集英社(Vジャンプ)とフジテレビ(TVアニメーション)とハドソン(ゲーム)が組んで、本格的メディアミックスで展開されるガリバーワールドがサターンにやって来た。
キャラクターデザイン芦田豊雄(バイファム・魔神英雄伝ワタル 他多数)、シナリオ総監督広井王子(天外魔境・サクラ大戦 他多数)、メカデザイン鳥山明(ドラゴンクエスト・ドラゴンボール 他多数)という超豪華大盤振る舞い。
そもそもはPCエンジン用に製作されたゲームの移植であるので、マップグラフィックなど非常にPCエンジン臭い、
PCエンジンでは「Huビデオ」というハドソン独自の動画再生ルーチンの開発に成功し、それも話題の一つであったのだが、サターン版では単なるシネパックである。
もちろんPCエンジン版の映像の方がいいとは言えないが、力の入れ方と言う意味で、グレードダウンしている。
ゲームそのものは、ドラクエパターンを踏襲しているが、貿易という要素を取り入れたことによって、いくつか特殊になった部分がある。
まず「武器・防具を買い替える行為がなくなっている」ことがある。
装備するのは武器だけで防具はなく、武器も基本的に店では売ってなくて、イベント等で手に入れるようになっているのだ。
貿易をして売ったり買ったりを繰り返すことになるので、複雑化を防ぐためにも妥当な選択であると言える。
また、モンスターが金を落とさないこともそうで、モンスターが金を落とすと貿易をしないプレイヤーが出ること必至なので、これも妥当なものだと言える。
ここまではいいのだが、その後のツメがかなり甘い。簡単に結論を言うと「貿易しても面白くない」のだ。これはかなり致命的と言わざるを得ない。
まず、マップが表示できるが街の名前が解らないので、仕入れ先や出荷先の確認が非常に面倒。
次に、在庫数に限界がなく売りたいだけ売れるので、儲けようと思ったら単純作業を繰り返せばよく、全く駆け引きというものが存在しない。
さらに、ストーリー本来の目的と、貿易の最終目的が合致しないので、プレイヤーが本気になる必要がない。ストーリーの進行のために貿易をする必要がない、とも言える。
他に少し特徴的なこととして。
モンスターがフィールド画面に表示されていて、よけることができること。
マルチシナリオ方式で、プレイヤーの選択によって、ストーリーが一部変化する。
ということがある。
シナリオやゲームバランス等のできとしては、そう悪くないが、行ける都市が突然増えたりして、少々大ざっぱな印象を受けた。
また、戦闘時の操作性が非常に悪く、それの所為で敵と出会いたくないほどだ。
ついでに言うと、獣人が喋るのがかなりうざったい。
色々と文句を書いたが、基本的にRED(クレジットには出ないが、このゲームは事実上REDカンパニーが製作している)調の、アニメあり有名声優による喋りあり、ミニゲームありのRPGなので、そんなにつまらないわけではない。
それだけに勿体ない(集英社がかんだのがまずかったのではないかと邪推するが、真実はどうなのだろうか?)
そこで結論。
「新しいことをやってみようとしたが見事にコケた。がRPGとして楽しめばそれなり」
1997-09-01