「危険化学物質を満載したトレーラーが暴走した!大惨事を防ぐため、トレーラーの行く手を阻む障害物を破壊し、地域の安全を守れ!」
パッケージにはそのようなストーリーの説明がある。
無茶クチャである。ゲームのために作った、物凄く強引な力技のストーリーである。はっきしいって、ゲーム自体の出来もやばいかも。
そんなことを思いつつゲームを始めたのだが、これが面白い面白い。
ゲームの基本は8体(+α)の機体をコントローラで自在にあやつり、暴走するトレーラーの前を塞ぐ様々な障害物を、どりゃどりゃっと排除していくことにある。
破壊のカタルシスを、これ以上無い程ストレートに表現し、スピーディーな展開に乗せてプレイヤーに届けたこのゲーム。
気分、良い良い。
時間制限を、トレーラーという判りやすいものに置き換えているのが、緊張感を高めることにも成功しているし、ゲームオーバーの判定も納得しやすくなっている。
実に馬鹿馬鹿しい設定だが、ゲームとしてはことごとく良い方向につながっているのは感嘆に値する。
トレーラーの進路を確保すると一応クリアとなるが、次に「マップ中の全ての建造物を破壊し、マップ上に散らばるRDUと言われるマーカーを全てONにする」ゲームが始まり、壊し残した建物を徹底的に破壊する事ができる。
ストレス溜まりがちな進路確保のミッションの後なだけに、プチプチとビニール保護シートの空気泡を潰していくような、えも言われぬ快感がある。
さらに、上記の二つのミッションとは別に、サブゲームが多く用意してあり、レースあり、ドットイートタイプ(パックマンタイプ)のゲームあり、「パイロットウイングス」のロケットベルトのシーンを彷佛とさせるゲームもあり、非常にバラエティーに富んでいる。
また、これらのゲームで、各機体の操作に慣れることができるように作られており、プレイヤーの学習をスムーズにする意味も大きい。
中盤から後半では、ただ破壊するだけでは無く、パズル性の高いマップも用意されており、プレイヤーを飽きさせない作りになっている。
ラジコン操作(アクセル系とハンドル系による操作で、鳥瞰視点)による操作方法が人を選ぶが、だんだんと上手くなっていくのを強く実感できていい。
慣れてくると、だんだん効率のいい壊し方や破壊のポイントが理解される。また、機体が幾つもあるので、各々の使いかたを理解するのがまた楽しい。
全体に操作は難しいのだが、操作感は良好で、もたつきや理解不能な動きも無いスムーズなものである。
メニュー操作やカメラワークに多少難点があるものの、欧米で作られたゲームにありがちなバランスの悪さを丁寧に潰してあるので、洋モノの雰囲気が好きだけどゲームも楽しみたい、という人に最適。
そこで結論。
「馬鹿馬鹿しい設定も、真剣にやればここまで光る傑作に」
1998-06-17