真・三國無双3 Empires

対応機種・周辺機器
PlayStation2
ジャンル
戦略シミュレーション + 戦術アクション
著作・制作
(c)コーエー 2004

基本情報

 リアルタイムシミュレーションと格闘アクションの融合「真・三國無双3」をベースに、戦略シーンが追加された。
 自分なりの戦略で、中国全土を統一せよ!!

酷い企画だ(褒め言葉)

「戦闘は三国志の武将としてアクションで戦います。同時に戦場には他の敵武将や味方武将がいて、それぞれ兵隊を引き連れてリアルタイムに行動しています。更に、戦場から帰ったら戦略マップが用意されていて、次にどの国に攻め込むかなどの戦略判断ができるようになっています」
 と、こんな感じの企画書を出したら、いくら面白そうでも一瞬で却下されるのが当たり前だ。
 以下のような判断が働くのが当然

 そんな、アホ企画がコーエーでは通ってしまった!! なぜか。

 恐ろしい。世界中でコーエーでないとできない企画かつ、魅力的な企画だ。

無双シーン

真・三國無双3との変更点

 基本は「真・三國無双3」なわけで、そこらの違いをざっと上げる。

追記

 武将が復活しなかったら、あっという間に自軍の武将がいなくなっちゃいそうではあるが、どうにかいいバランスを取って、少なくともその戦場での復活はないようにして欲しかった。

 プレイヤー以外の武将は、戦闘技能という戦況をちょっと変える技が使えるのだが、プレイヤーは使えない…、ホントこういうの止めて欲しい。
 コンピュータ武将ができることはプレイヤーもできるように、コンピュータ武将ができない事は、プレイヤーもできないようにして欲しい。
 こういうアンバランスなルールがあると、制作者の思うように動かされている感が出て、すんごく嫌。

戦略シーン

敵味方でルール違っちゃダメでしょ

 敵と自分でルールが異なるものが多くて、シミュレーションゲームとしては、ちょっと基本の部分でダメ。
 例えば、敵軍は各領地に武将を配置しているが、味方はどの戦場でも同じ武将がかけつけられる。そのルールにより、全武将数および兵士数は敵の方は領地が増えればどんどん増えるが、プレイヤーは武将最大12名、兵隊12x5千で6万人の上限がある。
 他にも、プレイヤーと他の武将でルールが異なる部分がちょこちょこあり、これが単に時間の問題だけでなく、対戦プレイをできなくしている最大の原因。
 ルールを敵味方で変えるというバランス取りは、シミュレーションではないなぁ…。
 リアルタイムシーンの方が、むしろシミュレーション性は高い。

献策システム

 戦略シーンでは、味方武将が政策を2つセットで提案してくるので、その中から適当なものを選ぶ、という方式。
俺の屍を越えてゆけ」の戦闘シーンで見た感じだ。
 武将ごとの個性が出て面白いシステムだな、と思ったが、実際やってみるとさほど個性はなく、張飛の政策が戦争一辺倒でどんぶり勘定、とか、劉備がやたら善政やりたがる、とかあると面白かったのに。
 あと、自分だと思っていた君主も政策を提案してきたのには萎えた。俺は誰なんだよ!!!
 戦略シーンを複雑にしすぎないシステムとしては、この献策システムは、なかなか良く機能している。

攻める際は全て無双

 他国を攻める際は、絶対無双モードに入ってプレイヤーが戦わなきゃいけない、というのはいただけない。
 信頼できる武将に任せて、プレイヤーは「真・三国無双」のステージ終了時の、戦場全体マップでの戦況の推移を見るモード、みたいなやつで見物できる、というような自分自身は戦わない方法も用意して欲しかった。
 全戦場にプレイヤー自身が出るとか、キャラを変えているにしろ「俺は呂布か!」と突っ込まざるをえない。

で、結局全体としては

 序盤で呂布を手に入れると、圧倒的に有利。
 敵拠点とか10数秒で手に入るので、ほとんど止まらずに敵本陣まで突入できる。
 流石に10国ぐらいある敵の本国の本陣となると、君主武将がアホ強いので、いかに呂布でもムリだが、それ以外だとあまり不安無く突っ込んでいけてしまう。
 怖いわこの人。
 この呂布に代表される、「結局力押しが一番強い」ってところが、折角の戦略シーンを台無しにしてるし、有名軍師を手に入れても「全く嬉しくない」という戦略シミュレーションにあるまじき状態となっている。

 マップが使い回しの上に特殊イベントがないので、意味のない作りになっちゃってる部分が多く、ちと興ざめ。
 特に、拠点の門グラフィックはあるのに、拠点システムが変わったため、門はあるけどその先に行けないという訳の分からない代物が点在しているのが、凄く気になった。
 門は削除して、木とか植えておこうよ。

 とはいえ、中国統一までの道筋を自分で選択していけるのは浪漫だし、その過程でリアルタイムに戦場を駆け回れるのもまた浪漫だ。
 兎に角、兵隊が多い方が良いとか、突出して各個撃破されるのが愚策とか、やってるとそういう事が分かる程度にはシミュレーションしているので、戦略シミュレーションの雰囲気をちょっと感じられるのは悪くない。

 なにげに、ミニゲームの競闘モードがコンピュータとの対戦可能になっていたり、データベースのビジュアル・ボイス面が充実しているので、ファンディスク的なポイントは、「真・三国無双3」のパッケージ中、もっとも高い。

 要素多すぎると、どの層の支持も得られずに「面白くても幻の傑作」となってしまうが(「仙窟活龍大戦カオスシード」みたいに…)、本作の場合は無双シリーズの外伝的立場となって、上手く生き残ることができている。
 生き残れたのは、無双だから三国志だからというだけでなく、本作の時点でかなりゲームとしてのレベルが高かったから、というのも間違いない。

 そこで結論。

「蓄積が作り上げた化物ソフトだが、企画臭が強いのも確か。まだまだ調整の余地がある」


2012-09-30