アイコンと操作性
アイコンは分かりやすい、というのが一般的みたいだけど、そう?
アイコンは良いね
アイコンとは、世の事象やモノをシンボル化したもので、文字表現の代わり・又は補助として使われる。
アイコンは象形文字の一種とも言える。
絵だから言葉が分からないプレイヤーも分かるし、表示領域も小さくできるし、良い事ずくめだ。
Macintoshはアイコンを使っているから分かりやすいっていうし、ゲームでも使ったら分かりやすいよね、ってそうか?
今回は無批判に使われるアイコンの危うさに付いて考えてみたい。
アイコンによるコマンド
コマンドがアイコンで表現されているメニューは、一見分かりやすいように見えるかもしれないが、そんな事は全然ない。
というのも、アイコンをどう読むかは人によって差が大きく、誰にも同じように理解される記号をデザインするのは、著しく困難であるからだ。
だれしも、色々な場所で目にする標識の意味が分からなかったりした経験があるだろう。
例えば、システム設定のアイコンは、どのようなものが良いか考えてみて欲しい。だれもが納得のいくアイコンは思い付かないと思う。
アイコンは基本的に、アイテムのような名詞を表現するのには向いているが、動詞を表現するのには向かない。
別の言い方をすると、具体性が高いものならばアイコンにしても良いが、抽象性が高いものはアイコンにしても決して利便性は高まらないという事だ。
抽象性が高いものをアイコンにする場合、数学記号のように高い一般性が既にあるものを除き、まず間違いなく意味が分からなくなると思って良い。
アイコンを採用しているのに、結局そのアイコンに文字が書いてあるゲームや、カーソルをアイコンにあわせた時に文字が隣に出るようなゲームを見た事も多いだろう。
そういう事をするくらいなら、最初から文字でコマンドを書いてもらった方が親切というものである。
そもそも文字自体が高度に抽象化された記号であり一般に利用されていて馴染みが深いのだから、基本的には文字を利用した方が良い。
アイコンはアイテムの種類を表す等、あくまでも補助的なものとして利用すべきだろう。
補助的なアイコンはコマンド数が少ない時は邪魔なぐらいだが、3桁の数のコマンド(アイテム)が存在する場合は、素晴らしい威力を発揮する。
コレは、現在主流のパソコンOSのファイルアイコンの使い方と同じと言える。
ゲーム中のもの、そのまま
アイコン表示をする事が良いものの例外は、通常のゲーム画面に登場するものが、ほぼそのままアイコンとしてメニューにある場合。
これは文字よりもずっと分かりやすく直接的である。
具体的には、ゲーム中に出現するアイテムやキャラクターである。
アイコンがゲーム画面に視覚的に表示される必要がある事から、特にアクションRPGで使いやすい手法と言える。
逆に言えば一度ゲーム画面上で登場させておかないと、プレイヤーによって認識が異なるというアイコンの持っている問題がそのまま出てくる。
陳腐に感じても、アイテムを手に入れた主人公キャラクターがアイテムを掲げるのは、記号をプレイヤーに認識させるというインタフェース上の意味があるのだ。
しかし、メインのゲーム画面がリアルになるほど、そのような陳腐に思える演出はできなくなる。結果、操作性が悪くなるということになる。
ゲーム画面がリアルになる事の弊害は、意外な所に出てくるので注意したい。
常に表示されるアイコン
色や形が限定される文字よりもアイコンの方が視認性を高くしやすい。要は一目で判別できるわけである。
ただし、これはアイコンの意味が判別できるのではなく、形が判別できているのに過ぎないことに注意して欲しい。
漫然とアイコンを使用した場合は「何かあるのは分かっても、それが何かは分からない」のである。
アクションゲームのインフォメーションには、読む必要のある文字よりもアイコンの方が優れている。
文字なんか出しても読んでいる暇が無いので、事実上アイコンしか選択肢が無いとも言える。
特に常時画面に表示されるものに関しては、画面スペースの節約の目的からもアイコンが使われる。
よく使われるのは残機数、残りボム、装備中のアイテムあたりである。
この辺は先ほど書いたゲーム中そのままのアイコンが使われる事が普通なので、さほど問題は無い。
問題は、抽象性が高くなってくる場合。例えば、対戦格闘ゲームの勝利マークなんかは、勝ち方によってアイコンが異なる場合も少なくないが、これはなかなか分かりにくい。「とりあえず勝ったのだけは分かる」という感じである。
まとめると、具体的なモノを指すアイコン以外は使いにくく、モノをアイコン化する場合もプレイヤーに認識させる工夫をしないと利点はあまり出ないという事だ。
アイコンを分かりやすく使うのは難しい