NEO GEOの看板タイトルの、餓狼伝説シリーズがグラフィックとキャラクターが一新されて帰ってきた。
リニューアルされたスウェーラインが、スピーディーなバトルを演出する。
前作に当たる餓狼伝説スペシャルのキャラクターが15人だったので、今回の10人はかなりパワーダウンと言わざるをえない。しかも前作の人気キャラがごっそりいなくなっている。これは辛い。
それで、新しいキャラクターが魅力的なものならばどうにかなったかもしれないが、今一つキャラ作りに失敗している。このことは、K.O.F.95にも96にも一人も餓狼伝説3の新キャラクターが採用されていないことからも分ると言うものである。
SNKのゲーム全体に言えることだが、マニュアルの出来が悪い。
このゲームの場合は必殺技が一部しか載っていないし、コマンドがパンチやキックなどというボタンの機能で書かれておらず、ボタンの名前(ABXY)で書かれているので、ボタン割り当てを変えると、さっぱり分らなくなってしまう。
また、システムの説明がおざなりで、例えば避け攻撃ならば「くらい判定がほとんど無い技で、相手の攻撃を避けつつ反撃ができる」と言う性質が書いてないので、しらない人は無理に使おうとは思わないだろうし、敵が出した時は、ただ理不尽に攻撃を受けたとしか思わないだろう(避け攻撃自体は割と良いシステムなんだが)
システムをしっかり理解しないと、全然面白くないものなのに、ゲーム中は勿論マニュアルでも説明しないとなると、自分で「このゲームはつまんないですから遊ばなくても結構ですよ」と言っているようなもの。
このようにシステムの説明がちゃんとされていないので、作ったシステムも台無しなのだが、実は餓狼伝説3のシステム自体はかなり良くできている。
スウェーラインを技が届く距離におき、移動してもすぐにメインのラインに戻ってくるようにしたため、前作で問題だった別ラインへ逃げまくってタイムアウトを狙うという戦法が通用しなくなり、全体にスピード感が増した。
レバー入れによる通常技を取り入れたことにより、4ボタンでは淡白になりがちな通常技での攻防が、豊かになった。
投げ技のコマンドは投げ専用で、失敗グラフィックが出るようになっていて、投げをしっかり狙って出さなければいけないようになっている。
悪い部分は、ためコマンドのため時間が短すぎて暴発しまくること。共通の投げコマンドが存在しないので、投げが分かりにくいこと。それから、個人的に物凄く気になるのは、ガードした時にキャラクターが喋ること、違和感あり過ぎるしうるさい。最初はバグだと思ったぐらいだ。
餓狼伝説の基本に立ち返って、ストーリー性を大きく取り込んでいて、中間デモがきちんと入るのは非常に正しい方向性だと思う。
また、背景に物凄く力が入っているし、動きはもう一つだが、キャラクターのグラフィックのできはいい。
キャラクターと同様に、必殺技のエフェクトもシブかった、技のヒット数も出ないし、不知火舞のコスチュームの露出度は落ちるし、全体にシブーイ雰囲気がただよっていた。個人的には好きだけど「それじゃ売れんだろう」と思ったのも事実。
移植度自体は良いのだが、サターンに移植されたのが遅すぎた上に、家庭用の追加要素が全く無いのは、「リアルパウト餓狼伝説」を移植するついでに移植したと言う雰囲気すらする。
世間の評価よりはかなり良いゲームだと思うのだが、やはり3作目はゲームでも鬼門なのだ。
そこで結論。
「悪くないのにアピールミスで凡作に」
1999-10-14