ぺーパーマリオRPG

対応機種・周辺機器
ゲームキューブ
ジャンル
アクションRPG
著作・制作
(c)任天堂 INTERLLIGENT SYSTEMS 2004

基本情報

 スーパーマリオの世界がRPGになった。
 クリボー、ノコノコ、テレサ、ボム兵、ヨッシー、クッパにピーチ、お馴染みの敵や仲間も勢揃いだ。

 SFC「スーパーマリオRPG」、N64「マリオストーリー」に続き、3作目となるマリオのRPG。
 メインであるアクションのスーパーマリオシリーズに比べて、地味に続いているシリーズだが、GCで発売された本作は、立場を引っくり返し、メインとなるほどのパワーを持っているか?

グラフィック

 飛び出す絵本を意識した背景は、同社の「ヨッシーストーリー」「マリオストーリー」の流れで、ページめくりや背景が破かれる等の、絵本を意識した演出もされていて、なかなか面白い。
 登場するキャラクタたちは、ぺらぺらかペーパークラフトのような作りで、いい具合のほのぼの感を与えている。

 単に絵本的な雰囲気を与えているだけでなく、主人公のマリオは、ぺらぺらなので、縦になったり、丸まったりして狭い隙間を抜けたり、紙飛行機になったりと、ゲームシステムとも融合している。

 基本的に2Dであるので、さほど派手なことはしてこないかと思いきや、余ったマシンパワーにものを言わせて、大量にキャラクタを動かしてみたりして、やる時はヤル。
 全体的にグラフィックレベルは高く、特に影絵のような森は美しく、一見の価値あり。

戦闘システム

 アクションRPGといっても、マップ上の敵と接触したら、戦闘シーンに切り替わり、コマンドを選択するとキャラが動き出し、ボタンを押したりスティックを動かしたりして、コマンドの効果を高める。
 とまぁ、コマンド選択RPGの文法を踏襲していながら、アクションを挟んでいる訳だが、正直まどろっこしい。

 プレイヤーキャラクタの行動がボタン一つで決定でき、それが反映されるのがアクションRPGの面白さの一つである訳だが、戦闘毎に切り替わっては隔靴掻痒。
 これが、スクウェア「ベイグラントストーリー」ほどに、移動と戦闘の隙間が小さければ良かったのだが。
 コマンド選択後のアクションも、ミニゲームとして見るとさほど面白くないため、無駄に種類が多いような印象だ。

 パッケージには、「誰でもオモシロ楽しくプレイできるのだ!」と書いてある。
 これを見ると、コマンド選択型RPGばかりやっている人にも、アクションの面白さを提供したいとの意図もあるように思える。
 そこで、コマンド選択を基本にして、アクションに失敗してもどうにかなるようなシステムを採用したのは、分からなくはない。
 その割に戦闘以外での、紙飛行機で飛ぶシーンや、後半のジャンプアクションが、他と比べて妙に難しかったりする…狙い所が分からん。アクションのマリオシリーズに比べると、簡単ではあるが。
「コマンド選択とアクションの組み合わせRPG」では無く、ハナから「簡単なアクションRPG」か「コマンド選択型RPG」を作れば良かったんじゃないか、という疑問は最後まで払拭できなかった。

じゃあだめなのか?

 ただ、戦闘がつまらないかと言えば、さにあらず。
 踏みつけとハンマーに大別された攻撃により、単純に「たたかう」を選べば良いだけではなく、敵の特性を判断して選択する必要がある。
 バッジというアイテムを付け替えることで、敵にあわせてキャラクタの能力をカスタマイズできるのもいい。
 また、連れている仲間を入れ替えることでも、有利にも不利にもなる。
 このあたりの戦闘のルール作りは、なかなか良くできている。

 それに、コマンド選択型の戦闘アニメーション中にプレイヤーが関与できると考えると、それなりに面白くもある。
 また、戦闘は舞台で行われるという設定にしてあり、アクションを成功させて観客を喜ばせると色々と特典があるので、単純ながらもやる気を維持させる工夫もある。

サイドビューの魅力

 このゲームは、全編ベルトスクロールタイプのサイドビューで作られている。背景はポリゴンで立体的に作られているが、なんと視点変更はできない。
 このことで、「とりあえず右に進めばいい」というスーパーマリオ流の分かりやすさが出ているし、ジャンプや高低差を利用した仕掛けも良く機能している。これは、戦闘シーンでもそうだ。
 賛否あるだろうが、視点変更できないために陰に隠れて見えないアイテムなんかもあり、探索欲を高めてくれる。

シナリオ

 セリフ回しに、「あたしテキに ヒット!!」みたいな今風なものが多く、ちょっとマリオらしくないなー、と言う気もしたが、わたしテキには好印象。つーか、クリスチーヌは良いね。
 駆け落ちする二人とか、恋するコンピュータとか、意外に恋愛ネタが多く、シナリオ全体に良い意味で若い印象を持った。

 話は、ステージで区切られていて、分かりやすくできているし、舞台も変化に富んでいて、飽きさせない工夫がされている。
 ステージ間にピーチ姫とクッパ大王を操作する幕間部分が存在して、息抜きとして機能していると同時に、話としても立体的な視点が作られている。
 ボリューム的にも、大きすぎないのも良い。メインクリア後も遊べるサブイベントが沢山用意されているので、物足りないと言うことも無い。

 ただ、マリオ的なお約束が、物語性の強いゲームでは妙に引っかかる。なんでフラワーポイントなんだ?とか、なんで土管でワープ?という基本的なところから、引っかかりを感じる。
 このへんが、マリオRPGシリーズ最大の問題点では無かろうか。この問題点には自覚があるようで、マリオの不思議を揶揄するようなセリフもある。

 なかなかツボをついたキャラクター配置やセリフもあり、前作のキャラクターがなにげにいたりとか、ファンサービスの良さも感じる。
 ただ、下手するとファンが作ったゲームに堕してしまう危うさも感じた。
 マリオの世界を壊して、新しく作り直しちゃう位の勢いが欲しいところだ。もっと欲を出していい作品だと思う。
 この際、主人公がマリオじゃなけりゃいいのに。

その他

 とりあえず、仲間のクリスチーヌやフランクリ先生に訊けば、色々教えてくれるし、メールでの指示もあり、迷うことはほとんどない。
 さらに、占い師に訊けば、大抵の謎は解決するし、シャインやほしのかけらの場所も教えてくれる。
 ちょっとぬるま湯すぎる気もするが、狙い所はマニアックな層ではないだろうから、間違いではないだろう。

 セリフは、フキダシで表示されて分かりやすい。特に小さなフキダシで、メインでない人物が喋るという使い方は面白かった。
 演技の面からすると!マークのフキダシに頼りすぎな感もあるが、イベントシーンでは通常は使われないカメラワークも駆使し、なかなかのデキ。

 料理は、要するにアイテム合成なのだが、材料から完成品があまり想像できないとか、失敗が多すぎるとか、合成の演出が長くて面倒だとか、色々問題もあって今イチやる気が起きない。ゲームのメインに据える気がないのなら、無い方が良かったろう。

 インタフェースについては、おおむね良好なのだが、サークル状に回転して選択するものが多いのは勘弁してほしい。
 このインタフェースは、入力方向と回転方向が、コンピュータゲーム業界で統一が全く図られていないものなので、右か左か迷ってしまうからだ。

 そこで結論。

「色々注目すべき点はある、いつか化けるかも」


2005-05-02