空想科学世界ガリバーボーイ

対応機種・周辺機器
サターン CD2枚組
ジャンル
ファンタジーRPG
著作・制作
(c)HUDSON/ワイワイカンパニー 1995,1996 (c)広井王子・芦田豊雄/集英社 (c)フジテレビ・東映動画

 集英社(Vジャンプ)とフジテレビ(TVアニメーション)とハドソン(ゲーム)が組んで、本格的メディアミックスで展開されるガリバーワールドがサターンにやって来た。
 キャラクターデザイン芦田豊雄(バイファム・魔神英雄伝ワタル 他多数)、シナリオ総監督広井王子(天外魔境・サクラ大戦 他多数)、メカデザイン鳥山明(ドラゴンクエスト・ドラゴンボール 他多数)という超豪華大盤振る舞い。

 そもそもはPCエンジン用に製作されたゲームの移植であるので、マップグラフィックなど非常にPCエンジン臭い、
 PCエンジンでは「Huビデオ」というハドソン独自の動画再生ルーチンの開発に成功し、それも話題の一つであったのだが、サターン版では単なるシネパックである。
 もちろんPCエンジン版の映像の方がいいとは言えないが、力の入れ方と言う意味で、グレードダウンしている。

 ゲームそのものは、ドラクエパターンを踏襲しているが、貿易という要素を取り入れたことによって、いくつか特殊になった部分がある。

 まず「武器・防具を買い替える行為がなくなっている」ことがある。
 装備するのは武器だけで防具はなく、武器も基本的に店では売ってなくて、イベント等で手に入れるようになっているのだ。
 貿易をして売ったり買ったりを繰り返すことになるので、複雑化を防ぐためにも妥当な選択であると言える。
 また、モンスターが金を落とさないこともそうで、モンスターが金を落とすと貿易をしないプレイヤーが出ること必至なので、これも妥当なものだと言える。

 ここまではいいのだが、その後のツメがかなり甘い。簡単に結論を言うと「貿易しても面白くない」のだ。これはかなり致命的と言わざるを得ない。
 まず、マップが表示できるが街の名前が解らないので、仕入れ先や出荷先の確認が非常に面倒。
 次に、在庫数に限界がなく売りたいだけ売れるので、儲けようと思ったら単純作業を繰り返せばよく、全く駆け引きというものが存在しない。
 さらに、ストーリー本来の目的と、貿易の最終目的が合致しないので、プレイヤーが本気になる必要がない。ストーリーの進行のために貿易をする必要がない、とも言える。

 他に少し特徴的なこととして。
 モンスターがフィールド画面に表示されていて、よけることができること。
 マルチシナリオ方式で、プレイヤーの選択によって、ストーリーが一部変化する。 ということがある。

 シナリオやゲームバランス等のできとしては、そう悪くないが、行ける都市が突然増えたりして、少々大ざっぱな印象を受けた。
 また、戦闘時の操作性が非常に悪く、それの所為で敵と出会いたくないほどだ。
 ついでに言うと、獣人が喋るのがかなりうざったい。

 色々と文句を書いたが、基本的にRED(クレジットには出ないが、このゲームは事実上REDカンパニーが製作している)調の、アニメあり有名声優による喋りあり、ミニゲームありのRPGなので、そんなにつまらないわけではない。
 それだけに勿体ない(集英社がかんだのがまずかったのではないかと邪推するが、真実はどうなのだろうか?)

 そこで結論。

「新しいことをやってみようとしたが見事にコケた。がRPGとして楽しめばそれなり」


1997-09-01