Wiiリモコンレビュー アタッチメント編

 今回はWiiリモコンの使い方の中でも特にアタッチメントが発売されているものについて取り上げる。

ジャイロゼッターはギリWiiに出る可能性もあったのにな…

はじめに

 Wiiリモコンは汎用性が高く、以前は周辺機器として別のハードだったものが、少し使い方を工夫すれば実現できるようになった。
 さらにアタッチメントによって形を少し変えるだけで、ほぼ同じ使用感にまでなる。
 電気・電子的(エレクトロニクス)な仕掛けがなくても、遊びの幅を広げられる仕組みが作れるわけで、コスト的にも遊びやすさ壊れにくさ的にも非常に優れている。
 この部分こそWiiリモコンの真価が発揮される分野といっても過言ではない(本当に過言ではないと思う)

 ただ前々回に書いた通り、Wiiリモコンミサイル問題があり、サードパーティー製のアタッチメントは出鼻をくじかれてしまった。
 一応くっつけて雰囲気を出す、ゴルフクラブやラケットのようなアタッチメントは出たものの、期待したほどの広がりを見せなかったのは残念。
 とはいえ、任天堂を中心にアタッチメントが発売されはしたので、対応ゲームの紹介をしつつ見ていこう。

レースゲーム

 レース・ドライブゲームは、常に一定の人気のあるジャンルだ。
 他のジャンルから隔絶しているところもあって、ゲーム機を買って車の運転しかしない人種もわりといる。
 そういう意味では、マリオカートは任天堂のゲーム機持ってるなら誰でもプレイするような、レースよりむしろパーティーゲームに近い、特異な位置にいるゲームである。

ハンドルコントローラとは

 ハンドルコントローラはステアリングコントローラとかレーシングコントローラとかも呼ばれる。
 要するに車の運転に特化した、ハンドル型のコントローラだ。
 何気に人気で、多くの機種でオフィシャル・サードパーティー製の機器が発売されている。

 ただ、とにかくかさばることや、安定しなかったり角度調整が難しかったり、精度が良くなかったり、操作感が悪かったり、見た目がちゃちだったり、とにかく満足な一品がなかなか出ない機器の代表でもあった。
 それに高い! 本体もう一台買えるみたいなのも珍しくなくて、それで上述のようにいまいち納得できないものを手にするのだから、プレイヤー達の憤りはいかばかりか。

参考: ステアリングコントローラ - Wikipedia

なぜハンドルコントローラが必要なのか

 デジタル入力で運転する場合、細かい方向調整をするのに方向キーを連打したりするのだが、なかなか思ったようにコントロールするのは難しい。
 まず雰囲気としてよりも正確な入力を行うためにアナログの入力が可能なハンドルコントローラは必要だった。
 アクセルとブレーキに関してもアナログ入力は運転では重要なのだが、ことゲームでは「最速」を目指すためベタ踏みのみ(デジタル入力)でもさほど問題ない。
 そのためボタンのアナログ入力ができるコントローラが標準のゲーム機ですらデジタル入力になりがち。

 そういえばバランスWiiボードをブレーキ・アクセルに使う運転ゲーム出なかった気がする…十分な精度はある気がするんだが、なんでだ?
 斜めにペダルを配置するアイディアが、結局なかったのか。
 なかったとしても「とりあえずやってみました」的に、下に踏みつける方式だろうがとにかく対応するゲームもありそうなんだが。

小型ハンドルコントローラの歴史

 アナログ入力できるなら、まずファミコン(など)のタイトーアルカノイドについてくるパドルコントローラが候補に上がりそうだが、寡聞にして対応しているレースゲームは聞かない。

 プレイステーション時代にはナムコリッジレーサーシリーズなどに対応したネジコンが出た。
 パッドの中央が回転して、雑巾を絞るようにひねって操作できるという、後にも先にもこれだけという特異なコントローラである。
 ハンドルコントローラのかさばるという難点を解消しつつ、アナログ回転コントロールを可能にした。
 正直使いやすいかというと「うーん」というようなところはあるが、何しろまだアナログスティックがない頃のアナログ入力装置である、デジタル入力に比べると断然操作感はいいと言って良かった。

 ソフトがアナログ入力に対応しているなら、他社からもアナログコントローラが出る。
 ラジコンのプロポのようなホイールコントロールタイプのHORIゼロテックが現れた。
 これは傑作でアナログコントロールがしっかりできたし、プロポとして使われている実績のある形で操作感もいい、加えて格好良かった。

 ネジコンはレース以外での使用も視野に入れていて、実はスマッシュコートなんかでも使え、思いの外快適だったりするのだが、レースゲーム専用と考えるとひねりとハンドル操作の一体感に欠ける嫌いがあった。
 そこでまたナムコはゲームパッドの中央にアナログホイールを設置したジョグコンを発売している。これは…使ったことないので何ともいえないが、何種類か出ているので割と好評なんではないかな(情報が弱い)

 その後、NINTENDO64で3Dスティックが採用され、相次いで他の機種でもアナログスティックが採用される。
 これによりアナログ入力という部分は標準コントローラで担保されるようになり、パッド型のレーシングコントローラの需要は、ほぼなくなった。

 蛇足かもしれないが…パッドの中央に設置して、回すと歯車と連動してアナログスティックを傾けるアタッチメントは出ていて、全く需要がなくなったとはいえない。

大型ハンドルコントローラ

 アーケードのレースゲーム(予算をかけてもいい場合)は、どれもハンドルを使っている。
 レバー操作はビデオシステムF-1 GRAND PRIX(名作です)がなければ、存在しないと言い切ってしまっていいぐらいない。あと他にもADKスラッシュラリーオーバートップとか…ハンドル使わないレースゲーム、名作多いな!!「金かけないタイプのアーケードゲーム」ではあるけどっ!(色々知ってると論拠が弱くなる(笑))
 まーとにかく、人間は車を運転したいのではなくハンドルを回したいのではないか、と思うほどゲーセン=ハンドルなのだ。

 また、手持ちの小型タイプだけでなく、机の上に置いて使う大型の周辺機器も連綿と発売されておいる。
 高価なものにはフォースフィードバック(車の挙動や路面状況に合わせてハンドルを回すときに必要な力が変わる)機能付きのものもあり、ハンドルコントローラの市場は狭いながらも続いていた。
 マイクロソフトの操縦桿型の名機サイドワインダーシリーズの流れをくむXbox360 ワイヤレス レーシング ホイールなどが代表的なものだ。

 ともかくハンドルによる操作の雰囲気づくりは、運転ゲームでは極めて重要な要素だ。

Wiiハンドル

 そこで登場したWiiの場合、Wiiリモコンを持って回すだけで、ハンドルっぽい操作感が得られる。
 それにフォースフィードバックまではないにしても、標準で振動機能もついてる!!
 レースゲームが大量に出ちゃうし、レースでなくてもゲーム中に車を運転するシーンがあったら、すぐハンドル握れちゃう!!
 夢が膨らみますね!

 Wiiリモコンは夢のコントローラではあるが、棒を持ってハンドルと思えというのも少々キツイ。
 それを補完するアイテムとしてWiiハンドルが発売された。

単なる輪っかだが、こうかはばつぐんだ!

 このWiiハンドルは特に電子的な仕掛けはなく、丸いハンドルの形をしているだけのハリボテだ。
 とはいえ軸に固定されていないため従来のハンドルコントローラよりも自然な姿勢で遊べ、車を運転している雰囲気も上々。
 ハンドルが固定されてないので「思わず体を傾けてしまった」場合の挙動も拾え、より一体感のある操作が実現できている。ラリーラリー♪

 Wiiリモコンを縦にはめると予想していたのが外れた以外は、ほぼ予想通りの製品が出てきた。
 ちなみに縦だと予想したのは、そのままポインタ操作ができるし🄱ボタンも押しやすいと思ったから。

 実際はハンドル中央に横向きにはめるため、Wiiリモコンのボタンが左右の手で自然に全部押せる。
 また背面には🄱ボタンを自然に押すための可動部品がついているので、背面もしっかり活用されている。
 さらには赤外線受光部が隠れないような加工がしてあり、ハンドルをはめた状態でポインタ操作が可能なのも気が利いている。
 ハンドルを持ち替えねばいけないし持ちにくいので、ポインタの操作感は極めて悪いが、とにかくできる。
 流石にはめたままで電池交換まではできないが、背面には取り出しやすいように穴が空いており、そこから(後期型Wiiリモコンなら)[SYNC.]ボタンを押せるようになっている。

 アナログスティックに比べると角度を安定させるのが難しく、精度としても回転角の解像度が荒く、若干の操作の遅れも感じる。
 操作の遅れは車の挙動としてはリアルに感じなくもないが、タイムアタックなどを考えると第一選択肢に来るコントローラではなかったのも確か。

 🄱ボタンがパドルシフト(バタフライシフト)っぽく押せるのだが、左側にしかないのでパドルシフトとしては使えないのがなんとも歯がゆい。
 パドルシフトは多くのハンドルコントローラについてるんで、しょせん京都の花札屋のおもちゃ、みたいな空気が出ちゃう。
 頑張って裏から⊕ボタン押せるような仕掛け作れなかったかなぁ…一部下面コネクタから電子的な接続してでも右バタフライつけられなかったものか。
 ちみなに、Xbox エリートコントローラの裏側にはパドルがついていて、PS4のコントローラにもパドルが追加できるアタッチメントが出ている。
 ややこしいが、アルカノイドのコントローラのパドルは円柱状の入力装置を回転させて入力するものであり、このコントローラの裏側についているパドルは板状の入力装置でボタンの一種、全然違うものだ。

 Wiiリモコンプラスのジャイロの恩恵を最も受けるのがハンドル操作だと思うのだが、Wii U用のマリオカート8 しか対応ソフトはなかったと思う。
 このへんでもWiiリモコンプラスの登場タイミングは辛い感じだ。

 ちなみにWiiハンドルが出るより1年以上前のソフトである、エム・ティー・オーGT pro seriesにもハンドルが同梱されているそうだが、使ったことはもちろん見たこともない。
 ハンドルアタッチメントは、すぐ出ると思っていたのにと意外と遅かったのだ。

 SwitchのJoy-con用では本体発売からあまり間を空けずハンドルアタッチメントが発売されており、Wiiハンドルが好評であったことが分かる。
 Switchのニンテンドーラボドライブキットにもハンドルはあって、Switchのマリオカート8 デラックスを遊ぶこともできる。
 …最初からダンボールでWiiハンドルを作るという手も、あったのかもしれない。

 他の機種用だがXbox360 ワイヤレス スピード ホイールというWiiハンドルっぽい製品も出ていて、このタイプの入力装置は一定の市場を得たと言って良いかと思う。
 ジャイロ内蔵のゲームパッドは、そもそもWiiリモコンと同様に傾けて使える。

Wiiでの展開

 Wiiリモコンを横向きにしてハンドルとして捉える使い方は、同時発売のエレクトロニック・アーツニード・フォー・スピード カーボンが最初になる。
 ゲームキューブ(他)とのマルチプラットフォーム展開のゲームでWii用にデザインされているわけではないが、逆にそういうゲームでも十分操作の入れ替えが可能であることを示した。

 その後、任天堂が出したエキサイト トラックはWiiリモコンの傾き操作以外の操作に対応していないという仕様で、全く受け入れられなかった記憶がある。
 次に出したレースゲームマリオカートWiiでやっと、Wiiハンドルが発売された。

参考: 社長が訊く『マリオカートWii』

 他にいくつかレースゲームは登場したものの、残念ながらさほど話題にはならなかった。
 レースゲームはゲーム的面白さよりリアルな挙動と映像が求められる傾向が強いので、Wiiにはあまり向いてなかったと言えるしF-ZEROの新作出せよ! とも言える。

 Wiiハンドルがレース以外の使い方をされている、例えばタンバリンとして使えて「キュアサンシャインと一緒に演奏!」 みたいなのはなかったようだ。
 またただでさえ厚みのあるWiiリモコンがさらに厚くなるため、Wiiリモコンの横向きの持ちにくさが解消するという製品でもなかった。

 WiiハンドルはWiiリモコンの拡張性を示す、いい商品ではあるのだが、実質マリオカートWii専用のアタッチメントのままWiiの時代は終わってしまった。

 バイクのアクセルとして横に持ち手前にひねる使い方はWii Sports Resort のマリンバイクで使われ、Switchのニンテンドーラボにも登場した。
 が、他にあったっけ?
 バンダイナムコが仮面ライダーのゲームに搭載すべきギミックだと思うんだが。

 また、ゲームの中で車移動になって横向き(ハンドル)に持ち替える、みたいな使い方をしていたゲームは、ちょっと思い当たらない。
 グランド・セフト・オートが出てたら、そういう操作体系になってたような気もする。

ガンアクション

 ゲームで武器といえば剣と銃は双璧だ。

 SwitchのJoy-conはWiiリモコンの上位互換という感じに書いてきたが、実は画面のポイント機能はない。
 もしかしたらカメラを活用することでできなくもないのかもしれないけど、少なくとも標準装備されている機能ではない。
 代用としてアナログスティックとタッチパネル、ジャイロがあるという判断だと思う。
 確かに代用は可能なのだが、画面を狙って撃つのと、アナログスティックでマーカーを操作して撃つ、あるいはタッチパネルをタッチして撃つのでは、雰囲気に天地の差があるのも確かだ。
 スプラトゥーンで採用されたコントローラの傾き(ジャイロセンサ)でマーカーを動かして撃つ操作法は、かなりWiiのポインタと近い操作感だが、画面に対する向きとは関係なく手元の傾きを取っているので多少違和感はある。
 なおSwitchに標準銃型アタッチメントは出ていない。サードパーティー製はある。

 Wiiのポインタは前に説明した通り赤外線を受光する方式で、従来のブラウン管の走査線を見る方式(ライトガン)に比べると精度が良くないものの、液晶やプロジェクターなどどの映像出力方式でも利用可能なのが利点だ。

ガンコントローラの歴史

 任天堂は光線銃という玩具を売ったり。
 ボーリング場を改造したレーザークレー射撃場を運営し(て破産しそうな危機に陥っ)たり。
 ワイルドガンマンという射撃アーケードゲームを作ったり。
 NES(海外版ファミリーコンピュータ)にはNES Zapperを同梱し、日本のファミリーコンピュータでも光線銃シリーズの展開を行なった。
 電子射撃ゲームの初期の立役者であり、なにかと銃にこだわりを見せた会社である。

参考: 光線銃シリーズ - Wikipedia

 ガンシューティングはアメリカでは常に人気で、日本では家庭用ではそれほどではないがゲームセンター(アーケード)ではどの店でも常に1台は稼働している感じの、いわばゲームセンターの顔的な筐体であった。
 そのためアーケードゲーム事業を行なっているセガ・ナムコ・コナミは、それぞれ家庭用ガンコントローラも出している。

参考: ライトガン - Wikipedia

 セガはセガ・マスターシステムでもメガドライブでもガンコントローラを出している。
 ちなみにコナミもメガドライブ用にリーサルエンフォーサーズ同梱のリボルバー拳銃型ガンコントローラを出している。
 個人的にセガ以外を含めても一番好きなガンコントローラはサターン用のバーチャガンだ。
 おもちゃの銃は本物の銃と誤認されないようにファンシーな見た目になりがちだが、バーチャガンはゲーム内から取り出したような黒い外観で「え!? 業界の決まり無視しちゃうの?」と嬉しくなった(笑)ものだ。
 できればセガの銃型玩具であるジリオンタイプのも欲しかったが…そこは求めすぎか。
 プレイステーション用に、ナムコが出したガンコンシリーズやコナミハイパーブラスターも黒くてなかなか格好良いが同じPS用なのに互換性がない、なんでや!!
 このサターン・プレイステーション時代がどうも、家庭用にガンシューが最もリリースされた時期のようだ。

 ドリームキャストガンはグリップの上、撃鉄部分に十字キーを持つもので、ガンコントローラだけではやりづらいメニュー操作などに威力を発揮していた。
 後ろからビジュアルメモリが装着できて、弾倉(マガジン)みたいな雰囲気になる。
 さらに上面にビジュアルメモリの画面が出て残弾数なども表示でき、理想のガンコンに近かった。
 スロットがひとつなのでぷるぷるぱっくを入れるとビジュアルメモリが入れられなくなるというのは弱ってしまうが。

 意外だがアメリカで人気のXboxシリーズは、公式のガンコントローラは出てない。サードパーティー製のものはやたら凝ったものが出ているが。
 PlayStation VR用のシューティングコントローラはVRで見えないとはいえ、ピンクのピンポンみたいなのが銃の先についた白い輪っかで、非常に格好悪い。

 このころ任天堂が何やってたかというと、スーパーファミコン用にスーパースコープを出した。
 ガンコントローラはケーブルで本体と接続しているのが普通だったが、スーパースコープは単3電池6本を消費して、テレビの方に設置した赤外線受光機へテレビなどの家電と同じリモコン方式でボタンを押した信号を渡し、テレビの走査線を光センサでキャッチし、キャッチできたことをまた赤外線で渡す…まわりくどい!!! ワイアレスにこだわるより、素直にケーブルで繋いで欲しい。
 グリップの前にトリガがなくて後ろにボタンついてるし、射撃は上面のFIREボタンを押すバズーカ風の方式だし、でかくてかさばるし、ユーザ目線だと「売れるわけないだろ」って感じで、あれはほんと謎プロダクトだった。
 ゲームショップで天井近くに押し込まれる邪魔周辺機器の代表、みたいな感じになっていたのを覚えている人もいるだろう。
 以後、NINTENDO64で007ゴールデンアイ、ゲームキューブではメトロイドプライムといったFPSの名作を輩出したにもかかわらず、ガンコントローラは沈黙してしまった。

 ちなみにSwitchのニンテンドーラボバズーカToy-Conがあるが、これはスコープを覗くと中にディスプレイがあるというVRの一種で、かなり方向性の異なる玩具だ。

Wiiザッパー

 アメリカではガンコントローラが人気なので銃アタッチメントが本体に同梱されるんじゃないか、と思っていた。
 結局Wiiにザッパーは同梱されてはいなかったが、周辺機器としてはちゃんと登場した。
 にセガゴースト・スカッドに同梱されて登場。
 …Wiiの発表会には試作品が登場してた気がするのに、本体から一年近く遅れた上に任天堂のソフトと同時じゃないのもびっくりだ。

 Wiiザッパーは🄱ボタンを引き金(トリガ)風の押し方に変える仕掛けがついているものの、電子機器ではないガワだけの製品だ。
 銃身部分にWiiリモコンを、後方のグリップにヌンチャクをはめ、コードは巻いてWiiザッパー内にしまう。
 Wiiリモコンは下にある四角いふたつの穴に爪をかけてしっかりホールドする。
 この爪用の穴でも、各種アタッチメントは後付けで作られたものではなく、最初から計画されていたことがわかる。
 ヌンチャクの着脱は簡単ではないので、はめっぱなしになりがち。
 多少割高でもヌンチャク内蔵型の方が良かったかもしれない。
 ヌンチャクのアナログスティックとボタンが使えるのは嬉しい。
 これでトリガが前後2箇所についてマシンガンとグレネードを撃ち分ける、なんてことができる。

コードは中に収納できてスッキリ

 で、思うわけですよ。輪っかになって指を入れる箇所があり、モーションセンサーがあり、ワイヤレス。
 ぎゃーーっ!! ウィンチェスターレバーアクションライフルなんかでおなじみの回転弾込め(スピンコック・リロード)ができちゃうじゃん!!
 …そんな酔狂なゲームは出ませんでしたね。失敗するとWiiザッパー落としちゃうし、Wiiリモコンが外れて飛んでいっちゃいかねないもんね。
 とはいえ、アナログスティックを倒して撃鉄を起こすアクションがあるゲームぐらい出て良かったんじゃないでしょうか。私が知らないだけで出てる?

 せっかく上面にボタンあるんだから、スライドアクションでボタン押せるようにもして欲しかった。
 他にもマガジン切り替えアクションができると楽しかったと思うが、そういう遊びはなかった。
 このへん、玩具的な面白さには欠ける。
 上面にボタンがあるのでスーパースコープ用のゲームも同じ感覚で遊べるはずなんだけど、ヨッシーのロードハンティング出ませんでしたね。なんでですかね。

 両手持ちができるようになりWiiリモコン単体に比べると射撃の精度はそれなりに上がる。
 ただしっかり固定できて狙いやすくなることは、Wiiリモコンの振って操作するという機能を使えなくすることでもあり、なかなか痛し痒し。
 ストックやサイト(スコープ)があるとなお良かった。スーパースコープにはついてたのにさっ!

 バランスもまずまずで片手持ちもでき、ヌンチャクと両手持ちもできる。
 やはりトリガを引けるのは雰囲気が段違いに良い。
 ちなみに他社から拳銃型のアタッチメントも出ている。

参考: 社長が訊く『リンクのボウガントレーニング+Wiiザッパー』

ガンシュー

 セガ・ナムコ・コナミはガンシューの名作をたくさん持っているので、追加機器の購入の必要がないWiiには大量のアーケード移植タイトルや新作の投入が(私から)期待されたが、蓋を開けてみると、セガがザ・ハウス・オブ・ザ・デッド 2&3 リターンゴースト・スカッドザ ハウス オブ ザ デッド: オーバーキル(これはアーケード移植ではない)を出したぐらい。
 あと、Wiiウェアやバーチャルコンソールで、ナムコソルバルウとかダックハントなどが対応している。
 まさかナムコ・コナミが、ガンコントローラ不要(事実上本体付属)のゲーム機に、移植もほぼなく、新作ガンシューに至ってはひとつも出さないとは!!
 なおカプコンがバイオハザード アンブレラ・クロニクルズバイオハザード ダークサイド・クロニクルズを投入して来たが、正直カプコンのガンシューはイマイチパッとしないんだよなぁ。そこそこ面白いけど。
 あとエレクトロニック・アーツデッドスペース エクストラクション(TPSではないのだ)がある。

 そして本家任天堂がリンクのボウガントレーニングというミニゲームみたいなタイトルを投入してきた…内容はいわばWiiザッパー用のはじめてのWiiなのでこじんまりとしている。
 ただ、にしては登場時期が完全に後手で、上記のタイトルが大半でてる状態で登場し、なんだか肩透かしを食らった記憶がある。

FPS・TPS

 ガンシューティング以外では、メトロイドプライム3 コラプションのように、ヌンチャクで移動・リモコンで射撃というFPSがある。
 任天堂としても手応えを感じたようで3に準じた操作の1と2の移植版を「Wiiであそぶ」シリーズの一つとして発売している。
 もしかしたらWiiの主流商品になるのではないかと思ったが、ぜんぜんだった。快適操作なのに…。

  他社製品では、カプコンバイオハザード4、エレクトロニック・アーツ メダル・オブ・オナー ヒーローズ2、スクウェアエニックス007 慰めの報酬あたり。
 UBIレッドスティールは銃がメインだけど刀も使える、逆のタイプでトワプリは剣がメインだけど弓も使える。
 あと星を射出するスーパーマリオギャラクシーが、このタイプと言えないこともない(言えない)

 FPS・TPSはWiiザッパーで遊ぶにしてもヌンチャクとの両手持ちでないと遊びづらく、当然Wiiリモコン側は片手持ちでは安定せず、Wiiザッパーは今一つ活躍できなかった。

その他

 任天堂/トレジャー罪と罰 〜宇宙の後継者〜はSNKNAM-1975からの流れにある、レバーでキャラを動かしながら照準を動かして敵を倒すTPSとガンシューティングの中間ぐらいのゲームだ。
 NINTENDO64で出たゲームの続編で、これは非常にWiiと親和性が高い。
 このタイプのゲームがたくさん出ると思いきや…他にあったっけ? みたいな結果となった。

 ちなみに、Wii Sports Resortにはヌンチャクを前にWiiリモコンを後ろに引いて弓矢を射るゲームが入っている。どちらかというとリンクはこれやって、宮本さんはリンクしかないだろうととか言ってるけど、Wiiザッパーは素直にサムスかフォックスに持たせるべきだったのではなかろうか。

流行とのズレ

 予想通りにガンアクションとWiiリモコンの相性は良く、これまでの機種に比べたら多くの(十字キーやアナログスティックで照準を動かすタイプでない)ゲームが出たが、期待したよりは少なかった。
 PCを中心に商品展開されるFPSには高いグラフィック能力とマシンパワーが必要なこと、そもそもWiiでは顧客のターゲット層が異なること。
 またWiiリモコン+ヌンチャクではボタン数が不足してしまうこともあり、Wiiはマルチプラットフォームの対象から外されてしまったのだろう。
 個人的感覚としては「お前らむやみにボタン使いすぎ!」という感じだが、それも世の流れ、致し方ない。
 逆にWiiの能力で十分再現可能な古いアーケードガンシューがそれほど移植されなかったのは意外だし残念だった。

 ガンコントローラとしての性能は、若干の遅延とターゲッティング精度の甘さを感じるが、アナログスティックによる移動と比べると段違いに使いやすい。
 もちろんストックを自作するとか、三脚上に固定するとか、そんな工夫をすれば精度は上がるが…そのへんはまぁ好きな人だけやってください(笑)

釣り

 最後に、釣りゲーム(釣竿)について取り上げよう。
 釣りで竿を振り魚を釣り上げるアクションが、Wiiリモコンがあれば専用のコントローラなしで楽しめるのである。
 釣りゲー戦国時代来たな! と誰しも思っただろう。思ったよね?

釣りゲーのコントローラ

 釣りゲームは、古くはLSIゲームとしてバンダイパワーフィッシング から、タカラトミーバーチャルマスターズシリーズなどの電子玩具、TVに繋げるテレガングではエポックブラックバス釣ろうぜ エキサイトフィッシングなどが存在している。

 ゲーム機用の専用コントローラとしても、アスキーつりコン、セガ釣りコン、ナムコさおコンなど各社から発売されている。

 また釣りはゲームセンターでも定番のゲームで、縁日の風船釣りに近いものからトローリングの引きの強さを楽しむ大掛かりなものまでバラエティに富んでいる。

Wiiでの展開

 さてWiiだ!
 ハドソンからはめざせ!! 釣りマスターめざせ!! 釣りマスター -世界にチャレンジ編-が出た。
 バンダイナムコ(プロぺ)ファミリーフィッシングはアタッチメントタイプのさおコンを用意する。
 川の主釣りの流れを汲むマーベラスフィッシュアイズWii(海外ではReel Fishing)は、Wiiウェアのフィッシュアイズ チャレンジとしてもリリースされている。
 海外のメーカーでは、アクティビジョンからはRapala Fishing Frenzy、Eagl3Hooked Againは凝ったアタッチメントの本格派。
 アウトドアショップのバスプロショップが出したBass Pro Shops The STRIKE (日本未発売)など、コントローラがさらに本格的でもはや本物以上にカッコいい。

 ドリームキャストに釣りコンを投入したり、アーケードにゲットバスを投入したセガが満を持してウチ釣りッ! バスフィッシングを発売…したけど、それほど話題にならず。

 あと、なぜかアークシステムワークスがバス釣りものを2本だしているのと、ディースリーからシンプルシリーズの釣りが出てる。
 ちょっと釣りゲームが多すぎじゃないかという気がするぐらいだが、それだけWiiリモコンと相性が良いということだろう。
 あとたぶん、ゲーム会社の上の方に釣り好きが多くて企画が通りやすい。

ミニゲームへの収録

 ゼルダの伝説では定番のミニゲームで、トワプリにも釣りが入っているが「呆れるほどやりづらい」もともとゲームキューブ用に開発したものを突貫でWii用に作り変えたにしても少々ひどい。
 この辺からも任天堂が完全にWiiリモコンを使いこなしていたわけではなく、Wii開発者全体の中でも突出してWii Sportsチームが上手かったことが伺える。
 その他ゲーム内のミニゲームとしても相変わらず定番で、街へいこうよ どうぶつの森、バンダイナムコGO VACATIONなどWiiリモコンを活用したり、大神などしなかったりしている(筆調べでは活用しているが)

ヌンチャクとリール

 意外だったのがヌンチャクをリールに見立てて回すゲームが多かったこと。
 ある種「ごっこ遊び」なんだから当然リール回したい → リモコンが竿になるのは確定 → ヌンチャク回せばいいじゃん ! となるのは必然ではある。ヌンチャクの汎用性の高さが知れる。
 なお、どのゲームも正確に回転をチェックしているのではなく、ある程度の加速を感知したら回したと判定しているようで、シャカシャカ振っても反応したりする。
 この雑さは競技としてはダメでも、遊びとしては十分臨場感があって楽しい。

 釣りはミニゲームとしては人気だが、それだけで1本成り立たせるのは至難でもある。
 Wiiリモコンはその至難の領域を切り開くポテンシャルを持っていたと思うし、このようにそこそこの本数が出たが、最終的には佳作止まりだった。
 過去に任天堂も糸井重里のバス釣りNo.1シリーズを出しているのにWiiでは出さなかったのも、盛り上がりに欠けた部分ではある。

 アタッチメントについては任天堂からは出ていないものの、前述のように各社から発売されている。
 Switchのニンテンドーラボには釣り用のコントローラが入っていて、結局これも紙(ダンボール)で良かったのでは? と思ったりする。
 なおSwitchではバンダイナムコ釣りスピリッツなど釣りゲームが順調に出ており、各社からアタッチメントも発売されている。

ぬいぐるみ

 釣りで最後と言ったが、もうひとつ。

 欧米で爆発的人気を誇るクッキングママでおなじみのオフィスクリエイトから、ぬいぐるみにWiiリモコンを入れて遊ぶベビーシッターママが発売された。
 人形に入れてあそぶという予想は当たったと言える。

 操作性…と言っていいのか、あまり良くないらしいが、なにせ赤ちゃん相手なのでこちらの思う通りにいかなくても「まぁ赤ちゃんだしな」で押し切れてしまう。
 Wiiリモコンにはスピーカーがあるので、泣き声がちゃんとぬいぐるみから聞こえてくる仕様だ。

 ちなみにクッキングママ みんなといっしょにお料理大会!クッキングママ2 たいへん!! ママは おおいそがし!がWiiで発売されており、Wiiリモコンを包丁やフライパンに見立てて使うのは、正直普通の調理器具を扱うより難しいのだが、アクションゲーム的にはそれで成立している感じもするし、ボタンに比べると格段に臨場感があるのも確か。

 それはともかく、ぬいぐるみ。
 Wiiリモコンがあるていど重く大きいため、それを備え付けるおもちゃもある程度大きくなければいけないという問題がある。
 が、本質的にはやはりTVに接続している本体の起動が必要なのが足を引っ張る点だ。

 コンピュータ制御のぬいぐるみとしてはバンダイプリモプエルなどがあるし、ソニーアイボを代表とし、多くの犬猫型(ペット)ロボットがある。
 またGROOVE XLOVOTなど現在各社が競って愛玩ロボットの開発を行っている。

  Wiiに上記の欠点があったとしても、プラモやらなんやらと組み合わせてもっとたくさんのプロダクトが出ても良かったと思うのだが流行らなかった。
 人形どうしをキスさせると互いのボタンを押すようになってるみたいな、アイディア一発のやつとか出るかと思ったんだが。ソフトはダウンロードで配給できるから基本的にただのぬいぐるみにWiiリモコンアタッチメントつけるだけだぞ!
 最低でもピカチュウのWiiリモコン連動ぬいぐるみは出ると思ったんだが…。

 バンダイとかおもちゃの組み替えがゲームに反映されるZEX-D(ゼクシード)が大コケしてしまったのを引きずってるのか? あれ、つまんなかったから売れなかっただけだよ(バンダイにはいくら辛く当たっても許されると思ってるゲーマーにありがちな思考)
 とは言え、ゲーム連動がなくてもフィギュア付き商品とか在庫抱えた時のリスクがたいへんだからなぁ。
 評価が高く、組み立て式で薄くまとまるニンテンドーラボですら、在庫問題を抱えているし。

まとめ

 Wiiの前にこれだけアタッチメントが出たコントローラはなかった。
 そもそも、ゲームコントローラにアタッチメントを追加するという発想が、ほぼない。
 ファミコインだとかエイムリングだとか、パッドに小さいスティック挿す(セガ・マークⅢ)だとか、コントローラの操作感を若干変える程度のものしかないのだ。
 対して、Wiiリモコンはハンドル・銃・釣竿・あかちゃん(!!)などが登場している。
 これはWiiリモコンの汎用性の高さの証明に他ならない。

 割とWiiリモコン+ヌンチャクは汎用性がないと言われがちだが、他のコントローラが同じことできるかというと全然できなくて、むしろ他のコントローラがWiiリモコンの汎用性についてこれてないというのが正しい認識だと思う。
 なんで汎用性がないと言われるかというと、ほぼ他のコントローラに比べ「ボタンが少ない」ということだけだと思う。
 ボタンの数はゲームにとって大切なことではないし、なんならゲームをダメにする要素だったりする。
 しかし移植などの問題があり、一度増やすと減らすのが困難だったりもする。

 それに対して、アタッチメントによって形を変えることで、持ち方や必要なボタン位置を変更するというアプローチは、もっと当たり前になってもいいんじゃないかと思う。
 今だとこの手の遊びは、おおむねニンテンドーラボで実現したと言ってもいいだろう。
 そして、3Dプリンタが気軽に使えるようになったとき、またアタッチメントというアプローチが脚光をあびるのではないかと期待している。

 そこで結論。

アタッチメントは、ゲームを作るときに、まず入力装置の形を決める時代の先駆け(かもしれない)