アクションRPGのファルコムが送る、本格派ファンタジーダンジョンRPG。
30×30のフロアが全部で45面の広大なマップ、リアルタイム進行で緊張感も抜群。
パソコンの人気作を、シミュレーションの光栄が高い技術力を駆使してSFCに移植。美しいビジュアルシーンの再現もバッチリ。
オリジナルは、フルマウスオペレーションによるアクションゲームという、特異な形態をとっていたが、スーパーファミコン版は、当然パッド操作である。
とはいえ、アイテムの選択以外は、マウスよりパッドの方が遊び易いと思うのは、私だけだろうか。どうもオリジナルはマウスオペレーションそのものがウリになっていた所があって、マウス操作の方が良いかどうかは二の次であった雰囲気がある。
アイテム切替中までリアルタイムで進行するし、アイテムを捨てるとマップ上にず残るし、フルマウス操作である、これらから強く「ダンジョンマスター」(MSXにアスキーが出したやつじゃ無い3Dの方、って断るとよけい混乱させるような気がする(笑))を意識していることが伺える。
「ダンジョンマスター」は3Dの一人称視点だが、本作はトップビューであり、上手く日本向けにアレンジしている(そういう意味ではMSXの「ダンジョンマスター」に近い)
このゲーム、剣を使える回数が決まっていて、それを超えると剣が壊れてしまう。ファルコムは「ザナドゥ」の食料といい、ただめんどくさいだけのシステムを導入したがるのは、どうにかしてほしい。
その割に、リアルタイム進行なので、敵に襲われる危険はあるものの、HPは休めば回復するし、MPにいたっては、止まっているだけで回復する。
90度回転+4方向移動でキャラクターを動かすのだが、一瞬にして回転するので、方向を見失う。画面が回転する前に、キャラクターが回転する動きを入れれば、少しは解り易くなるだろう。画面上のコンパスも少々見難い。
オートマッピングなのだが、マップを確認した時に自分の位置は解っても向いている方向が解らないので、今一つ解り易さに欠ける。
多くの操作が、いったん停止してからでないと操作を受け付けてくれないとか、ボタンの割り当ての一貫性や整理に少し欠けるなど、操作性が悪い。
このあたりの詰めの甘さが、ゲームを不必要に難しくしている。
ゲームは全編ひたすらに地下をさまよう、なんともシブいもので、街も存在せず、ちょっと単調。
マニュアルに12ページに渡って書かれているストーリーは、実のところゲーム中にはほとんど関係せず、ストーリーらしいストーリーは無い。
時々挿入されるイベントでの、ビキニの女魔法使いドーラのボケが、殺伐としたゲームに一息つかせてくれる程度か。
住人は基本的に店の主人だけなのだが、これが全部違うキャラクターを用意してあるのが、なかなか凝っている。これだけで、ROMの容量1/4ぐらい使ってそうだ(笑)
12MのROM使用で、お値段の方も10800円(税別)となかなか張っている。
敵のレベルは勿論、謎や仕掛けを含めて、難易度が後半かなりきつくなるので、挫折する人が多そうである。ちょっとバランス調整に失敗している。
各エリアのボスは、無闇と体力があり、こまめにセーブしつつの長期戦になる。このへんのバランスも、かなり好き嫌いが別れそうだ。
グラフィックや仕掛け等、アクションRPGの老舗だけあって、良くできているし、アイテムやマップも質量ともに充実している。
基本的なところで外さないのは、流石はファルコムといったところか。
光栄のプログラムやCGのレベルも高い。
そこで結論。
「面白いが、まだ実験作の段階」
1999-04-10