PSコントローラレビュー

今や最も使われているゲームコントローラをレビュー

でかいしね
当時は、このままツノの数争いに突入したらどうしようかと思ったもんです

概要

 プレイステーションのコントローラの革命的な点は、「ツノ」に尽きる。
 最初は奇妙に感じたツノも、今やコントローラデザインのスタンダードとなった。

 ソニー曰く、とにかく沢山のモックアップを作って、手に馴染むコントローラを作ったそうだ。
 どうもコレは、「無駄に沢山作った」としか思えない。
 実のところ、スーパーファミコンのコントローラを無批判にまねただけの、頭の悪いコントローラに思える。
 手もとにPSとSFCのコントローラがあるならば、レイアウトを比べてみてほしい、驚くほど似ている事が分かる。

 要するに、SFCのコントローラが持っている問題点をほぼそのまま受け継いでいるのである。
 利点も継承している筈なのだが、様々な問題があって継承されていない。

PSとSFのコントローラ
 似てます、すごく。

 コントローラの役割についてのエッセイは、ボタンの共通機能ボタンレイアウトを考えるあたりも参照してほしい。

○×△□ボタン

 ○×△□ボタンは同じ形と大きさで、且つ幾何学的に並んでいるため、どれが主要ボタンか分からない。
 SFCのように、ひし形になっていれば、まだしもボタン間の距離が近くなって良かったのだが、何も考えてないかのように等距離に配置されている。
 勿論考えた上での結論だったのだろうがハッキリ言って失敗。
 もう少しボタン間の距離が短くないと、ボタンの同時押しのバリエーションが作れない。

 また、アルファベットのような順列ではないので場所を覚えにくい。
 例えば、アルファベットならば、ABCの順で並ぶということは、容易に想像が付く。
 なぜ×が下、○が右、□が左、△が上なのかの理由付けが非常に困難。
 さらに、ボタンのグループ分けが難しい事も問題。
 ABとXYはそれぞれグループであることは明白である。しかし○×△□は、どの順番に並べた方が良いのか、どれとどれがグループなのか、はっきりした指針が無い。
 暖色系である○□と、寒色系の△×がグループのようでもあるし、○×と△□がグループのようでもある。
 一筆書きができる○△□とそうでない×でも分けられる気もする。

 具体的で分かりやすい例を挙げると、このようなボタンの意味付けの無さと文化的な問題もあり、ゲームによって決定ボタンが○だったり×だったりしている。

 また、○×△□は会話で使いにくい。
 これが一番の問題点のような気もする。特に「さんかくぼたん」は間抜け。
 てゆーかね、○ボタンビームじゃ、モロ星人も改心しないよ!!

 現在発売されているPSのゲームを遊ぶのに支障のない範囲で、ボタンデザインを変えてみた。
ボタン改善案
 決定ボタンがはっきり分るように○ボタンを大きくし、色もボタン全面に着色。
 ○と対であることがはっきりするように×ボタンとの間に溝でマーク。
 同時押しが簡単になるように、各ボタンの配置を寄せた。
 △と□ボタンも、少し大きくしている。

ボタンの色

 記号は印刷ではなく、色の違うパーツを組み合わせているので、すり減っても記号が消える事が無い。
 これはコストのかさむ方法で、一見なかなか偉い。
 しかし、その結果でこぼこが無いボタンになっているので、つるつるして手触りが良くない上、触感によるボタンの区別ができない。
 無駄な部分にコストかけていると言わざるを得ない。

 記号には色が付いているが、パッと見で分かりにくい。これには2つ理由がある
 まず、ボタン全体に色が付いていない事。色の面積が少ないと視認性が落ちるのは当然。
 次に、色が原色でなく中途半端な色で、ハッキリ何色であるか言いにくい。
 特に四角の桃色は配色ミスとしか思えない、代表的な色として赤青緑と来たら、次は黄色だろう。
 色がはっきりしていないため、ゲームのシステムでボタンの色とルールと結び付けにくいという弊害も発生している。
 こんな中途半端な色をつける位なら、色を付けない方がまだマシだった。

 実際、後に発売されたプレイステーションポータブルでは、ボタンに色はついていない。

二段LRの罪

 ツノに次いでPSのコントローラで特徴的なのは、LRトリガがそれぞれ二つある事である。
 人間の指の特徴として、親指の自由度は他の指に比べて抜群にいい、ということがある。
 逆に言えば、他の指は自由度が低いのである。
 かなり器用な人でない限り、親指以外の指を動かすと、隣の指もつられて動いてしまう。
 そのなかでも人さし指は比較的自由度が高いが、それ以外となると補助的な指となり、力もさほど入らなくなってくる。
 1(上)に人さし指、2(下)に中指を置いておくと、コントローラをホールドするために残された指は薬指と小指だけになってしまう。とてもじゃないが、安定して持つ事はできない。
 せめて、2がもっと下向きに付いていればホールドしやすかったろうが、さらにコントローラのパーツを増やす事になるし、組み立ても困難になるので 現実的ではない。

 中指をボタンを押すのに使わずに自然に握ると、2の方に人さし指が来るため、こちらが主に使うボタンと考えられるが、となると何故メインのボタンの方が「2」なのか、理解に苦しむ。メインの番号は1だろ、どう考えても。
 また、1も2も同じ形状であるため、どちらが主要なボタンであるか分からないし、触感で区別する事もできない。
 1ボタンを使う操作と2ボタンを使う操作は区別しづらく覚えづらい、結果ものすごく間違いやすい。
 その辺を鑑みて、L1L2は同じ操作、R1R2は同じ操作、というように上下を区別しないキー配置にしてあるゲームも多い。ゲーム制作者が考え抜いた末、「1と2ボタンが存在していないと思った方が良い」と判断していると言えよう。

 それから、親指で使うボタンを○×△□にしたのなら、なぜ突然LRなのか。なんとも一貫性が無い。結局アルファベットを使うんだったら、なぜ親指ボタンはアルファベットにしなかったのか。
 コレでは○×△□を採用したのは、他のゲーム機との差別化そのものが目的であり、ユーザーにとって使いやすいかどうかは二の次だったと言われても否定できない。

 ついでに言うと、ボタンに書いてあるL1などの文字だが、上下逆だ。
 ボタンの確認に、いちいち引っくり返してみる人はいないだろう。

 はっきり言って問題が多いので、きちんと問題を解決させようとするなら、ボタンの名前や数も含めて、コントローラのデザインを全面的に変える必要があるのだが、現在発売されているPSのゲームを遊ぶのに支障のない範囲で、LRトリガのデザインを変えてみた。
LRトリガ
 上下のボタンの大きさと色をはっきりと変えた。
 ボタンには数字だけではなく、L1、L2、R1、R2とフルネームの彫り込みを入れ、文字の方向を上下逆転させた。
 小手先ではあるが、少なくとも間違いにくくなっているだろう。
 PSコントローラの後継であるデュアルショックでは、2の部分が大きくなっていて、改善が見られる。

机に置く

 平らなところにPSのコントローラを置いてみてほしい。なんとなーく、小さな手でボタンをパンパン叩くのに良さげな感じになる。
 どうも、机に置いて使用することもある程度念頭に入れているようである。
 コントローラを持てない子供などがプレイするのには、なかなか良いだろう。

 しかし、そのような形になっているのは、単なる偶然な気もする。
 幼児の手を意識しているなら、もう少しその利点を強調してもいいはずだし、幼児向けのゲームももっと多くていいはずだ。

なぜ、ジョグダイアルが無い?

 ソニーがゲーム機を出す、この知らせを聞いて「ジョグダイアル装備に違いない」と思った人は多いかと思う。
 しかし、未だにジョグダイアルは装備されていない。なぜなんだろー。
 ゲームのコントローラに付いてたら、すげー使い勝手良さそうなのに。

 私はジョグダイアル大好きなので、PS3のコントローラは今までの互換性は無くしちゃって、ジョグダイアル付けてくださいソニーさん。
 と書いていたけど、結局PS3はもちろんPS4でもジョグダイアルは付きそうにない。

方向キーの罪

 PSの方向キーは十字ではなく、ボタンが4つ並んだ形になっている。
 裏側で全てのボタンはつながっているので、実際の所十字キーと同じ仕組みになっている。
 だが、中心がへこんでいるので操作していると「痛い」、特に2D対戦格闘系のコマンドを入力している時に、ものすごく痛い。ザンギエフなんか使った日には「何の拷問だ?」って感じだ。

 斜めに入りにくいので、シューティングゲームにも向かない。
 ボタンと同じ感覚で使って行けるので、コマンド選択には向いている。
 とは言え、アクションゲームほど、コントローラの使いやすさがプレイに影響を与えるものではない。
 本体付属のコントローラは、アクションゲームで最大のポテンシャルが発揮できるように最適化するのが正しいだろう。

 方向キーの材質も良くない、堅すぎる。
 新品のうちはでこぼこしたテクスチャがあって悪くない手触りだが、あっという間にすり減ってつるつるになってしまう。

 さらに、サイズも小さい。ちょっと興奮すると、方向キーの外側を押してしまう。これがまた、キーの外側の角を親指が直撃して痛い。
 てこの原理から言っても、支点から力点が離れている方が楽。

 この方向キーに問題が大きいことはソニー以外はみんな認めている。ほとんどのサードパーティー製のコントローラは任天堂やセガの方式(または、メーカー独自の方式)を採用しており、PS本体と同じ方式のものは事実上存在しないと言っても良いほど。
 こんなひどいもんを採用する位なら、任天堂なりセガなりにライセンス料を払って、使わせてもらった方が良かった。

 それから、方向キーの中心位置はわりと良いが、角度がコントローラの縦横そのままなのはちょっといただけない、少し右に傾けて欲しかった。
 自然にコントローラーを持つと、親指の角度が少し右に傾くため、真上に押したつもりでも右を押し気味になってしまうからだ。
 下手に角度をつけるよりは素直にコントローラの軸とそろえた方が良いし、その方が分かりやすい場合もあるので、一概にダメとは決めつけられないが、右側のボタンの配置を見るに、やはり余り深く考えずに幾何学的に配置してしまったように思える。

 現在発売されているPSのゲームを遊ぶのに支障のない範囲で、方向キーのデザインを変えてみた。
ボタン改善案
 大きく十字にした。
 次善の策として、ワンダースワンのように中央部を盛り上げるという方法も考えられる。

SELECTとSTART

 セレクトボタンというものは、ファミコン時代に既にその意味をほとんど無くしていた。
 具体的には、十字キーで選択する方が直感的であるため、セレクトボタンが選択に使われる事は無くなり、メニュー表示などのモード切り替えに使われる事が多くなった。
 この盲腸のようなボタンが、何故PSのコントローラに付いているのか。どう考えても「スーファミの真似」以上の理由はなさそうである。
 ハッキリ言って、無駄にボタン数を増やしただけ。

 スタートボタンの形はいい。CDプレイヤー等の再生ボタンと同じ右向きの三角は、直感的に分かりやすい。流石はウォークマンのソニー。ここは激賞したい。
 そうなると、セレクトボタンの四角は停止にあたりそうだが、SCEのソフトを見ても、そのような使い方をしているわけでもないようだ。

 また、セレクトボタンとスタートボタンの形が四角と三角であるため、右側の丸いボタンの□と△記号と間違えてしまい、非常に紛らわしい。
 何の予備知識も無い人に、「四角ボタンを押して」と言ったら、セレクトボタンを押してしまう可能性は、非常に高いだろう。
 もしかしたら、LRボタンを見て「4つあるけど?」と聞き返してくるかもしれない。
 ここでも、「しかくぼたん」は無いよなやっぱり、という結論を出さざるをえない。

 現在発売されているPSのゲームを遊ぶのに支障のない範囲で、ボタンデザインを変えてみた。
ボタン改善案
 SELECTはこの際、方向キーのそばにあった方が便利なんじゃないだろうか?
 ボタンの形も四角は紛らわしいので丸のような四角なような微妙な形にした、コレはコレで紛らわしいが。

軽けりゃ良いのか

 軽いことは、しばしばPSのコントローラの利点として取り上げられているようだが、「それは全くの逆」で、軽い事は欠点である。
 ある程度の重さがあった方が、特に力を入れてコントローラをホールドしなくても、コントローラの重みで安定するので、むしろ楽なのである。
 特に(初期の)PSのコントローラーはケーブルが太く重いため、ケーブルに引っ張られるような力がかかっており、それに対抗するために、より手に力を入れる必要がでてしまう。

 軽い=楽で疲れない、は思い込みと断言したい。
 ペンやマウス、ドライバー等の工具、その他諸々の道具は、ある程度重い方が使いやすいことは常識である。
 ゲームのコントローラだけ、その常識から逃れられるわけではない。

 PSのコントローラの場合、その特徴的なツノの部分に重りがあれば、先に述べたLR2ボタンに中指を置いた場合のホールド感の無さも、根本的ではないにしろ、ある程度の解決を見たと思われる。
 後に出たモデルでは、アナログスティックと振動機能により重心が手元にずれて、持ちやすくなった。

コントローラの形状

 ツノの裏側が何故か平面である。
 人間の指で自然にモノを掴んだ場合、指が平面に沿う事などあり得ない。
 そのため、PSのコントローラを握った場合、ツノの裏側で指がコントローラから浮いてしまい、ホールド感が落ちる。

 LRボタンが突起の先に付いているため、人さし指の根元から中心付近がコントローラから浮いてしまい、これもまたホールド感を落としている。

 また、ツノの付け根の裏の丸まりが浅く角度が急なため、裏が平面である事と合わせて、力を入れて握ると痛い。
 とにかくコントローラは、徹底的に角を無くす事が大事。特にコントローラをホールドする部分に平面を作るなど、言語道断。

 これは、コントローラを裏から見た図と、横から見た図である。
フィットさせるには
 黒い部分が追加すべき部分。灰色の部分が削るべき部分である。
 黒い部分がフィット感を持たせるべき部分、灰色の部分が指に当たって痛い部分、と言い換えても良い。

 ゲームのコントローラは、触り心地を良くするために表面にでこぼこのテクスチャ加工を行う。PSのテクスチャは浅いため無くなりやすく、テクスチャがつるつるになってしまった時、汗が気持ち悪い。
 もしかしたら、コレを回避するためにフィット感を悪くしたのかもしれないが、そうだとしても本末転倒。もっと触り心地のいいテクスチャを付けてほしいものである。

残念ですね

 他にも、ケーブル短すぎとか、コネクタの上にカードスロットは邪魔とか、コントローラの上面と底面が平行でボタン押しにくいなど、色々問題点はある。

 困ったことに、PSが売れたため、このようなヘボコントローラが標準の地位を獲得してしまったのは、色々な意味で不幸なことと言わざるをえない。

 そこで結論。

沢山使われているから良いってわけじゃないぞ

追記

 本文中でもデュアルショックに言及しているが、この後驚くべきことに「互換性上残す必要のある欠点」を除くと、見事なほどにPS2・PS3・PS4と改善が加えられており、ソニーすごい。
 ゲーム史上、これだけ互換性を保ったまま改良が加えられたコントローラは他にないので、改善の歴史を辿るとすごく面白いと思う。
 それはまた後に語りたい(でたー! とりあえず言っとくけど基本果たされないヤツー!!)