世界でもっとも売れたパソコンゲーム「MYST」の続編が遂に発売された。
グラフィックはさらに美麗に、サウンドは重厚に、舞台はより広大に、世界は深く、仕掛けは複雑に。
あらゆる部分がパワーアップして帰って来た。
前作である「MYST」と同じくMacintoshの代表的オーサリングソフトであるHyperCardを使って製作されており、HyperCardでゲームを作る際に非常に参考になるゲームである(といいつつ、私が作ったものは、全く「MYST」っぽいところが無いものばかりだが)
操作は全てマウスで行い、複雑な操作を覚える必要は無いのに、ゲームは実に複雑である。ユーザーインターフェースとはかくあるべしという、見本のような出来と言える。
前作「MYST」から画像の美しさがゲームのウリとなっているだけあって、非常に美しい。
CGは、全てコンピューター上で作られているとは信じられないほどリアリティに溢れている。その緻密さは画面に何気なく置いてある小物にまで全く手抜きが無い。
本作ではムービー(動画)も増え、多くのシーンで画面にアニメーション効果を施してあるため、緻密なCGと合わせ画面の現実味が上がっている(同時に、かなりのマシンパワーを要求するゲームとなっている)
サウンドが大幅に強化されており効果音のクオリティが高い、ゲームのヒントになると言う事も含めヘッドホンを着用する事を推奨してあるが、これは本当である。
このゲームは緻密なCGと共にパズルの面白さが上げられるのだが、後に述べる問題と合わせ、非常に難しく(有り体に言えば面倒臭く)なっている。
パズルの質は高い、たしかに高いが多くの人には難易度までもが高すぎる。
ただし理不尽な作りでは無いので、クリアした後の爽快感は格別である。
ゲームのマッピング(地図作り)とヒントのメモは必須で、自分でメモを取っていく気の無い人はゲームをしてはいけない。
世界はこの世のどこでも無いところであることもあり、建物や小道具は全てこのゲームのためにデザインされている。
また、文字や数字(これはゲームの進行に大きく関わる)も完全に新しく作られており、トールキンの小説「指輪物語」を彷佛させる。
ストーリーに関しては、ゲーム中やマニュアルで出る情報が的確で無く、消化不良の感がある。
画面はレンダリングされたハイグレードなCGで構成されているが、言ってしまえば一枚絵でしかない。
リアルタイムポリゴンで構成されたスーパーマリオ64などにくらべると、移動の自由度の低さが実に腹立たしい。
具体的に言うならば、常に「その程度の坂はジャンプして超えられるだろう」とか、「もう少し右の方から見たい」という不満があるのだ。
技術の進歩は凄まじく、RIVENレベルに近いリアルタイムでレンダリングされたCGが出てきてしまうかもしれないが、今の所それは望むべくもない。
広大な世界が用意されている上、前作と比べヒントが散らばっているているため、行ったり来たりが多く、当然移動量も並ではない。
だが、Zipモードという移動をショートカットするモードが用意されており、移動のストレスは比較的少ない。
はずなんだけど...
何が困るって、CDを矢鱈と入れ替えなくてはいけない事、どうにかHDにインストールする部分を多くして入れ替えを減らすオプションは作れなかっただろうか。
いくら他の部分の出来が良くても、この入れ替えの多さには閉口してしまう。
そこで結論。
「DVDならば名作と言えたかもしれない」
1998-09-05