KOF MAXIMUM IMPACT MANIAX

対応機種・周辺機器
PS2 / Xbox
ジャンル
ACT
著作・制作
(c)SNK PLAYMORE/ノイズファクトリー 2004-2005

基本情報

 キング・オブ・ファイターズ(以下KOF)は、餓狼伝説龍虎の拳など、人気シリーズのキャラクタが一堂に会して戦うお祭り的な対戦格闘ゲームである。
 その10周年記念として初の3D化し(アーケードを経ず)PlayStation2で発売されたものが、KOF MAXIMUM IMPACT
 さらにその調整版としてXboxで発売されたものを、PS2に移植したものが本作。
 基本的な内容は前作のKOF MAXIMUM IMPACTと同様なので、前作のレビューとして読んでもさほど問題ないかと思う。

 開発は、レイジ・オブ・ザ・ドラゴンズ新豪血寺一族を作ったノイズファクトリー。

グラフィック

 KOFのキャラが、それなりのクオリティで3D化されているという時点で、結構ときめく。
 とは言え、2004年といえばバーチャファイター42001、鉄拳42001、デッドオアアライブ32002、ソウルキャリバーⅡ2002が稼働している時期で、2005年となるとこれらの続編が幾つか登場する年である。
 しょーじき、悪くないけど若干しょっぱい、というのが正直な感想だ。

 以前にSNKが作った、餓狼とかサムスピの3Dのやつのガッカリ感に比べたら、断然悲しみは少ない。
 単にキャラクタモデルだけ比べたら、そんなに他のゲームに見劣りしないと言ってもいいだろう。
 ただ、表情とか視線(頭の向きの挙動も含む)があんまりなくて人形っぽいとか、乳揺れ頑張ってるけど柔らかさに欠けるとか、ライティングが貧相とか、微妙(だけど決定的)な部分での違いがあるのが、ちょっと辛い。
 ストーリーモードをクリアするとコスチュームが増えるが、どうにもやっつけ感が強く、どれも特に使いたい感じがしない。
 ただし風雲黙示録の獅子王コスプレがあるのは評価したい。そういうお祭り感がもっとあればと悔やまれる。

 背景なんかも、SNKといえば90年代では業界トップレベルだったのに、なんというか…普通だ。
 しょぼくはない、しょぼくはないが、普通だ。
 PS2の本作より、PS1で出たスターグラディエイターの方が、ステージのコンセプトそのものからテクスチャの使い方など優れていると感じる。
 破壊できるオブジェクトなどもなく、動く背景が少ないことや、ステージが無駄に広いことと相まって、なんとも寂しい感じ。

キャラ

 KOFといえばキャラ人気が凄まじいシリーズなのだが、本作では主役の兄弟が(全くドイツっぽくない)ドイツ系の兄弟とか、誰に売ろうと思ってんだ、という感じだ。
 他の新キャラは、乳揺れ担当女子と、不思議ちゃんで、これまた、どの辺に売ろうとしてるんだか謎だ。キング出してくれよ、キング・オブ・ファイターズなんだから、キング必要だろ、キング!!
 それから、ほぼキム・カッファンが女性化しただけの、チェ・リムとか、だったらキム出せよ! キム!! と思うんだが。
 あと最後の新キャラがボスなんだが、ラウンドで姿(や技)が変わる演出もなく、デザインも特に意外性のないもので、「中ボス」な雰囲気。
 中ボスのくせに三下臭がすごかった山碕の方が、なんぼインパクトあったか。

シナリオ

 シナリオは、びっくりするほど、どうしようもない。というよりシナリオと呼べるようなものが、そもそもない。
 大半は「次は○○です」ってキャラが紹介されるムービーが挟まるだけで、そういう意味ないものに時間が取られるのがものすごいストレス。
 エンディングも各キャラが独り言をつぶやいて終了という感じで、PS1の鉄拳に遥かに負けてる。
 しかもこれ、調整版として出しなおしてるMANIAXだというのに、全然改善しようという意思が感じられない。
 新キャラ、特に主役兄弟は、多少ストーリーらしきものがあるが、焼け石に水といったところだ。

システム

 本作は、基本的にはKOFの2パンチ2キックの4ボタンで、強同時押しで吹っ飛ばし、という操作系を踏襲していて、必殺技コマンドもほぼ従来からの引き継ぎで入りやすい。
 ただし、スタイリッシュアーツ(以下SA)という、ボタン順番押し+レバー方向による連続技が用意されていて、2D的なシステムと3D的なシステムの折衷となっている。
 このあたり、カプコンのヴァンパイアシリーズや、ストリートファイターⅢと、似た感じと言える。
 同じボタンを押していくだけで繋がる強いSAが各キャラ揃っており、そこを押さえれば初心者でも結構遊べる感じだ。
 ただ、マニュアルに各キャラの代表的SAが書かれておらず、どういう遊び方をして欲しいのか、作ってる方が良くわかってないんじゃないかという雰囲気だ。

 SAに続けて必殺技が出せたりするため、一方的に攻め続ける(あるいは守り続ける)場面が発生しがちで、さらに倒れている相手にも結構打撃が当たるため、(カプコンのVSシリーズほどではないが)コンボがかなり継続する。
 画面では忙しくキャラが動いているが、その実ゲームとしては単調なところがある。
 そもそもKOFシリーズは、超必殺技の演出などで操作不能時間が多めのゲームなのに、さらに多くしてどうするよ、というのが正直な感想だ。

 そんなことよりなにより、KOFシリーズの特徴である3vs3の戦いではなく、ごく普通の1vs1の戦いになっており、前述の通り既に1vs1の3D対戦格闘がシリーズを重ねている時期に、似たようなシステムのゲームを作ってくるとは…。
 登場キャラ数もKOFとしては少ない20名となっている。対戦格闘ゲームとしては十分な数とは思うが、しかし本作にはKOFの名がついているのだ。
 ミスターカラテを単独キャラとして 出すことをしてでもキャラ数を稼いで欲しかった。
 SAによって1キャラあたりの製作コストが上がってしまったのが、そもそもの問題のように思える。

 プレイヤーがKOFに「3vs3のキャラが豊富なお祭りゲーム」を期待しているのは明らかなのに、これは正直なところ「詐欺」に近い。
 KOFという名前で(無印を含めた)本作はそこそこ売れたが、ゲームとしてかなり良くなった次回作のKOF MI 2は、がくりと売り上げを落とした。
 このことからも、プレイヤーが「詐欺」だと感じていたのが証明されていると見ていいかと思う。

インタフェース

 操作感はコマンドやスタイリッシュアーツも入りやすく、かなり良好だ。
 ただ、左アナログスティックも移動に使えるようにして置いて欲しかった、個人的にはあまり使わないが、アナログスティック操作の方が使いやすいコマンドもあるだろうし、アナログスティックが使いやすいと思うプレイヤーも多いかと思う。

 しかし、軸ずらし(画面前後への移動)後に、明後日の方向に攻撃したり、攻撃によっては全く攻撃力がなさそうな背中にまで攻撃判定があったり、完全に当たってる感じなのに喰らい判定なかったり、当たり判定の雑さがめだつ。
 ジャンプからの技に関しては、2DのKOFシリーズほどの極端なジャンプ軌道の差がないにもかかわらず、3種類の使い分けが可能になっているが…このバリエーションが必要だったか疑問だ。

まとめ

 2Dの対戦格闘をいくつか作って実績があったとはいえ、3D作ったことなかったノイズファクトリーが初挑戦ということを考えると「及第点以上」のできだと言える。
 ちゃんと遊べる。

 しかし、KOFファンの期待に追いついているかと言われると、タイトルがタイトルなだけに厳しいと言わざるを得ない。
 また、絵・ゲームシステムなど、どこを取っても平均かちょっと上ぐらいで、突出した何かがなく、もう一つ印象に残らない。
 そのため、シリーズとは切り離して単に格闘ゲームとしてみても、他のを選んだほうがいいんじゃないか、という結論になる。

 そこで結論。

単体で見るとそれなりに遊べるが、他に選べるゲームがいっぱいあるからなぁ…

折角PS2は右スティックあるんだから武力 〜BURIKI ONE〜出してくれよう…