「ゼビウス」を始めとして、名作中の名作の名を欲しいままにする作品を多く送りだした、ゲームクリエーターの中のゲームクリエーター遠藤 雅伸氏率いるGAME STUDIOが「ファイブスターストーリーズ」の永野 護氏と組んで送るファンタスティックアドベンチャー。
大抵この手の「企画モノ」はしょうがないものに仕上がるものだが、このゲームの場合も御多分に漏れない仕上がりと言っていいかもしれない。
永野氏の描くキャラは意外にポリゴンとマッチし、ポリゴン化による違和感は少ない。
強制イベントがふんだんにあり、次の一歩が実に分かりやすく(バカにするなってぐらい)マップ上に表されているので、迷うことなく一本道をぐいぐい進んでいける。
これはレベルアップ間隔が短いのにともない、ゲームのテンポを良くしている。
ただ、イベントシーンは通常のマップ上で表現されるものと、通常マップっぽくクオータービューで描かれた背景にキャラクターグラフィック、もしくは横から見た背景+キャラクターのグラフィックで表現されるもの、そしてシネパックによるムービーによるもの、といういくつものパターンがあり、ゲーム全体での統一感ががたがたに崩れている。
イベントの方式をせめて二つに絞り込むべきで、その上で全体のクオリティレベルを同じぐらいに上げる(もしくは、クオリティをそろえるためにあえて落とす)必要があった。
永野氏は、自作のキャラクターが「明らかにバーチャファイターの技」を使っていたりして、すっかりゲームにハマっているようだが、コンピュータのセンスはあんまり無いようだ、仮にも美術監督なのだから、名前貸しただけにしても、もう少しどうにかできたと思うのだが。
また、何でも声優さえ持ってくればいいとは考えていないが、このゲームのシステムで、キャラクターの台詞がテキスト表示のみなのは納得いかない。
インタフェースは非常にシンプルなできで、好感がもてる。
そのお陰で、肥大化しがちなマニュアルがごく薄くでき上がっている(余談だが、マニュアルの表にある「キリトリ線」は思いっきり謎だ)
また、装備を次々と持ち替えていくのではなく、同じ装備を鍛冶屋でひたすら鍛えていくというシステムも余計なことを考えなくていいので解りやすく、成功している。
マップはポリゴンで構成されていて、割といい感じだが、移動方法がよろしくない。
所謂ダンジョンでは、移動が「回転+前進」方式なのだが、45度単位でしか回転できないのでストレスがたまる。
ダンジョン内でも「4方向移動」方式にするべきだった。
こういうところでも、統一感の無さを露呈している。
オプションでいくつかのモードが選べるようになっているが、コントローラ表示ON、バトルメッセージON、バトルカメラONの状態でないと、インタフェースや画面構成がきちんと成立していない。
戦闘中にコマンド入力によって必殺技と言えるものが出せるが、どうも「ちょっと付けてみました」感がぬぐえない。
HPを消費するなどの制限がなく、使いたい放題使えるので、いちばん強い技を常に使っていればいい、と言うことになってなんらゲーム性の向上につながっていないのだ。
うまく使えば、かなり面白くできるであろうシステムであるだけに、非常にもったいない。
また、戦闘時のキャラの動きがちぐはぐで、テンポを崩している。
一応いっておくと、ストーリーはたいしたことはないし、台詞も今一つ適切でないものが多く、テキスト部分のデキはあまり良くないと言える。
そこで結論。
「さくさく進むのは気持ちいいが、統一感の無い凡作」
1997-08-06 1997-11-20