Flashの描画は全てドローデータなのだが、基本はペイントソフトの感覚で使って行ける。
今回は、そのペイントの感覚で扱えるツールがレビュー対象だ。
主に対象となるツールは、矢印、ブラシ、なげなわ、自由変形、消しゴム。
Flashの描画ツールの、ドローデータとは思えない描画感には結構感心したんで、褒めたいところだが、輪をかけて悪いところも多いので容赦なく。
ステージ上の機能で、ハンドルを使ったドロータイプのツール関連、Flashの重要なデータであるインスタンス関連、色関連は次回以降に取り上げたい。
多くのパネルに、無駄な表記が散見される。例えばツールパネルの上から「ツール」「表示」「カラー」「オプション」とあるが、この文字は邪魔。
実のところ、一回ためしてみないとこれらのツールの役割は理解出来ない。そして文字で書いてある程度のことは、アイコンでほぼ理解出来る。なぜなら、多くは他のアプリケーションでも使われているアイコンだからだ。さらに個々のアイコンの意味は、しばらくポイントしておくと出るツールチップでも分る。結局、文字が書いてあっても、なんの理解の助けにもなっていない上に、無駄に貴重な画面を消費している。
こんないらんとこだけFireworksのマネか?
[消しゴムツール]の[流し消す]オプションは無くても、選択-削除(Delキー)で十分。
というのも、ポイントしている部分が線か塗りかというのがはっきり示される訳ではないので、すごく間違いやすいのだ。ポインタの蛇口のデザインも、ポイント先が分りにくい。
選択した後削除、と言う方法をとれば、確実に削除したい部分を指定する事ができる。
[なげなわツール]の[自動選択](マジックワンド)の機能は、プログラム的にはなかなか面白いが、外部から取り込んだラスタ画像にしか使えないので、それほど意味のある機能とも思えない。
ファイルサイズを押さえる意味でも、読み込む前に処理しておくべき事かと思う。
同じ労力で、ビットマップのトレース機能や最適化機能を強化した方がいいのではないか?
グループやインスタンスの中を編集中に、画像の無いところをダブルクリックすると上の階層に戻るが、これは余計なお世話。
ダブルクリックで選択する事は多いため、ちょっとクリックする座標を誤ると、戻りたくない時に戻ってしまう。
[矢印ツール]で、選択されていない部分をドラッグした時は、塗りをずらしてしまうが、まず矩形選択として働いて欲しい。
線をドラッグする場合は線の変形として働き、一度クリックして選択しないと移動できないのに、塗りは移動してしまう。なぜ挙動を合わせない?
さらに、選択していない部分は移動されないという、[なげなわツール]の挙動とも異なる。
グラフィックツールの割に、使用出来るキーコンビネーションが少ない。
選択する時にSftキーで選択範囲を追加することはできるが、逆に選択範囲を取りさる事はできない。Optキーあたりで対応してくれないものか。
[ブラシツール]もSftキーで方向を固定出来るようにして欲しい。ヘルプにはできるように書いてあるが…
Optキーで[スポイトツール]にならないのは、描画ツールとしての根本的な理解に欠けると言っても言い過ぎではない。
ステージを回転また上下左右に反転させて描く機能も、フォトレタッチソフトなら、不要かもしれないが、描画ソフトならば出来てしかるべき。
ちなみに、左右反転したインスタンスを[その場で編集]すると、左右反転して描けるかと思ったら、バグで描けない…トホホー。
[ブラシツール]で、ドラッグせずにクリックだけした時も、そのペンの形の図形が描けて欲しい。
[消しゴムツール]で、全レイヤー消えてしまうのは、余計なお世話。こんな仕様のグラフィックツールは他にあるのか無いのか分らないが、私の記憶には他にない。
[消しゴムツール] や[虫めがねツール]のように、ツール選択ボタンのダブルクッリックに動作が割り当てられているものは、ダブルクリックではツールは選択されないようにするべき。
というのも、ダブルクリックする事で、既にそのツールで行うべき動作も終わっている事がほとんどなので、続けてそのツールを使う理由が無いからだ。
大体、手を抜くためのショートカット操作なのに、元のツールに戻すというひと手間が発生してしまうために、さほどのショートカットにもならない。
ツールボックスのオプションで四角のボタンで右下に▼があるタイプを選択した時に、メインのウインドウが非アクティブになるが、これはかなり変な処理をしているのではないか?というか、ズバリ、ポップアップメニューをダイアログ扱いにしてるだろ、違うか?そーゆー変なプログラムしないの。
しかも、押している間しかポップアップしない。クリック-ポインタ移動-クリックでも選べるのが、メニューの正しい挙動だ。
逆に、カラーポップアップウインドウは、その場でぐっと押して、何も選ばずに離した時にウインドウが閉じない。これまたおかしな挙動だ。通常のメニューは、ぐっと押して、何も移動せずに離した時は、メニューが閉じる。
タブレットのペンの消しゴム(大抵、ペンの尻に付いている)を使用した時、その時選択しているツールによっては、かなり変な動作になる。みんなもレッツトライ。
ペンプレビューをONにして線を引いている時にCmdキーを押すと、変な線が残る。
ウインドウの端の動作がうさん臭い。様々な問題が起きる。WACOMのタブレットの影響という話もあるが、それだけでもないようだ。
[自由変形ツール]を選択したあとは、矢印ツールに戻しても、選択範囲に変形用のハンドルが付くことがある。
ツールを選択する場合に、たまに別のツールが選択されたままになってしまうバグがある。どっちのツールを選択しているんだか分らない。
はっきりと2つのツールが選択されているようになる時もあれば、微妙にカスが残ったような状態になることもある。
どーも現象を観察するに、半透明のパーツと、グレーのパーツと、アイコンのパーツでツールのボタンが構成されているようで、その連携が取れてないというか、バラバラに処理されているようだ。
[矢印ツール]のオプションに[スムーズ]と[ストレート]のボタンがあるが、これはツールのオプションじゃない。シェイプのプロパティの変更ボタンと捉え、シェイプのプロパティインスペクタにあるべき。
細かいことを言えば、ツールチップにいちいち「〜ツール」とツールって書いているが、ツールの文字は不要。[鉛筆ツール]は[鉛筆]でいい。
[矢印ツール]では、何の機能的な意味も表していないので、[選択ツール]と言う名前にするべき。どうしても矢印って付けたかったら、せめて[ダイレクト選択ツール]を[ダイレクト矢印ツール]と命名して欲しい。現状では両者のツールの関連性も分らない。
ダイレクト選択も、何がダイレクトなんだか分らんので、[ポイント選択]とかがいいんじゃないか?
[バケツツール]は機能を表していない(割とバケツと言ってるアプリケーション多いが…)ここは機能を表す[塗りつぶし]にするべき。
バケツと言われると、どちらかと言うと、掃除して奇麗にしてしまいそうだ。
メタファとして、道具の名前をつけたいというのなら[ペイントカン]だろう。
楕円、矩形、ペンツールに、[線][線+塗り][塗り]のオプションを付ければ、カラーの「なし」は必要ないだろう。線も塗りも「なし」に設定したとき意味ないし、楕円、矩形、ペンツールは、オプションが何も無いのでもったいない。
大体「なし」があるとしても、ツールボックスのカラーの下という、あんな変なところにボタンは不要。カラーポップアップウインドウで選べるという色の属性の一種の扱いをしている「なし」と、「デフォルトに戻す」「色を入れ替える」という機能が並列に並んでいるところに違和感を感じる。
ついでに言うと、「なし」ボタンが選べない時は、グレー表示などという中途半端な事はせずに完全に消す方がいい。
そもそも、あんな位置に置かれては、「線」と「塗り」のどっちの色に属する設定だか分りにくすぎる。
カラーの入れ替えボタンも、二つの色の中間に置くべきだろう。
ここに限った事ではないが、ボタンレイアウト頭悪い。インタフェース部品をレイアウトした人間は、かなり素人。
[直線]などは[オブジェクトに吸着]オプションが機能するツールなのに、オプションに現れないのは分りにくいし、使いいにくい。
これらの機能の割り振り、マクロメディアは使ってて使いやすいと思ったのだろうか?
おそらくそうではないだろう。
ひいき目に見ても「使いやすいのではないか?」と想像した止まりで、使いやすいかどうかのインタフェースのテストを行ったとは思えない。
「絵を描いた事が無い人間がインタフェースを設計した」と思える節もある。
swfはwebでのドロー系静止画像のフォーマットとして、今一番使いやすいものとなっていると言え、今後も期待されていると思うのだが、その画像を生成するためのツールのできがこの有様では、別のフォーマットに取って代わられそうな気もする。
今日はここまで。
2004-03-15