テラファンタスティカ

対応機種・周辺機器
SATURN
ジャンル
タクティカルシミュレーションRPG
著作・制作
(c)SEGA 1996

 山田章博氏の絵が好きなので買ったのだが、イラストでゲームを買ってはいかんと言うのを思い知らされることになる。
 時々ムービーが挿入されるのだが、これが、レンダリングしたCGの上に山田氏のイラストを切り抜いて載っけているのだが、格好わるいことこの上ない。
 山田氏を使うのならば、手描きの良さにこだわって作るべきなのに、なんでキラキラCGのメタリックな質感を持ってこなきゃいけなかったのか、理解に苦しむ。

 天候、指揮範囲、索敵範囲、兵士の鋭気、戦法、ユニットの向き、高低差、アイテムの探索、ユニットの属性、ここまで多いと考えるのが面倒なだけで、ちっともゲームが面白くなっていない。
 パラメータが増えればシミュレーションゲームが面白くなると勘違いしているのだろう。

 マスがヘックス(六角)でなく四角で、斜からの直接攻撃もできるので、1ユニットにつき1回の直接攻撃だけで、相手1ユニットに対し8回攻撃できる。しかも1ターンで数回の行動が可能なので、1ユニットだけでも数回攻撃できる、その上恐ろしいことに弓や魔法などの間接攻撃も可能で、かなり飛距離があるので、1ユニットに対して全軍で攻撃をかけることすら可能である。
 むちゃくちゃである。ゲームバランスもなんもあったもんじゃない。
 相手が移動してくるのをギリギリの位置で待って、集中攻撃。この戦法だけで全て勝ち抜ける。絶対勝てることがわかっている上に、時間がかかることもわかっているゲームが面白いかどうか想像するまでも無く判ると思う。
 まともに戦えば、ユニットの1つや2つは全滅するのが明らかなので、敵の思考ルーチンは明らかにこちらに対して手を抜いた動きをする。
 結果、ゲームバランス的には易しくなっているが、前述したように要素が多いので簡単では無く、ひたすらに面倒。
 また、数時間かかってしまうマップもあるというのに、戦闘マップ上ではセーブができないのも辛い。
 さらに困ったことに、部隊が全滅した時に以後登場しなくなる場合もあれば、次のマップでは復活する場合もある。この条件をマニュアルに記述して無いのは痛い。

 戦闘と戦闘の間に寸劇的な会議等があるが、これの出来がまた悪く。下手にゲームにしようとせずに、単なる状況説明と進軍方向の決定にした方が良かったろう。
 また、声優の個々の演技は悪く無いのだが、どうも明後日の方向に向けて演技していると言うか、全体の流れの中での演技になって無いのも気持ち悪い。

 世界設定にTRPG系の作家を呼んでいるだけあって、わりとしっかりしているのだが、ゲームにはほとんど反映されていなくて、ゲーム作っている方と、設定やストーリーを作っている方が、それぞれ勝手にやっているようだ。
 設定を生かすならば、魔法は言霊ベースのものにすべきなのに、実際は単なるRPG風である、現在のシステムに「名」などの設定はプレイヤーを混乱させるだけである。

 グラフィックは凄くがんばっているし、これだけのパラメータをよくプログラムもしている。声優もがんばったし、世界設定もしっかりやった、キャラクターデザインも魅力的だ。結局プロデューサーが全部ダメにしたと言うことか。
 というか、スタッフのだれも「このゲームつまらなくないですか」って言わなかったのかが謎だ?
 これをサタコレになんかするから、さらにSEGAの信用度も落ちると言うものである。

 そこで結論。

「何をやりたいのか判らない、迷走した作品」


2000-02-27