ヒューマンのパニックソフト第二弾。
今度はビル火災に挑むピートとダニーの二人の活躍を描く、アクション巨編。
記憶によれば、一連のパニックソフトシリーズは、同社が経営するヒューマンクリエイティブスクール出身者が作ったものだったと思うが、前作「セプテントリオン」をはじめとし、なかなかに発想の豊かなものが揃っていて、本作も例外では無い。
こういうソフトを作ってくれるのならば、ゲーム学校も悪く無い。
ただ、ほとんどのゲーム学校はへの役にも立って無いのが現状ではないかと思う。
ゲームのシステムは、おそらくセガの「エイリアンシンドローム」をベースにしているものと思われるが、敵のエイリアンを炎に、主人公を消防士に変えることにより、全く違う雰囲気のゲームに仕上がっている。
その雰囲気の違いかたは、ほとんど新種のゲームを開発したと錯覚してしまうくらいである。
ちょっと見方を変えるだけで、新しいゲームを生み出すことができるということを痛感させる、正しくアイディアの勝利である。
敵である炎は人間が無条件に消したくなるものであり、消火はプレイヤーの動機づけとして全く相応しい。
また、敵が基本的に炎しか無いので、単調に思われるかもしれないが、炎のバリエーションが豊富で、二種類の放水を使い分けて消さなければいけないこともあり、けっこう忙しい。
途中に、BOSSと言える特殊な攻撃をし、なかなか消えない炎が待ち構えていて、ゲームの展開にメリハリを与えている。
また、炎以外の障害も、建物の部品(ライト、パイプ等)の倒壊、ドラム缶が飛んでくる、そしてバックドラフトなど、災害現場の雰囲気を大いに盛り上げている。
各所に、かなり消防士や火災について研究した後が見られ、作品にリアリティを与えており、非常に好感が持てる。
話としては映画で言うなら「タワーリングインフェルノ」よりも「バックドラフト」で、ホテルの従業員や客のパニックではなく、消防士側からの話である。
贅沢を言うと、もう少し人との交流を描ければ、ストーリーものとしても評価ができるものになるのだが、実際の所はアクションゲーム以上のストーリーは無いと言える。
サポートのダニーはコンピュータが自動的に動かすキャラクターだが、このキャラが、炎を消すのを手伝うのは勿論、扉を開ける、障害物を退かす、要救助者を確保する、といった雑事をやってくれるので、プレイヤーの操作はごく簡単になっている。
また、ダニーの動きは、なかなかきびきびしていて、障害物にやたら引っ掛かったりしてイライラすることは皆無といって良い(このあたりスクウェアの「聖剣伝説2,3」なんかは最悪にデキが悪かった、本作の爪の垢でも煎じて飲んでほしい)
今まで書いて無い部分でも、細かい部分の作り込みが良く、ほとんど欠点の無いような本作だが、ボリューム不足な点だけは否めない。ビル一つ、つまり一回の出動だけをゲームにしている。舞台のバリエーションが色々と考えられる題材だけに、不満が残る。
ただ、このことは逆に、たまに取り出してサクッと遊ぶのに最適のボリュームであるとも言える。
あと、画面の下の空間が常にメッセージ用に確保されているので、画面が少々狭い。
これは、ソフトの欠点と言うより、スーパーファミコンのコントローラの特性なのだが、斜に入りにくいのが難点ではある。
そこで結論。
「傑作とはこういうゲームを言う、各社見習うべし」
1999-01-26