アイテム使用タイミング
現れた、手に入れた、さていつ使おう
細かく刻みますよ
前回アイテム入手方法、前々回アイテムライフサイクルとアイテムに関するエッセイというか完全に調査分類の類いですけど、そういうのやってます。
今回はアイテムの使用タイミングでの分類です。
即時型
アイテムライフサイクルとしては、備蓄分類での即時型。
要するに、備蓄できず「取得=使用」のタイプ。この即時型以外のアイテムは備蓄型となる。
アクションゲームではテンポが大事なので、ほとんどがこのタイプとなる。
自機とアイテムが重なることが使用のトリガとなる、とも言える。
通常生活していて手に取った途端に使われる物はないので、即時型アイテムに慣れるまでは、使うつもりもなく何かが起こってしまい戸惑う。
画面上でアイテムを取ったという事が示される何らかのアクションがない場合「取ろうとしたら(シャボン玉みたいに)消えて取れなかった」と認識されかねない。
例えば取ったら体力が増えるという場合、ルール的には取ったアイテムが消えて体力の数値が増えれば良いわけだ。
初期はこの程度の情報でもプレイヤーが理解しようとしてくれた。
しかし「ゲームは楽にできなきゃゲームじゃない」的なプレイヤー相手に、積極的に意味を読み取ってくれる事を期待するのは難しい。
取ったアイテムがゲージまで飛んでいって、ゲージがアニメーションしつつ増え、ゲージ枠がキラキラ光る、ぐらいやらないと気付かれない可能性がある。
現実で「取得=使用」な物は、例えばテニスなどの球技をやっている場合のボールがそれにあたるかもしれない。
これは手に入れたアイテムが消えるわけではないので、特に理解し難いということはないが、現実でもゲームでもそれが「取得」に当たるという認識はあまりなされないだろう。
任意型
専用のボタンを押す、あるいはメニューから[つかう]を選ぶなどで、プレイヤーの好きなタイミングで使えるもの。
ボムが代表的な任意型。
剣で切るとか銃で撃つなどの行動も、アイテムを取ることでその機能が変わるようならば任意型といえる。
これの問題は、プレイヤーが使い方に気付かないと、いつまでも使われずに死蔵される可能性があるという事。
RPGの装備品も大抵はこのタイプなので、序盤に「そうび しないとだめじゃぞ」などと偉い人から注意を受ける。
場所限定型
任意型のうち、使う場所が限定されるアイテム。
例えば釣り竿は水辺でしか使えない、やわらかい土でないと種がまけない、扉の前でないと鍵が使えないなど。
売却可能なアイテムはすべて店でないと売れない場所限定アイテム、お金は店でないと使えない場所限定アイテムとも言える。
どこかに設置するタイプのアイテムは、ほとんど間違いなく場所限定型である。
マップに影響を与えるアイテムがどこでも自由に使えると、制作者も調整が面倒だし、プレイヤーも指針がなさ過ぎて途方に暮れてしまう。
ただ、マップの変更自体が中心となっているゲームの場合、設置型アイテムは大活躍する。
任意型でも使い方に気付かないプレイヤーがいるのだから、この場所限定型になると、もっと気付かないプレイヤーが出る事必至。
ただ、流石にこれはプレイヤーに説明しないと気付かない、ということに制作者も気付くので、わりと丁寧に説明される。
逆にアドベンチャーゲームでは、どこに使うかを探すこと自体がゲームの面白さの中心となるので、どこに使うかの丁寧な説明などが出ては興ざめだ。
また、対象の場所でないところで使った場合のリアクションもしっかりしておかないといけない。
例えば、ワープアイテムを屋内で使った時に頭を打つアニメーションが入るとか「ここでは効果はないようだ」というメッセージとかだ。
これもアドベンチャーゲームでは使える場所探しがゲームの中心なので、頻繁に使えない場所に試しに使ってみることになる。そこにあまり大げさなリアクションは必要ない。むしろあると邪魔。
対象限定型
任意型のうち、特定の敵やキャラ、物品に対して使用するタイプ。
例えば、アンデッドに対して聖水を使うとか、パズルのようにアイテム同士を組み合わせるというもの。
対象限定型は限定型だけに使い方に気付かないプレイヤーがいるだろう事はもちろん、使える対象が現れた時に使うのを忘れるという危険性も多い。
この対象限定型アイテムは場所限定型以上に使い方が分からないプレイヤーが出る可能性が高いので、いっそ最後まで使えなくてもゲームは進行できるぐらいに作っておくのも手だし、実際そういうアイテムが多い。
イベント型
イベントの際に自動的に使われるタイプのアイテム。
イベント発生の条件のひとつとして必要なアイテム、とも言い換えられる。
持ち物として視覚化されたフラグ、と言ってもいいだろう。
ゲーム進行上とても重要なので、特にイベントアイテムという名称で呼ばれる。
大抵はイベント発生条件のひとつに場所も含まれるので、その場合は場所限定アイテムでもある。
任意に使えるアイテムがイベントの条件に必要だったり、イベントのみのアイテムかと思っていたら任意に使えたりする場合もあるが、そういうアイテムはイベント型かつ任意型といえる。
ちなみに、そのようにアイテムが多様な使い方をされるゲームは傑作率が高い、と個人的な感覚としてある。
イベントシーンによって、どのようにアイテムが使われたか説明されるので、使い方も効果も理解しやすい。
ただイベントシーン全般の問題としてプレイヤーの能動性が低くなる(強制的になる)ので、ゲームの面白みとしては今ひとつなのが問題。
条件型
条件が成立すると自動的に使われるもの。要するに、その他だ。
ミス時に一機減る代わりにボムが使われるオートボムなど条件は様々な物がある。その他だから。
条件が合えば自動的に使われるので、折角あるアイテムを使いそこねる心配があまりないが、どういう条件が成立したから使われたのかよく分からない場合が多い。
例えば体力が0になると使われる妖精は、いったんゲームオーバーの画面に近いものを出した後、妖精が現れて体力が回復するアニメーションが表示され、通常画面に復帰する、というぐらいの説明が必要。
総括
だいたい上記の分類で十分かと思うが、どれも「分かりにくい」といった説明が入っている。
ゲームを沢山やると、スムースにアイテムが使えるゲームと、クリアした後も結局使い方が分からなかったりするゲームがあるのに気付く。
画面の中に抽象化された道具を使うという行為は、使うための操作にしろ、使った事によって何が起きたかの説明にしろ、気を使わないとあっという間に意味不明になってしまう。
といって、一番分かりやすいイベント型の手法を全面的に使って、自動的に使いかつ丁寧に効果を説明されると、もうそれはゲームではない別のメディアになりかねない(狙ってやるならいいけど)
そこで結論。
ゲームでアイテムを使うというのは、プレイヤーには意外とハードルが高い行為なのだ