SEGAのキャンペーン「This is cool!」を体現する男がやってきた、その名もミスター・ボーンズ、服はおろが皮膚まで脱いでしまった、究極のクールガイだ。
追い縋る骸骨の群れから走って逃げたり、泳いだり滑ったり飛んだり、ギターのテクニックを披露したりと大活躍。
何故、骸骨男を主人公にしなきゃいけなかったのか?
何故、アクションゲームにCD-ROMを二枚も使っているのか?
何故、ギターのテクニックが必要なのか?
ってゆーか、何かの冗談なのか?
謎は深まるばかりだが、遊んでみると、そんなことは気にならなくなる。
最初のうちはジャンプアクションとみせかけて、ステージが進むと、タイミングアクション、レース、シューティング、etc.、アクションのあらゆるジャンルを、節操なく詰め込んである。
マニュアルに書いてある操作説明が通用する面が少ないぐらいだ。
それぞれのゲームが最高のデキとはいわないまでも、かなりのできなのが恐ろしい。
しかも、それなりに作り込んだシステムを、1ステージで使い捨てする贅沢さ加減が、なんともいえない。
だいたい、これだけ様々なシステムのゲームを入れたら、雰囲気バラバラになるものだが、このゲームの場合、途中に挿入されるムービーシーンを含め、高いレベルで統一感をキープしている。
難易度が若干緩めに調節されていて、システムに慣れてくると次のステージに進むような感じになっている。
ゲームはルールを把握するまでの部分が最も面白いというところがあるが、次々と新しいシステムが登場する本作では、この恍惚の時間が延々と続くのである。
ゲーム全体としても、難易度の高低やステージの長短にメリハリがあり、飽きさせないし、一度到達したステージはセーブされ、何度でもそこからやりなおせるので、一日に1ステージずつ進むような、ゆっくり時間をかけた遊びかたができる。
そして、終盤の畳み掛けるような展開と、ゲーム史上に類を見ないふざけたシステムが、実に心地よく、上手い。
全体としても、実にいいバランスを保っている。
プログラムレベルが、こんな冗談のようなソフトのくせに妙に高く、しかもちゃんと力を入れるところと抜くところが分かっているのが、憎らしい。
ムービーを上手く利用したゲームが多いのだが、プログラムは勿論、グラフィックのレベルが尋常じゃ無く高い。もちろん、ムービー以外の部分も非常にレベルが高いもので、一部を除いて、背景を含めコンピュータでモデリングして製作しているようで、しかも「MYST」と比べてもいいようなレベルなのが凄い。
また、ゲーム中のギターサウンドが、これまた妙に出来が良く聞かせる。パッケージも明らかにアルバムを意識しているあたりからも、音楽への力の入れ方が尋常で無いことが伺える。
主人公のボーンズの動きが非常に良く、アイドル(コントロールしていない)時の動きも、SEGAの看板スターのソニックを霞ませる程に懲りまくっている。
なぜにこれほどまで、ボーンズに愛を注ぎ込めるのか、制作者は並の神経をもった人間の集まりではないことは確かだ。もしかしたら、制作者はみんな骸骨人間なのかもしれない。
これだけ力を入れれば、そりゃあ二枚組にもなろうというものである。
しかも、マニュアルを含め、日本版へのローカライズが実に上手く、センスがいい。日本にも骸骨人間がいたのだろう。
一部難点もあるが、それをあげつらうのは、ヤボというものだ。
そこで結論。
「ただの冗談を、高いレベルで完成させた大傑作」
1999-04-29