おちこぼれ錬金術師の卵のマリーが、卒業試験として与えられたのは、「5年で、とにかくすっごいアイテム」を作ること。
たしか、プレイステーションで発売された作品の移植である。
全体的にパソコンゲームっぽく、家庭用ゲーム機らしい表現はほとんど一つもない地味な作りだが、キャラクターデザインと本編のイラスト、共に桜瀬琥姫(おうせこひめ)で統一してある。大作ではなかなかできないことである。
システムは、一つの街を中心として冒険などをくり返し、パラメータを上げ、多数のエンディングのうちの一つに至る。つまりは、「プリンセスメーカー」の変型である。
変型亜種ではあるのだが、あまり元ネタを感じさせないように、上手くアレンジしてあるので、あまり同じ種類のゲームをやっているとは意識させない。
もしかしたら、「偶然似た」のかもしれないが。
サブタイトルが「〜ザールブルグの錬金術師〜」であるように、錬金術によって入手したアイテムを合成して、どんどん新しいアイテムを作っていく。
これは、「デジタルデビルストーリー」の悪魔合成の変型であるが、題材選びが適切なので、合成することの面白さを満喫できる。
ストーリーとシステムがキチンと結びついているゲームは、最近少なくなっているだけに貴重である。
多くのイベントにアイテム合成を絡めてあるのは非常に正しい。
しかし、ところどころに挿入されるミニゲームは、ゲーム本編のルールとは一切関係なく唐突で、グラフィックからして本編と全く異なるのはいただけない。
インターフェースの作りが今一歩甘く、直感的でない部分も多い。
たとえば、戦闘シーンで、プレイヤーキャラクターが手前ではなく奥にいるのも不自然である。また、キャラクターの選択方法も、場面場面で異なっているのも違和感がある。
ただし、合成の部分のインターフェースは、まずまずの出来なのが幸いである。
ゲームの難易度は低く、5年用意されているが、慣れれば半分もあれば目的を達成することができる。
プレイ時間は、適切であろう。エンディングまでに10時間はかからないと思う。
そこで結論。
「アレンジだけで、見事にオリジナリティを出した秀作」
2001-02-20