更にやらされている感が出てしまっている面もある。
カプコン戦国BASARAがルートが限定されたゲームとして人気が出たので、そっちに寄ってみたのかもしれないが、結果としては自身の魅力を損ねた格好だ。
ミッションの他に、撃破効果という条件を満たして敵を撃破すると味方や敵のステータスが変化したりアイテムなどが手に入ったりするシステムがある。
これが非常に良くない。
ミッションだけでもやらされている感が出るのに、無視してもクリアできるとはいえ、それなりの効果があるので結局やらざるを得ない。
そして条件を満たすために戦術上はやめたほうがいいような行動を取らされるのも嫌な感じだ。特に「自分の体力が減った状態で」みたいな条件は誰が見てもダメだと分かりそうな気がするのだが。
加えて、味方が倒すと条件を満たしたことにならず失敗になるのもげんなり。
味方が勝手に撃破効果を発動しては面白くないから、味方を弱くして味方撃破は条件失敗としたのかもしれないが、爽快感を売りとしたゲームとして破綻している。
自由に戦って死ぬならよし! しかし、自分が総大将の時にまで指示を受けて走り回って勝っても、嬉しさ激減だ。
ちまちまとメニューを開いて条件を確認しなきゃいけないのも、プレイのテンポを悪くしている。
ミッションと撃破効果は、下手に報償を出すようにしたせいでプレイ意欲が落ちていくという、ダメシステムの典型と言える。
士気の廃止
おそらくミッションをこなすより、士気を落としたほうが効果的な場面が多かったので廃止されたのだと思う。
戦国時代をはじめとする中世の戦争は、兵士数に劣っても士気の高いほうが勝つ傾向が強いというのが定説なので、どうにもリアルな戦場感が減ってしまって残念。
特殊ルールの積み重ねのゲームではなく、基本ルールを工夫し組み合わせるゲームという方向性で進化して欲しかった。
武器・防具の強化
素材を集めて武器・防具にスキルを追加・強化していくシステムは分かりやすく、スキルの付け替えもできるので好みの装備が作れる。
ただ、ある程度以上の強さのものを作ろうとすると、入手した際の能力の高さが必要となり、時間を湯水のように使ってのアイテム入手のための繰り返しプレイが必要になる。
最後にすごく確率の低い運頼みになるのが、このシリーズの苦手な部分だ。素直にプレイ時間で着実に強化できるシステムにしてほしい。
シナリオ
無双武将が40人いて、全てに5つのシナリオとそれに付随するムービーが用意されている。
だいたい1シナリオ30分以下でクリアできるので、失敗してやり直しも含めて1つ30分計算だと、40×5×30 = 6000分 = 100時間という計算になる。
この無双演武をざっとクリアするだけでも十分なボリュームを持っている上に、高い難易度に挑戦するとあっという間に時間が奪われる。
超有名武将は5シナリオ程度では薄味すぎるが、そういう武将の周りには有名武将が揃っているので、そちらもプレイすることで厚みが出る仕組みだ。
ただ、関ヶ原などの大量の武将が参戦した戦場が繰り返されすぎるのと、地方の戦場に地形の使い回しが多いので、水増し感は否めない。
また大筒などの特殊な仕掛けが、今ひとつ面白みに欠ける。
そして、目標を達成するために戦闘を繰り返す創史演武、オリジナル武将を作って戦国の有名合戦を渡り歩く戦国史、特殊条件下でどれだけ頑張れるか試す腕試し、と追加モードがある。
創史演武は、それ自体はイマイチ面白くなく、レア武器や馬を手に入れるために、仕方なくやる感じになってるのは残念。
やっぱり別売りのエンパイアぐらいの仕組みがないと、安直なおまけの域に止まっているので、無いほうがいいのでは?
戦国史は、戦国をざっと概観できて面白いが、これもやっぱり個別のパッケージとして出ているクロニクルの簡易版という感じ。
腕試しは、対戦格闘ゲームのサバイバルモード的なもので、インターネットランキングがあるので、発売当初はそれなりに盛り上がった感じはするが、もう10数年経った今みると、その人間離れした記録に怯む(笑)
なお、Wii版には村雨城モードというのがあるらしいが、3Zには入っていない。
まとめ
新たなシステムを導入し、それを活用するためにバランスを調整し、というところまでは良かったけど、全体としてみるとそのバランスはあまり良くなかった、という感じを受ける。
単純にプラットフォームがPS2からPS3になったぶんの進化はあるので、全体として退化とまではいかないが、進化しようと頑張ったけど、やり損ねた印象。
装備変更が合戦直前にしかできないなど、簡単に改善できそうな仕様が結構残っているのが不思議だ。
後、BGMをGACKTのボーカル曲に変更できる仕掛けが入っていて、テンション上がる。
個人的には歌聴いちゃって、すごく弱くなるんですけどね(笑)
参考
そこで結論。
シリーズに迷走感が出てしまった。バランス調整って難しい。