グラフィックや音楽は今一つで「なんかコレつまらないんちゃう?」といった感じを受けるが、このゲームの本質はそんな表層にある物ではない。
とにかく、シナリオや台詞回しが秀逸で、ツボをグイッと押さえている。
また、システムのベーシックな部分はもちろん、今回の新しい要素である「トランスファーシステム」は100人以上のキャラクターに乗り移れると言う「破綻必至」のシステムが、驚くべきことに、きちんとまとまっていて、しかも非常に面白い。
順主人公のプラトンは子持ちの愛妻家というファミコンRPGにあるまじき設定で、相変わらずシナリオが渋い。
イベントも切なく、本気で「人間ってなんだろう」などと考えに耽ってしまう。
このゲームは魔王を倒す事が目的では無く、アイデンティティの探索が目的となっている、実にギリシャ神話ベースに相応しい哲学的目的と言えよう。
RPG嫌いの人や、ある程度上の年齢の人にぜひ遊んで欲しい。
ちなみに、ゲームのタイトルであるヘラクレスは最初こそ主人公だったものの、シリーズが進む毎に脇役度が高まり、このIVにいたってはちょっと印象的なバイプレイヤーというだけの人物(半神)になっている。
ゲームそのものもアニメーションのテンポも良くサクサク遊べるし、クリア後の遊びも充実していて、とても遊べるゲームに仕上がっている。
そこで結論。
「FFとドラクエだけが名作RPGじゃないぞ」
1998-08-01