このゲームは1995年1月にリリースされた(だったとおもう)ネオジオ用ソフトを移植したもので、ショーに出展された時はそのセンスの良い美麗なグラフィックにかなり期待が高まったのを覚えている。
さて、このゲームはSF風味の対戦格闘ものであり、似たものとしてはアイレムからなにやら悲しいモノが出ていたが、それに比べると格段に出来はいい。
このゲームの出色たるところは、
「端のないフィールド」
である、これによって画面端のみしか存在しない固め技や、その他の不具合がなく、もう一つの特色である
「ダッシュによる技の特性変化」
と合わせてスピーディーな展開を可能にしている。
さらにある特徴の一つ
「なんでもかんでもキャンセル出来る」
というのも、爽快感のあるシステムで、バキバキ打撃を与えていける楽しいモノなのだが、これが諸刃の剣で、逆にスピーディーな展開を押さえることになっているのが残念。
どういうことかというとキャンセルがあらゆる場面で可能ということは、当然ガードキャンセルも可能な訳で、勢い
「相手が攻撃してくるのを待ってガードキャンセルで反撃」
という戦法になりがちであるということである。
特にCOM戦でこの傾向が強く「待てば勝てる」状態である。
はっきりいえば「つまらない」のである、サターン版では少々思考ルーチンが変わっているモノの「待てば勝てる」のに変わりはなかった。
悪いソフトではないだけに悲しい。
またCOMレベルは私は「EASYでもHARDでも挑発回数の違い以外にこれといった違いが判らなかった」(少々大げさだが)
HARDでもCOMは馬鹿だしEASYでも気が抜けない。
初心者にも優しくするんじゃなかったのかSUNSOFTよ。これじゃ「へべれけ」シリーズと「上海」に頼るしかないぞ。
ボタンが4ボタンで1つは「パラメーター効果のない挑発ボタン」であるので基本的に3ボタンのゲームであり、初心者も取っ付き易くなっている。これより少ない対戦格闘アクションは「ワールドヒーローズ」(事実上2ボタン)ぐらいのモノで、高く評価出来る。
また、最初にも書いた通りグラフィックのセンスが非常に良く判り易く言うと
「うまい人が描く分には簡単で速く描けるが、そうでない人間にはいつまでたっても描けないグラフィック」
なのである。
あえて、逆光で描いてあったり、影がしっかり人型をしていたり、背景のアニメーションがまた、マシンパワーを必要としないのに効果絶大であったり、ともかく力を入れる場所をわきまえているというか、渋いのである。
これだけ良いところがありながら、メジャーになれなかったのは、後一歩のゲームバランスの悪さと、ぱっと見のゲーム性の普通さだったのではなかろうか?(対戦ゲームのバランス調整は人対人であるだけに非常に難しく一作だけではちょっと無理なところもあるとは思う、ストIIも対戦ゲームとしてみると結構酷いバランスである)
そこで結論。
「後ちょっとで傑作なのにぃ〜」
1997-10-01